円居挽さん『丸太町ルヴォワール』講談社文庫
はじめまして、円居挽です。
『丸太町ルヴォワール』は、私の見た京都のエッセンスが凝縮された作品です。かつて京都へ進学した私が驚かされたのは、街そのものの素晴らしさもさることながら、出会う人々の面白さでした。特に大学の先輩たちときたら無茶苦茶で、それでいてとても魅力的なのです。私自身は平凡な人間でしたが、それでも彼らと過ごすことによって、夢のような学生生活を送ることができました。
そんな楽しい学生生活の終わりが見え始めた頃、ふと彼らを自分の小説に出したらどうなるだろうと思って筆を執り、その末にこの作品が出来上がりました。
改めて自作を読み返すと、よく知った人間が馴染みの舞台を駆け回るので、なんだか懐かしい思いが湧いてくる一方で、ありし日の彼らもきっとこんなことをしていたのではないかという気がしてきました。そんなめくるめく一冊、皆様にも楽しんでいただけると幸いです。(円居 挽)(講談社『BOOK倶楽部メール』 2012年9月15日号より)
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