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2012年10月31日 (水)

文芸同人誌「文芸中部」91号(東海市)

【「料理教室の日」堀井清】
 男の高齢者たちの料理教室に瀬川は通っている。家には90歳を超える父親がいて、奥さんが世話をしている。その奥さんとは朝、瀬川が家事の手伝いをしないということで喧嘩になり、離婚を口走ってしまう。というように話を紹介しても仕方がない。独特の静かで流れるような文体で、そのなかに激流も澱みもあるという、じつに音楽的な作風なのだ。そして考えさせる。高齢者の夫婦関係と孤独をテーマに登場人物に事件が起きるが、それがリアルさを象徴性に変える手法に舌をまくというか、感嘆させられる。この作風がいつも安定していて、繰り返し読んでもあきない。年代層にもよるであろうが、誰が読んでも興味深いであろう。文体スタイルに作者特有の美学がある。
 本誌に「ずいひつ・音楽を聴く」(61)も書いているが、オーディオマニアだった作家・五味康祐の時代からの愛好者とある。吉田秀和も長命であった。自分はメーカーの注文で、各地のオーディマニアを訪ねたことがある。懐かしさを感じる。
発行所=〒477-0031東海市加木屋町泡池11―318、三田村方、文芸中部の会。
(紹介者「詩人回廊」伊藤昭一)

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2012年10月30日 (火)

文芸同人誌「鉄道林」52号(札幌)

 本号の表紙には1968年の小樽―滝川間の電化開業の写真がある。電化製品の電化という言葉が、SLやジーゼル機動車などだった鉄道の電車化からきた電化であるという証拠であろう。同人が東京や埼玉にも存在するのが、鉄路のネットワークが見えるようだ。
 また第26回鉄道文学会全国大会が11月23日(金・祝日)に大阪市グランディア大阪で開催するとある。
【創作「粋・蝉・華を咲かせて」米田勉】
 68歳でがんで亡くなった本山徹という友人を偲ぶ話で、実話からとって創作にしたように思える。本山氏は役所を定年退職後、65歳で作詞、作曲、歌手になって上京した。奥さんは反対したが、「お母さんがいないとそばにいないと生きていけない」といわれ、一緒に上京するところは泣かせる。それがCDデビューをしてからがんで倒れた。11の章にわけてその人生を描く。亡くなった友人を偲ぶ話は自分も書いているが、これはこれで気持ちが出ていていい。いろいろなアプローチの仕方があるものである。
【随筆「妻の入院」松田静偲】
 昭和32年ころ、小さい子供がいて母親が突然病気で入院、手術することになった。母親に会いにくる子ども達も、寂しさに耐える。父親の立場から、妻の快復するまでを、思い入れ強く、ほのぼのとした雰囲気を淡々と描く。すでに亡くなった妻のへの思い出は永遠である。なによりも身近な出来事のなかに、これほど普遍性のある題材があったかと、改めて日常の時間の大切さを感じさせる。
発行所=札幌市北区北三十四条西十一丁目4番11一209号、北海道鉄道文学会。
(紹介者「詩人回廊」伊藤昭一)

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2012年10月29日 (月)

話し言葉と書き言葉について松平定知氏の「言葉の力」講演から

 元NHKキャスターの松平定知氏の講演を聴いた。≪参照:暮らしのノートPJ・ITO文芸≫興味深かったのは、きっちり文法的にあった完結な話し方より、あー、うー、といったように、あいだに無駄なものを入れる「冗長さ」を持った方が、相手によく伝わることがあると、学者がいっていたそうである。
 わたしはたまたま「グーループ桂」の同人誌に「文芸の友と生活」の連載第3回を書いていて、小説とエッセイの中間形式で書いている。その時に、書き進みながら自然に冗長文体に変化するように工夫をしていた。文章では「あー」や「うー」はないので、同じ効果をどこで出すかが考えどころである。
 ストーリー中心であれば、ハードボイルド調でスピード感を簡潔に出せばよい。ミステリー小説にはそれが多い。西村京太郎などの作品は、ストーリーのためにだけの文章のすごい見本である。電車のなかで読むものでは、これしかないという究極なものを感じる。
 同人誌に書く魅力は、自分の感性と工夫の孤独な楽しみである。

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2012年10月28日 (日)

ネット情報と書店の本

 日ごろネットで意見を表明していると、本を出版したときに、売れるというケースに孫崎享「戦後史の正体」がある。孫崎氏はネットサイト「ちきゅう座」で、元外交官の経験から外交評論をして、最近この本を出した。米国からの圧力」の歴史として、アメリカにたてつく首相はみな抹殺されてきたことを書いているようだ。いま、書店で目立つところにある。立ち読みだが、芦田均の昭和電工事件、田中角栄のロッキード事件、岸信介の60年安保など、いずれも電通、博報堂のメディア利用で、小沢一郎も鳩山由紀夫もアメリカに嫌われているようだ。
 ちきゅう座の編集者に以前きいた話では1日に1万人以上のアクセスがあるとかで、このサイトで知って本を買ったという人もいるようだ。お堅い本なのにタイムリーであれば25万部ほどはいくというのは珍しい例だ。
 このところ文学フリマで出す冊子の制作や電子書籍動向の取材活動、また放射能汚染の健康への影響についてなど調べているので、日記を書くのがおろそかになりがち。手も遅くなっていて、時間がかかる。

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2012年10月24日 (水)

第115回文学界新人賞に守山さん、二瓶さん

  第115回文学界新人賞(文芸春秋主催)は、大阪府在住の守山忍さん(26)「隙間」と東京在住の二瓶哲也さん(44)「最後のうるう年」に決まった。

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2012年10月23日 (火)

第二回自由報道協会賞公募開始

第二回自由報道協会賞は2012年1月27日の自由報道協会設立一周年を機に、すべてのジャーナリストを対象にしたジャーナリズム賞として創設したものです。受賞は公募と選考委員会による選考を経て、2013年1月27日に発表とともに授賞式をおこなうもの。

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2012年10月22日 (月)

詩の紹介  「賃金五十年」矢野俊彦

「賃金五十年」   矢野俊彦

中国の縫製工場が/閉鎖されたという/労働賃金が上がったからだという/月給三万円/フイリピン一万七千円/ベトナム一万五千円/ミャンマー五千円/労働賃金の低い方へと工場は移る
頬を赤くしてミシンに向かう/ミャンマーの少女/賃金を貰ったら親に送りますと/健気にいう
わたしが集団就職で/上京した昭和三十四年住込みで月二千円/十九歳で三畳の下宿に移った時/月の賃金七千円/部屋代三千円
国鉄に入って日給三百五O円/月十五日と月末の二回支給/いつも貰える額は五千円未満
その頃月給一万三千ハ百円という歌が/巷に流行った/大学初任給の額/それさえ中卒には憧れの賃金/昭和四十年代のこと
メイド イン チャイナ/メイド イン ベトナムの/タグを透かして/頬の赤い少女を思う/己の五十年を思う
(2012年6月)       
国鉄詩人258号より(2012・9・1神奈川県 国鉄詩人連盟)《参照:矢野俊彦の庭

紹介者・江素瑛 (詩人回廊)
もう自分の働きで食べていけると、初任給の思い出が感無量です。はじめて貰ったお給料は、かつては親に渡す人も多かった。生括水準の上昇、物質の豊富さ、誘惑も多い現代、時代とともに増える収入が、生活のために使うだけで足りないくらい。
日本の縫製工場が海外に安い人件費を求め、工場が移転することを理解する一方、自分の半世紀の色褪せない青春の思いを工場の頬赤い少女に託す作品です。

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2012年10月21日 (日)

自由報道協会ゼミナールに重信メイさんが講師に(10月24日(水)19時)

 自由報道協会は10月から公益社団法人となった。そこで活動も多彩になり、10月24日(水)19時より、自由報道協会ゼミナールを開催する。《参照:ゼミナールのお知らせ》今回の登壇者は先日、著書「アラブの春の正体」を発売した、ジャーナリストの重信メイさんです。今回は著書に即し、「『アラブの春』と報道」について講義を予定しているという。
 重信メイ氏(ジャーナリスト)は、スレンダーな美人。わたしと出合ったひとは、どういうわけかみな美人であるが。今年の日本の春に大手門公園のお花見に、偶然に同席しました。 そこにメイさんが写っています。黒いコートを着ているひとです。《参照:詩人回廊
 このところ、活動の重点を自分の書き物や取材探索に移しているので、文芸情報ウォッチングにはご無沙汰気味ですね。会員の江さんが「詩の紹介」で頑張っていてくれてます。江さんはすっかり詩の紹介者として、詩人仲間には知る人が増え、詩誌がたくさん送られてくるようです。
 すると、それらに意見や感想をのべるというのは、小説ほどではなくても、大変です。コメントに石塚さんが述べられている通りですね。
 わたしは、とにかく書いてあることを、そのままなぞるのではなく、自分の感性をプラスワンして欲しいと要求してきましたが、数をこなすとそれは無理。このサイトはアクセスは多くないのに、外部のひとから目立っているからもっと活用したらという話もきく。この間まで、会員拡大はしないので、今後はコメント欄に情報提供してくれればそれをアップする方式に変えようか(特に、同人誌作品紹介に関し)と考えていましたが、まてよ、それはどいうことなのか?とまた考えています。

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2012年10月19日 (金)

詩の紹介 「水切り」 小野ちとせ

「水切り」 小野ちとせ
つながりを絶ちたくないから/水の中で 茎を切る
ゆめのなかで受け取った大きな花束/つりあっていただろうか わたしに
かけられた言葉のあれこれ/かけられなかった言葉のあれこれ/ひとこと ひとこと 反芻しながら/電車を乗り継いできたのだけれど
にわかにかわきはじめている/薔薇の切り口は腐りやすく/傷みやすいのだった
家に着くとすぐさま/バケツに水を張り/リボンを外して/花達を解放する
かけられた言葉のあれこれ/かけられなかった言葉のあれこれ/いっぽん いっぽん 思い合わせて/丹念に切り詰める
刃先が鋭くなければ 水はつながらない/ためらっていたら 水はつながらない
つながるために生まれてきたのだから/水の中で 茎を切る
          
 詩と評論「プリズム」14号より(埼玉県川越市「プリズムの会」)

紹介者・江素瑛(詩人回廊
どのような事情で花束を受け取ったのであろうか。夢の中なのか、夢のようなのか、貰った大きな花束を、生け花の華やかな短い生涯をつなげるには、素早く丁寧に水のなかに茎を切らなくてはならない。去り行く場所からの決別の時をイメージさせる。花の生涯は水を吸い上げる力で決まる。じわじわと萎れる力とのせめぎあい。夢のような出逢いもすぐ過ぎ去る。その一時、一時を大事にすることではないか

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2012年10月16日 (火)

第19回「電撃大賞」小説部門は桜井美奈氏「きじかくしの庭」と茜屋まつり氏「ハロー、Mr.マグナム」の2作品

アスキー・メディアワークスは、第19回「電撃大賞」小説部門とイラスト部門の受賞作を発表。小説部門は桜井美奈氏「きじかくしの庭」と茜屋まつり氏「ハロー、Mr.マグナム」の2作品が大賞に決まり、イラスト部門の大賞は該当作なしとなった。その他の受賞作は下記の通り。今回の応募総数は6771作品で史上最多だった。
〈小説部門〉
金賞=藤まる氏「明日、僕は死ぬ。君は生き返る。」、柳田狐狗狸氏「エーコと【トオル】と部活の時間。」
銀賞=愛染猫太郎氏「塔京ソウルウィザーズ」
メディアワークス文庫賞=行田尚希氏「玉響通り綾櫛横丁加納表具店」
電撃文庫MAGAZINE賞=岬鷺宮氏「失恋探偵百瀬」
選考委員奨励賞=天沢夏月氏「サマー・ランサー」
〈イラスト部門〉
金賞=zpolice氏、櫻木けい氏
銀賞=全力少女氏、れこ氏


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2012年10月15日 (月)

文芸同人誌評「週刊読書人」(12年10月05日)白川正芳氏

「ほほづゑ」73号より伊藤文子(イトーキ顧問)「倭(やまと)は国のまほろば その一(享保年間)重要文化財の家」
吉井恵璃子「二の糸 三番」(「農民文学」298号)、「文芸復興」より吉田真規子「「大本」亀岡本部 天恩郷を訪ねて」、「女人随想」127号より横山真智子「門口堅造物語」
山之内朗子「夫の遺書」(「まくた」277号)、中園倫「俳句 いくたびの四季」(「小・掌編作品集7」文学街文庫)、三好洋「ぶどうの花房」(「槇」35号)、有沢翔治「Diet」(「TEN」97号)、木戸順子「シェルターに住む」(「中部ペン」19号)、大坪れみ子「それぞれの青い花」(「舟」148号)

今月10日に書き込みのあった野田宇太郎文学資料館の企画展について、冒頭で詳しく触れられている。筑後大川出身の筆者に出展依頼があったとのこと。「著書や原稿、書簡等を送った。私のこれまでやってきた文学と郷里が不意に繋がる喜びを感じた。」とある。文中の野田宇太郎に関する引用を紹介します。
《戦後まもなく近代文学者の作品と風土との関わりを実証的に踏査研究する「文学散歩」を始めました。その業績は『野田宇太郎文学散歩全集』(全26冊)に結実し、近代文学のみならず、失われゆく風土を知る貴重な資料として現在も広く、愛読、活用されています。》
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2012年10月12日 (金)

新 同人雑誌評「三田文學」 第111号・秋季号・2012.11.01発行

対談「新 同人雑誌評」勝又浩氏・伊藤氏貴氏
《今号で取り上げられた作品》
柳瀬直子「なにもしない一日」(「季刊作家」77号、愛知県稲沢市)/筑紫亮「何をしにきた」(同上)/北川朱美「誰も知らない部屋の皮膚」(「文芸中部」90号、愛知県東海市)/柳原忠行「闇の迷走」(「佐賀文学」29号、嬉野市)/北村節子「歪んだ家」(同上)/佐藤睦子「鼓動」(「小説家」136号、国分寺市)/竹森仁之介「夕焼け」(「小説藝術55号、新座市)/田井英祐「聖トン譚」(「詩と眞實」757号、熊本市)/和田浩明「こころのすきま」(「關學文藝」44号、大阪市)/浅田厚美「萌子の記念日」(同上)/茂木令子「寺の宿り」(「河」162号、新宿区)/藤岡由美子「『蒼い馬』を追って」(「酩酊船」27号、兵庫県穴粟市)/森岡久元「父の紀行『二月の岬』」(同上)/三上昇「凧のろし」(「麦笛」14号、仙台市)/中島妙子「秘密の花園」(「姫路文学」125号、姫路市)/中田重顕「庵納橋」(「文宴」117号、松阪市)/遠藤昭己「路傍の神」(「海」85号、三重県いなべ市)/井口佐代子「かねさんのひだまり」(「雲」173号、千代田区)/船津弘繁「ババア」(「猿」70号、群馬県みどり市)/小泉順「風の谷の挑戦」(同上)/曳地瑠璃「風よ吹け」(「Q文学」3号、北区)/山脇一利「次郎左の忠臣蔵」(「AMAZON」453号、尼崎市)/加地慶子「福島の隅で」(「まくた」276号、横浜市)/納富泰子「帰郷」(「KORN」1号、福岡市)/深田俊祐「旅支度」(「復刊日曜作家」終刊号、北九州市)
●ベスト3
勝又氏:1.柳瀬直子「なにもしない一日」、2.北川朱美「誰も知らない部屋の皮膚」、3.柳原忠行「闇の迷走」
伊藤氏:柳原忠行「闇の迷走」、北川朱美「誰も知らない部屋の皮膚」、茂木令子「寺の宿り」
●「文學界」推薦作
勝又氏:1.桜井夏実「紅白まんじゅう」、2.柳瀬直子「なにもしない一日」、3.北川朱美「誰も知らない部屋の皮膚」
伊藤氏:1.北川朱美「誰も知らない部屋の皮膚」、2.桜井夏実「紅白まんじゅう」、3.柳瀬直子「なにもしない一日」・茂木令子「寺の宿り」
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2012年10月10日 (水)

詩の紹介  「枯れ野」 山崎夏代

「枯れ野」   山崎夏代
なにも なにも 欲しくない とは/わたしが/わたしにつく 嘘/霜を呼ぶ
風が吹けば/一瞬に 凍ってつく 花野
いつも 今 を/いまを だけ 生きてきた/野末の果ての もがり笛/そこまでを みきわめにいく気もない
見ない そう言い捨てて/走り去ってきた/枯れ野は闇を吐き出すのである/大地を絡め取るために
走る わたしのズボンにコートに/絡み付く花の種/季節を終わらせる花野は/情熱をひそやかに時間に委ねる
今日は 五月 なのだ/初夏の日差しのなかで/わたしは わたしの冬を生きている/霜の降りた花野を
てのひらに山盛りの 冬の初めの種たち/五月の大地に 撒き散らす/わたしの自慰
詩誌「流」37号より(川崎市・宮前詩の会)

紹介者・江素瑛(詩人回廊
 常ならぬ世に生きていくには、いまの時間だけを大切にすることしかない。明日は明日の風が吹く、晴れる日も、雪雨の日も、与えられた今日の時間を生きるのです。足に付いてきたその野花たちの種を手で撒き散らすことは、自然の緑の世界に、何かの変化を及ぼすのでしょうか。その後の流れは時間に委ねて、神の仕業に任せてしまうのです。

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2012年10月 9日 (火)

同人誌時評(9月)「図書新聞」(2012年10月06日)志村有弘氏

題「抒情豊かな作品と重厚な歴史小説」
池戸亮太「詩歴」(「あるかいど」第47号)、一畑耕「一句の行方」(播火第84号)、堀江朋子「傷跡」(文芸復興第25号)、西村啓子「たそがれの誇り」(回転木馬第22号)
宇津志勇三「安倍清騒動-松窓乙二見聞録-」(「仙台文学第80号)、地場輝彦「わび桜」(たまゆら第87号)、犬塚克浩「秋の夕暮れ」(風第9号)
秋田稔の個人誌「探偵随想」第114号、吉田眞規子「「大本」亀岡本部 天恩郷を訪ねて」
追悼号(含訃報・追悼文):「青い花」第109号が木津川昭夫、「あべの文学」第15号が山本憲太郎、「九州文學」が木匠葉、「COALSACK」第73号が大井康暢・木津川昭夫・杉山一平、「潮流詩派」第230号が村田正夫、「LEIDEN-雷電」第2号が吉本隆明
詩と短歌は省略
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2012年10月 8日 (月)

ノンフィクションを紹介サイト「HONZ(ホンズ)」が注目

アマチュア書評家らが集まりお勧めノンフィクションを紹介する自主運営サイト「HONZ(ホンズ)」が注目を集めている。本の販売アップにも貢献し、書評集も出ることになった。

日に14000もアクセスあるらしい。それじゃ本の売れ行きに影響あるかも。 おいらは何をやっているのだろう?と思うこのごろです。もともと120人ほどの会員むけだったから、その割には定着したかなってところか。成功かどうかというと、失敗の部類だけと、もともと文化活動に失敗成功はないしね。
 そういえば「婦人文芸」に昔の小山さん、いまの菅原さん書いてました。「太宰治を探して」の紹介で名前を見ないと書いていたが勘違いの誤りでした。小山さんの昔の話に品川からバスで一の橋かそのあたりに住んでいて、今は南麻布の周辺に住んでいたらしい。有栖川公園の近くに雑誌社があって、よく通った。公園でなくて公爵でペンネームにしようなどと、話していたら詐欺師の話題がでて、やめとこうと別のものにしたことなどを思い出す。

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2012年10月 7日 (日)

文芸同人誌評「週刊読書人」(12年09月07日)白川正芳氏

鍛代香「たたずむ」(「法政文芸」8号)・同誌「当世学生気質」特集より山崎ナオコーラのインタビュー・中上紀や平野啓一郎らの寄稿、ピュス・エルヌフ「英語への旅」(その一、その二)(「VIKING」738号、739号)・同誌「例会記」、「左岸」48号復活号より北井一夫「時代の抽斗」
「群系」29号「われらの文学」特集より草原克芳「安部公房「砂の女」と「箱男」」・野口存弥「森茉莉のいる部屋」
広岡一「不用意な少年伝 グリコ日記」(「黄色い潜水艦」56号)、田寺敦彦「上町台地漫歩」(「VIKING」739号)、高橋道子「阿武隈の風」(「仙台文学」80号)、小松陽子「真実」(「大木」25号)、岡谷公二「くろがね」(「飛火」42号)、工藤力男「むかし・いにしえ 日本語雑記・拾遺」(「成城文芸」219号)
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2012年10月 5日 (金)

第11回「このミスがすごい!」大賞に安生正氏「生存者ゼロ(仮)」

宝島社が主催する第11回「このミステリーがすごい!」大賞がこのほど、応募総数474作品のなかから決まった。安生氏は京都出身の54歳で、建設会社に勤務している。受賞作は来年1月に同社から刊行される予定。選考委員の大森望氏は「ま、まさかそんなことが!?と腰が抜けそうになる大胆な発想は大いに評価したい」とコメント。そのほか優秀賞に新藤卓広氏「秘密結社にご注意を」、深津十一氏「童石をめぐる奇妙な物語」(ともに仮題)が選ばれた。


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2012年10月 2日 (火)

西日本文学展望「西日本新聞」9月28日(朝刊)長野秀樹氏

題「老い」
波佐間義之さん「ヨークシャー・テリア」副題「追悼小説・木匠葉さんに捧(ささ)ぐ」(第7期「九州文学」19号、福岡県中間市)・木匠さん作品について
宮川行志さん「あしたに手を振る」(「詩と真実」759号、熊本市)
「九州文学」より宮崎喜代美さん「蝉」・箱蔦八郎さん「マコべえのいる風景」、第2期「照葉樹」2号(福岡市)より瀬比亜零さん「海の家 第一話、美子の出産」・水木怜さん「干潟に埋もれた鳥のように」
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2012年10月 1日 (月)

菅原治子著「太宰治を探して」(かりばね書房)

 俳句には桜桃忌という季語がある。これは太宰治の昭和23年(1948)6月、39歳で愛人と入水自殺した小説家、太宰治の忌日。遺体が発見された6月19日を命日とし、墓が東京都三鷹市の禅林寺にあり、法要が行われる。大勢のファンが太宰を偲ぶ。参加作品「桜桃」による命名らしい。
 本書の著者は小山七々子の筆名で「婦人文芸」に参加し、本書も同誌の88号~91号にわたり菅原治子として連載したものと記憶している。早々と一冊にまとめて刊行したもの。最近では「婦人文芸」の同人構成員の欄に名がないようだ。≪参照:菅原治子著「太宰治を探して」(かりばね書房)≫
 本書は、ある程度太宰治の作品を読んだ人が、その本質を理解するのに大変良い本である。わたしは、それほど読んでいるわけではないが、非常に理解が深まった。
 太宰治については、心酔する姿勢の者と傍観的な読者がいるが、わたしは傍観者的に読んでいた。それでも、非常に面白く、作者の芸術味たっぷりの解説を楽しんだといえば語弊があるが、作者の言葉が信じられ同感が得られた。
 太宰の引用部分がこの作者ならではのオリジナリティに満ちたもので、全体に詩情があふれて、散文詩評伝になっている。とにかく太宰のやさしさの文章の巧さが引き立つ。
 解説で、白川正芳氏が指摘しているが、太宰の精神の根底にさびしさを見ているのが、全体の詩情性を生む原点になっているようだ。太宰の「やさしさ」「さびしさ」が、数々の生活の齟齬を生むとする。
 だれもが「やさしく」生きたい、「さびしさ」を持たず生きたいと思う。同時に「やさしさ」ゆえにしてしまうことの怖さ、「さびしさ」から逃れるための行為の恐ろしさ、その半面教師としての示唆も含まれている。
 

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