詩の紹介 「いつだって」 植田文隆
「いつだって」 植田文隆
いつだって人が/消えることは/ない街だけと/一瞬だけ/静かになる/午前五時/ネオンが消えて/帰っていく人々/出かける人々/このふたつが/すれ違うんだ/でもそんなことには/誰にも気つかず/今日も朝が来る
詩誌「コールサック」73号より2012年8月(東京都板橋・コールサック社)」
紹介者・江素瑛(詩人回廊)
人の消えることはない街は、夜も眠らない街。人の人間的自然法則は、日の出でから働く、日が沈んだら休むこと。それに逆らう街でもほんの吐息、午前五時に「一瞬だけ/静かになる」。
二十四時間をまるまる人が頭脳を酷使することで、心を病み、心療内科の患者も増える一方。「一瞬だけ/静かになる」の時間に思いを馳せるのは、心が自然を記憶しているから。それは、生命の法則が人間に教える警告ではないでしょうか。
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