詩の紹介 「なんていい天気」若杉 真木
なんていい天気 若杉 真木
今日はなんていい天気なんだろう/やわらかく あたたかくて/こんな日になら 死んでも/いいかもせれない
こんな日になら/後悔しないですみそうだ
なんていい天気なんだろう/こんなにいい天気は初めてだ/あんまり天気がようすぎて/かなしくなってくる
いっそ今ここで/死んでしまおうか/天に召されるか/地に堕ちるのか/無に帰するのかそんなことは分からないが/そんなことは もうどうでもいい/どうでもいいぐらい/いい天気だ
(潮流詩派229号より2012年4月東京都中野区)
紹介者・江素瑛(「詩人回廊」)
悔いのないような日和な日、死んでもいいようないい天気。その満足な心地、なんとも言えない。すべてを捨ててこの世を去っても、いかにも、どうでも、平和に満ちた日々こそにこんな思いができるのかもしれません。と作者の想いがうかがえる一方、もしかしたら現実に厳しい日々のなかふっと、天の恵みであるいい天気のあることに気付いた、そこから、こころの穏やかさが取り戻せたのかもしれません。作品は日々に感謝と讃美の心を忘れないように教えてくれています。
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