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2012年5月14日 (月)

文芸同人誌「海」(第二期)第7号

【「赤い陽」有森信二】
 世界の文明国による第3次世界大戦と、大自然災害という二つの破局要素の中で、日本民族らしき男と異なる国の女性の恋人を描く。3・11の自然災害とそれをめぐる世界各国の対応をイメージの基礎に置いたのかも知れない。創造力をフルに発動させようという意欲が見られて、面白く読ませる。
 世界の情勢と国の社会体制の混乱、それと人間的な家族関係に絞って破局に陥る運命を描く。同人誌作品としては長いほうだが、この類の小説としてはエッセンスを集約した短編的なものにしかならない、破局小説として完成させるには長編にしなければならないことがわかる。
 たまたま、当会員の山川豊太郎氏が、暴動などで破壊された都市を漂流する長編小説(現在のタイトルは「繭(コクーン)version2」)執筆中で、その作品解説を予定していたので、比較文学的に読んだので興味深かった。

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コメント

有森さんの「赤い陽」は興味深い作品でした。彼にしては珍しい作風に挑戦しているもので、実力ある彼の純文学風作風を打破する文明批評色の強いものでした。

天上界と地上界の設定も、短編では無理で、伊藤さんのご指摘のように長編小説構成でなくては、舞台設定からして読者を納得させることができないでしょう。
ですが、挑戦の下地としては、デッサンと考えればこの作品の意味もあるように思います。そのへんのところ、私も読後感「群系」に書いておきました。
有森さん、長編に仕立て直して壮大な作品にしてくださること希望したいです。

投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2012年5月15日 (火) 16時53分

この作品をお読みいただき、たいへん嬉しく思います。
8.15、9.11、3.11の状況や、世界の諸情勢、政治経済の混乱などを踏まえ、書いたものですが、発表したときから「あまりの人間否定」をしてしまったのかもしれないと、反省しておりました。それらの悪い方向に向かわないための「祈り」の意味も込めてみたのでしたが、後者の方が書き切れていないようです。これは、これからの努力目標にしたいと思います。御紹介いただき、誠に感謝申し上げます。

投稿: 有森信二 | 2012年5月14日 (月) 10時52分

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