ネット投稿小説から出版へ
アマチュア作家がネット上で発表した小説が、書籍になってヒットする例がある。
トーハンの週間ベストセラーで、春以降、「単行本・文芸」部門ベスト10に、新興出版社アルファポリスの発行する新人・新鋭のファンタジーやロマンス小説が頻繁にランクインしている。
女子高生が剣と魔法の世界に生まれ変わる、如月(きさらぎ)ゆすら『リセット(4)』が5位などが好調。同社は毎月約10点の単行本を刊行。
新人の発掘方法は、ネット上で「小説家になろう」などの投稿サイトや個人のブログで、多くのアマチュア作家が自作の小説を無料で発表している小説サイトを登録できるサイト「アルファポリス」を運営。
1万点近い登録小説から、閲覧数が多かったり賞形式の人気投票で上位に来たりした作品を本にしている。「出版を決める前に、ネット上の評判で人気も見えやすい」と同社編集部。
ほかには、日本最大級の投稿サイト「E★エブリスタ」では、集英社、小学館、双葉社など出版6社と共同で「E★電子書籍大賞」を実施中。6000を超す小説の応募作の中から、ホラーサスペンス、恋愛小説など部門ごとに、各出版社の編集者が自社の本として刊行する出版社賞6作などを選定済み。その6作でサイト利用者による人気投票を行い、8月に大賞を発表する。ミステリー部門の角川書店からは一般小説の編集者が参加した。
小説のサイトと出版社の連携で。「E★エブリスタ」の前身「モバゲー」の小説コーナーで投稿が連載されたホラー小説『王様ゲーム』は、09年から双葉社が刊行し、小説5作で150万部(文庫含む)、コミックス版5巻230万部のベストセラーに育った。作者の金沢伸明さん(29)はそれまで小説とは無縁だったが、「ネット上の連載で寄せられる意見を反映させ、読者と一緒に作品を作り上げていった」と振り返る。
新人作家ネットから発掘(2012年7月20日 読売新聞より)
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