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2012年4月30日 (月)

電子出版物読み物は、スマートフォンで読むが増える=ビデオリサーチの調査

 ビデオリサーチの調査で、電子出版物を読むのにスマートフォン(高機能携帯電話)の利用が増えている。
 調査は昨年9~10月に実施。12~69歳の男女8163人から有効回答を得た。調査によると、過去6カ月に電子出版物を利用したのは7・1%で、前年度の6・7%をわずかに上回った。男女、年代別では、10、20代の男性、30、50代の女性の伸びが大きく、50代の男性、20代の女性では利用率が減少した。
 利用経験者に端末を聞いたところ(複数回答)、最も多かったのはパソコン(デスクトップ、ノート)。携帯電話、スマートフォンが同率で並び、タブレット型が続いた。
 パソコン、携帯電話は前年度に比べ利用率が減少。一方、スマートフォンは18・6%から35・4%、タブレット型は8・2%から14・6%と大きく数字を伸ばした。
 スマートフォンとそれ以外の端末での電子出版利用状況の比較では、小説、文芸書などの書籍、新聞、雑誌などではスマートフォンが多かったが、コミックではそれ以外の端末が使われるケースが目立った。
 また、スマートフォンでの電子出版利用経験者の7割超が今後も電子出版を利用したいとする意向を示し、その他の端末の場合よりも高かった。
                  ◇
 ■電子出版閲覧に利用した端末
               22年度 23年度

 パソコン(デスク、ノート) 40.8 38.3

 携帯電話          48.8 35.4

 スマートフォン       18.6 35.4

 タブレット端末        8.2 14.6

 電子ブックリーダー      1.0  2.9

 ネットブックパソコン     1.3  1.1

 その他            1.3  1.7

 わからない          3.1  1.5 (%)

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SNS「プロジェクト・アマテラス」で才能を発掘=講談社

講談社は25日から、ネットからの新たな才能発掘やデジタル時代のコンテンツ開発を目的に、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使った「プロジェクト・アマテラス」の運用を始めた。
 作家と出版社の編集者らで作品をつくるという従来の形ではなく、SNSを使い、読者を作品づくりに加え、制作過程を公開することで、(1)今まで出版社が窓口を持っていなかったあらゆるタイプの才能の発掘(2)ユーザー参加型のデジタルコンテンツ作成(3)新たなプロモーション方法の開発-を狙いにしている。

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2012年4月29日 (日)

「池上と文学」のコーナー展示に会員制作雑誌「原風景」を展示

 東京・大田区の池上図書館で「池上と文学」展示が行われ、会員の伊藤誠二氏(編著・「野上弥生子の文学とその周辺」草場書房もあり)の制作した雑誌「原風景」が展示された。(参照: 「池上と文学」の展示コーナー
 これは伊藤誠二氏が詩人・木原孝一に師事していた時期があり、その後、東京大学名誉教授の野上燿三氏が職場の上司となったことなとから制作したもの。文芸同志会では、文学フリマに参加するたびに販売してきたが、在庫がなくなり保存のみとなっている。
 また、森村桂の資料は、文芸同志会代表が若い頃にメーカーのセカンドブランドとして新オーディオブランドの創設の支援スタッフをしていた関係で、PR誌を発行、その折に森村桂に原稿を依頼した縁があって、保存していたもの。ただ、当時の細かいいきさつは記憶が定かでない。当時、森村桂は人気作家で、原稿の受け取りには若い大学生のような秘書かお手伝いさんがいて、交渉にあたったような気がする。
 PR誌の原稿依頼は平野レミさん (作家・平野 威馬雄の娘さん):にも頼んでおり、その記憶かとも思うが、当時平野レミさんは千葉か大阪にいた筈なので。おそらくこの記憶は、森村さんのような気がする。

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2012年4月28日 (土)

著者メッセージ  堀川アサコさん『幻想電氣館』

 今では昔のこととなってしまいましたが。ある夕方、小さな映画館を訪れた ところ。
 映画館の人「さんちゃんが帰ってしまったので、本日の上映はもう終わりです」
 わたし「あのー。上映時間に間に合うよう、急いで来たんですけどー」
 映画館の人「ともかく、さんちゃんが居ないと、上映できないんです」 さんちゃんて、誰……。
 今回、映画館を舞台にした『幻想電氣館』を書くため、あれこれ資料をめくるうち、何十年来ナゾの人だった「さんちゃん」は、映写技師だったのだろうと察しがつきました。
 近頃では、映画は映写技師なしでも上映できるそうですね。でも「映写技師も帰っちゃったし。さあさあ、店じまい」なんて大雑把な映画館があったのも、なかなか面白い時代だったと思います。
 『幻想電氣館』は、そんなのんびりさに、この世ならぬ大騒ぎが加わったファンタジーです。幽霊が見えたりする主人公と一緒に、和んだり怖がったり、楽しんでくださればと思います。 (堀川アサコ)(講談社『BOOK倶楽部メール』 2012年4月15日号)

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2012年4月27日 (金)

詩の紹介 「なんていい天気」若杉 真木

なんていい天気    若杉 真木

今日はなんていい天気なんだろう/やわらかく あたたかくて/こんな日になら 死んでも/いいかもせれない
こんな日になら/後悔しないですみそうだ
なんていい天気なんだろう/こんなにいい天気は初めてだ/あんまり天気がようすぎて/かなしくなってくる
いっそ今ここで/死んでしまおうか/天に召されるか/地に堕ちるのか/無に帰するのかそんなことは分からないが/そんなことは もうどうでもいい/どうでもいいぐらい/いい天気だ 
            (潮流詩派229号より2012年4月東京都中野区)

紹介者・江素瑛(「詩人回廊」
悔いのないような日和な日、死んでもいいようないい天気。その満足な心地、なんとも言えない。すべてを捨ててこの世を去っても、いかにも、どうでも、平和に満ちた日々こそにこんな思いができるのかもしれません。と作者の想いがうかがえる一方、もしかしたら現実に厳しい日々のなかふっと、天の恵みであるいい天気のあることに気付いた、そこから、こころの穏やかさが取り戻せたのかもしれません。作品は日々に感謝と讃美の心を忘れないように教えてくれています。

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2012年4月26日 (木)

豊田一郎「電動人間」全編収録「孤愁」の頒布を開始

 豊田一郎氏は「詩人回廊」に小説「電動人間」を連載中です(参照:豊田一郎の庭)。
 この作品は、個人誌「孤愁」8号に掲載したもの。作者の話では、同9号の「屋根裏の鼠」、同10号「白い花がさく頃」に続くもので元来は中編連作小説で、続けると長編小説になるものだそうです。
 文芸同志会では、豊田一郎氏と相談し、この「孤愁」版は縦書きで、まとめて読めるということで、希望者に頒布する仲介をいたします。
 「電動人間」収録の「孤愁」誌8号を希望のかたは、文芸同志会に切手200円分(50円切手4枚)を同封の上、「豊田一郎「電動人間」冊子希望」と記して申込みすることにより、(希望者が少数であろうという前提で)作者に連絡し、作者より郵送いたします。

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2012年4月25日 (水)

同人誌「札幌文学」第77号(札幌)

【「あの呼ぶ声は」須崎隆志】
 出だし高台からみる光景の描写から始まる。しかも動的で、何かの物語の展開を予感させる手法に好感をもって、読み出した。すると、札幌の雑誌なのに、九州の半島が舞台になっている。クマゼミが鳴いている土地柄は確かに南のものである。ん?とますます興味を感じて読み進むと、大変良い作品であった。
 もともと文芸作品として技術を凝らした意欲的な小説なのであった。炭鉱に働いていた父親が、職業病である肺病になって病気と闘っている。子どもの頃に主人公は、近所の同病の炭鉱夫が、それで亡くなったのを知る。主人公は驚きで、無邪気に「大崎さんのおじさんが死んだ!」と父親に告げる。
 あとで、主人公は父親が家族のために「死んでたまるか」という気持ちで頑張っていたのになんという心無いことをしたのか、という自責の念がトラウマとなって主人公を苛む。本人はこれによって父親との関係の変化や、父親が亡くなって母と弟の関係も変質したと思い込む。切ない気持ちがよく伝わってくる。それが肉親からの愛情への飢餓感となり、こだわりから、独りで命がけの遠泳に挑む。傷つきやすい心が、父の心を無視したとなやまさせる。もうひとつ深みが欲しい気にもさせるが、短編の構造に従っており、それも創造的な制作の意欲が見えているからこそのもの。
発行所=〒001-0034札幌市北区北三十四条西11丁目4-11-209、坂本方。
(紹介者:伊藤昭一「詩人回廊」編集人)

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2012年4月24日 (火)

遅咲き新人の風 人生経験、読書量、感性も若く

小説界 遅咲き新人の風 人生経験、読書量、感性も若く (産経)
昭和22~24年に生まれ、現在60代前半から半ばに差しかかった「団塊世代」は700万~800万人に上る。書籍の年間販売金額がピークの平成8年に比べて約25%も落ち込んでいる出版不況下で、「この大票田を眠らせているのはもったいない」(校條さん)との声は少なくない。
 講談社が昨年始めた「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」は応募資格を満60歳以上に限定している。余暇生活に入った団塊世代から埋もれた才能を探そうと、同世代の推理作家、島田荘司(そうじ)さん(63)が発案した。217編の応募から選ばれた受賞作「ショートスカート・ガール」は盗撮事件を題材にしたミステリー。著者の和装品店経営、加藤真男さん(61)はもとは漫画家志望だった。「目指す表現が漫画より小説に合っていると分かったのは50歳を過ぎてから。自分を見つめ直すのに遅すぎるということはない」と語る。村上春樹さんら時代を牽引(けんいん)する作家を送り出してきた群像新人文学賞(講談社主催)でも74歳のフリー編集者、藤崎和男さんの作品が優秀作に選ばれるなど、ジャンルを問わず遅咲きの新人の健闘が目立つ。

                 

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2012年4月23日 (月)

同人誌時評(3月)「図書新聞」(2012年04月21日)志村有弘氏

「女性作家の佳作・力作多数」
西芳寺静江「上海帰りの順子」(水晶群62号)、藤井総子「家族の闇」(海峡27号)、松本順子「おいたち」(R&W11号)、桜庭いくみ「羊蹄丸」(私人74号)、堀本広「母娘火焰地獄」(文芸シャトル73号)、正田正男「放牛往還記 薬壺」(詩と眞實752号)、笹田隆志「城ヶ倉大橋」(北狄357号)
エッセイ:松村良「原発と『不死なるもの』-『平成ゴジラ映画』ノート」(近代文学合同研究会論集8号)、池内則行編「青山光二年譜」(北方人16号)
詩と短歌(略)
「照葉樹二期」創刊
追悼号(含訃報):「韻」21号より崎井貫、「驅動」65号より長島三芳、「季刊作家」76号より北里蓉子、「九州文學」より各務章、「飛火」41号より浅原義雄(諏訪真澄)、「野路」96号より原井カズエ


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2012年4月22日 (日)

文芸同人誌評「週刊読書人」(2012年04月06日)白川正芳氏

吉村昭の記念特別講演「シーボルトと江戸人」(「吉村昭研究」17号)・川越良明「講演録余聞」・桑原文明「解題」
飯島勝彦「前へ」(「農民文学」玄冬号)、「SEITO百人一首」(同志社女子大学)より平岡由美・森田一輝
祖父江次郎「天国」(「作家」76号)、森英一「和田英作という画家」(「イミタチオ」53号)、名村和美「相対性理論から学ぶ」(「文芸中部」89号)、麻尾程司「もず」(「ふくやま文学」24号)、篠原敦子「病床で聴いた音色」(「時空」36号)、「船」146号より「後記 他国からみた日本」(大坪)
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)


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2012年4月20日 (金)

赤井都さん、豆本づくりで日本TV出演4月22日(日)18:55~19:00「わたしのLife On」

 赤井都テレビ出演。4月22日(日)18:55~19:00「わたしのLife On」日テレ2分半の短い番組ですが、豆本作品や製本風景のほか、活版印刷しているところや、絵本の修理をしているところも撮影されました。全国放送です。どうぞご覧ください。番組HPはこちらです
人を楽しませる仕事なのに、めったやたらと忙しかったここ数年。分刻みで動いていました。豆本でそんなに売れっ子になるなんて、ちょっと信じがたいですよね。ともかく、こんなペースでは壊れてしまうので、新年から心を入れ替え、スケジュールを整理して、自分にしかできないことだけをしようと、申し訳ないけれどそう思って、ようやく4月になって、ちょっと暇ができるようになりました。おそらく、並の忙しさにようやく戻ってこられたと思います。自分もまず楽しみたいし、気になる展示にだって行きたい。ポロック展に行くぞ! これまでは忙しすぎてとうてい自分には縁のないものと思って駅貼りの展示案内ポスターを見ていました。でも、せっかく東京圏に暮らしているんだもの、行って本物を目にしなくちゃー。心に栄養。
現代美術ってよくわからなくって、と言われた方がいました。私も、よくわかりませんが、自分がアートだなあと思う
指標みたいなものがあって、それは、 一瞬で印象に残る(後から絵柄などを思い出せる) その人の作品だとすぐわかる(オリジナリティ、アイデンティティ)そしてさらに、他の文化圏から見ても上記が成り立つなら国境や時代を超えるアートなんだろうと思いますが、如何。
あと、他の人からいっぱい真似される、というのはアートの影響力が大きい証拠だと思います。家で、ちょっとした時間に、たまっていたテレビ録画を見ています。「カーネーション」最高でした。朝ドラを最初から最後まで見たのは初めてです。年末、もう見られないと録画することまで諦めてしまったので、周防さんの登場シーンは見逃してしまいましたが。本が出てくるシーンもけっこうあって、よかったですね。
「夢の扉」も見ています。ゴミから魚ロボットを作るのには号泣しました。物の価値ってすごいなあ。

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2012年4月19日 (木)

第31回新田次郎文学賞に角幡唯介さん「雪男は向こうからやって来た」

. 第31回新田次郎文学賞(新田次郎記念会主催)は16日、角幡唯介(かくはた・ゆうすけ)さんの「雪男は向こうからやって来た」(集英社)に決まった。副賞100万円。

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2012年4月18日 (水)

文芸誌「胡壺・KOKO」第11号(福岡県)

【「彗星観測」桑村勝士】
 大学の入学試験を終えて、その合否の結果待ちの高校生たち。ハレー彗星を見ようと友達仲間と望遠鏡で待ち構えるが、天候の都合が悪く、なかなかみることが出来ない。彗星は学生たちの青春時代の未来の指標のように、雲間に隠れて透視することができない。彗星を見るのに熱心だった友人は受験を失敗し、主人公は、大学受験に合格し、内でマドンナ的な彼女との交際の機会を手にする。彼の心の星はまたたいたのか。
 明確な描写力で、青春期のロマンと不安の同居したどこか傾きのある精神状態を描く。
【「女子会をいたしましょう」ひわきゆりこ】
 商店街の籤びきの景品に日帰りバスツアーがあり、それぞれの事情でそれに乗り合わせた3人の孤独感をもつ女性3人。主人公は両親と同居した40代、知り合ったのは、60代と20代の世代の異なる女性。それぞれの世代での女性のかかえる現代的な課題を、ソフトな文体で差し出す。物語の軸になるのは主人公が交際中の男性との関係。話の合間にそれとなく問題提起し、主人公が男性との関係にもちはじめた不毛感を暗示。、彼女が男性との関係を清算するところで終わる。
 これはこれでこの作者ならではの人間の生き方の表現法が発揮されている。商業性の追及なき純文学表現の独自追究の姿勢になりつつあるのかなと、なんとなく「グループ桂」の宇田本次郎氏の創作態度を意識させるものがある。
(紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)

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2012年4月17日 (火)

第1回日本医療小説大賞に帚木蓬生氏

 第1回日本医療小説大賞の受賞作に帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)氏の「蠅の帝国」「蛍の航跡」が決まった。「軍医たちの黙示録」として30人の軍医の視点から戦争の実相を描いた短編集の連作。戦争文学に新しい境地を開いた筆力が評価された。
 同賞は、医療に対する興味を喚起する小説を顕彰して医療への理解と共感を得ることを目的に日本医師会が創設した。副賞は100万円。

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2012年4月14日 (土)

文芸誌「照葉樹」(二期)創刊号

【「時の空間」瀬比亜零】
 時間は一方向に向うので、時系列という発想が出る。この小説はその時間の流れに亀裂ができて、昭一という主人公が20歳、30歳、40歳の存在時間の自分と情報交流ができてしまう。若い時の昭一が、恋人と別れるが、年代を経た自分と交流して、それを参考に考え方を変えて、幸せな人生を送るというもの。設定を工夫すると、平凡な話も面白く読めるということがわかる。ただ時系列の乱というか亀裂の使い方がどこか変なきがするが、まあ深く追求すべきものでもないかも。

【「甘いリングの向こう側」水木怜】
 衣料品の通信販売の会社に勤める姫子は、電話応対している。常連のクレーマのおばさんの電話にてこずる話から、おばさんのキャラクターを浮き彫りにしていく。基本的に人情話なのだが、従来のこの作者の印象からすると、かなり多作をしてきたようで、文脈に無駄がなくなった。書き込んだ結果無駄がなくなり読み易くなったように見える。市井の生活を描くのに、家族と精神的な距離ができた孤独な高齢者と家庭内暴力を組み合わせるなど、かなりドラマチックな仕掛けをつくる。下町人情小説物としては、芝居がかったところがある。舞台劇の脚本やTVドラマ向きの手法。ストーリーテラーの資質が見える。
 菊池寛は、小説と演劇のちがいについて、戯曲は劇薬的な激しい部分だけを取り出して舞台で演じるから演劇とされるという趣旨のことを説いている。
(紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)

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2012年4月13日 (金)

「新 同人雑誌評」勝又浩氏・伊藤氏貴氏「三田文學」春季号・2012.05.01発行

対談「新 同人雑誌評」勝又浩氏・伊藤氏貴氏
《今号で取り上げられた作品》
米沢朝子「此の岸」(「蒼空」16号、高知市)/和田浩明「潮騒の歌」(「別冊關學文藝」43号、大阪市)/難波田節子「女友達」(「遠近」46号、練馬区)/宇田本次郎「セキレイがいた桟橋」(「グループ桂」65号、鎌倉市)/塚越淑行「荒地」(「まくた」274号、横浜市)/千田佳代「五月の花を」(「朝」31号、千葉県茂原市)/若草田ひずる「見返り仏」(「じゅん文学」70号、名古屋市)/正田吉男「神ごとの中の少年」(「詩と眞實」750号、熊本市)、木島次郎「末の松山浪越さじとは」(「北方文学」66号、新潟県長岡市)/いそのかみときこ「五分咲き」(「雪渓文學」63号、大阪市)/中嶋英二「ハルニレの記憶」(「江南文学」63号、千葉県流山市)/飛田一歩「村の医者」(「湧水」50号、豊島区)/坂東聡子「嘴」(「湧水」50号、豊島区)/吉田慈平「黄金虫」(「雲」167号、千代田区)/奥谷ながれ「紗紀江」(「私人」73号、新宿区)/西園春美「夜の目玉焼き」(「詩と眞實」751号、熊本市)/亀岡知枝子「ビルマの蝶」(「朝」31号、千葉県茂原市)/阿修蘭「南の果てのシャングリラ」(「私人」73号、新宿区)/大田伝「八月十五日の小二のぼく」(「蠍」51号、長野県諏訪市)/蔵田弓子「蝋燭三本」(「あるかいど」45号、大阪市)/佐伯晋「三つの髑髏の物語」(「あるかいど」45号、大阪市)/淘山竜子「メモラブル」(「婦人文芸」91号、品川区)/神盛敬一「点」(「港の灯」4号、神戸市)/角田真由美「見知らぬ私」(「詩と眞實」750号、熊本市)
●ベスト3
勝又氏:1.米沢朝子「此の岸」(「蒼空」)、2.難波田節子「女友達」(「遠近」)、3.塚越淑行「荒地」(「まくた」)
伊藤氏:1.和田浩明「潮騒の歌」(「別冊關學文藝」)、2.若草田ひずる「見返り仏」(「じゅん文学」)、3.塚越淑行「荒地」(「まくた」)、他に「嘴」(「湧水」)
●「文學界」への推薦作
伊藤氏:夏当紀子「ゆれる、膨らむ」(「飢餓祭」)、若草田ひずる「見返り仏」(「じゅん文学」)
勝又氏:米沢朝子「此の岸」(「蒼空」)、水野佳子「曇天アマポーラ」(「河108」)、奨励作として夏川戸詠子「ぐるぐる」(「飢餓祭」)
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2012年4月12日 (木)

「法政文芸」7号<絲山秋子研究>(法政大学)

表題は『絲山秋子「作家特殊研究冊子」1』(法大大学院人文科学研究科日本文学専攻による「2011年度文芸創作研究プログラム」となっており、そのなかに「法政文芸」7号特集「ジェンダーを超える文学」に「絲山秋子インタビュー」がある。大学院で授業として行った一人の作家の研究書であるらしい。
 インタビューでは、創作の過程や手法についてそのスタイルの表面的なところを聞き出す。小説のどこまでが本当か、どこが嘘かなどで、地名などは現実にあるものを出して、話に使う建物は嘘――というものであると8割は本当で、2割の嘘で読ませるような話がある。三島由紀夫なども地名を出して現実味を与えておいて、あとは自由にフィクションで書いている。
 あとは、作品の登場人物、キャラクター、人称研究など、作家と作品、手法をばらばらに分解して研究している。時計を分解してそのままにしたようなものだ。
 結果的に、小説というのは作家個人による総合芸術であるというような感想をもった。奇妙な本、奇書の雰囲気がある。「おまえ」という2人称についての研究を読むと、純文学と娯楽小説との基本的なちがいが、そのこだわりのとこで明確に意識されるものがあり、参考になる。

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2012年4月11日 (水)

「2012年本屋大賞」三浦しをんさん「舟を編む」(光文社)

「2012年本屋大賞」(同賞実行委員会主催)の発表会が10日、東京・元赤坂の明治記念館で開かれ、受賞作は直木賞作家、三浦しをんさん(35)の「舟を編む」(光文社)に決まった。三浦さんは「辞書という身近なものを題材に書いたからたくさんの人に手にとってもらえたと思う」などと語った。
 受賞作は、新しい国語辞典づくりに奮闘する個性豊かな編集者たちを描いた長編小説。昨年9月に発売され、紀伊国屋書店のスタッフが選ぶ「キノベス!2012」で第1位に選ばれるなど話題を集めた。現在38万部のベストセラー。 三浦さんは昭和51年東京生まれ。平成18年に「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞を受けた。
 本屋大賞の2位以下は次の通り(敬称略)。 (2)高野和明「ジェノサイド」 (3)大島真寿美「ピエタ」 (4)中田永一「くちびるに歌を」 (5)小川洋子「人質の朗読会」 (6)沼田まほかる「ユリゴコロ」 (7)宮下奈都「誰かが足りない」 (8)三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」 (9)万城目学「偉大なる、しゅららぼん」 (10)百田尚樹「プリズム」
 また、翻訳小説部門に「犯罪」(フェルディナント・フォン・シーラッハ著、酒寄進一訳、東京創元社)が選ばれた。

関連ニュース

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2012年4月10日 (火)

繭(コクーン)version2 山川豊太郎について=詩人回廊の近況

 5月6日(日)に「第十四回文学フリマ」が開催される。当会は都合が悪く、参加申込みに遅れてしまい残念ながら会としては不参加となってしまった。しかし、「砂」の会が参加する(配置番号A11)ので、「砂」誌と山川豊太郎の作品のある「カフカもどき」を販売することができるようになった。
「カフカもどき」に掲載の「時計台」という作品については、「文芸同志会のひろば」に解説がある。この作品は、大長編のはじまりに過ぎず、現在「詩人回廊」に連載中の「繭(コクーン)version2」に書き継がれている。なにやら社会が荒廃するなかで主人公の境遇にただ付き合わされる話の状況だが、次第に現在社会が従来の秩序の法則からはずれていくのが、暗示的に感じさせられる。

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2012年4月 9日 (月)

第6回「大江健三郎賞」に綿矢りさ著『かわいそうだね?』

  講談社は4月7日、大江健三郎氏の選考により、弟6回の受賞作は綿矢りさ著『かわいそうだね?』(文藝春秋)に決定した。選評は「群像」5月号(4月7日発売)に掲載。5月15日午後7時、東京・音羽の講談社講堂で、受賞を記念し、大江氏と綿矢氏の公開対談を行う。同社では、現在観覧希望者を募集中。講談社ホームページから申込みできる

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2012年4月 8日 (日)

第55回「群像新人文学賞」に小説部門で岡本学氏「失った架空」など決まる

 第55回「群像新人文学賞」(講談社)は、小説部門で岡本学氏「失った架空」が、優秀作に片瀬チヲル氏「泡をたたき割る人魚は」と藤崎和男氏「グッバイ、こおろぎ君。」がそれぞれ選ばれた。評論部門は該当作なし。受賞作品と選評は5月7日発売の「群像」6月号に掲載される。

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2012年4月 7日 (土)

西日本文学展望「西日本新聞」2012年3月30日朝刊・長野秀樹氏

題「自己犠牲」
内山博司さん「愛の系譜を訪ねて」(「飃」89号、山口県宇部市)、羹凪翔(かんなぎしょう)さん「ハイエナ」(「九州作家」126号、北九州市)、宇田尾昇さん「蒼いめざめ」(「九州作家」)、「九州作家」より浜田麻里さん「雨に泳ぐ鳥」、第七期「九州文学」(17号、福岡県中間市)より花田衛さん「幻影記」(下)」・掌篇小説コーナーより山東崇昇さん「貝少女」・波佐間義之さん「老いこらす」、「照葉樹」(福岡市)第二期
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2012年4月 6日 (金)

同人誌時評(2月)「図書新聞」(2012年03月24日)福田信夫氏

題「力作エッセイと評論が目白押し」
『朝』31号より中村俊輔「真説眞杉静枝 第21話(2)」、『異土』4号より松山慎介「中野重治-『ねばならぬ』を生きた文学者」・月野恵子「作家尾崎翠に触れて-小説『第七官界彷徨』を中心に」、『あしへい』(河伯洞記念誌)14号の特集・鈍魚庵(東京・阿佐ヶ谷の火野葦平旧宅)より谷末要一「『鈍魚庵』の今」・江崎将人「葦平全集の意義について」・谷村順一「同人誌展を通して」・小林修典「対馬の作家、竹内重夫」、『群系』28号《特集》「震災・戦争と文学」より長野悟「文芸誌とメディアにみる『3・11』と過去の大災害」・野口存彌「大田洋子と原子爆弾-人間の不幸へ注ぐまなざし」、『同時代』(第3次)31号の特集「扉・門」より富田裕「心の扉を開ける-千年の準備をすること」・堀内正規「ディキンスン、切岸に立つ詩人」、『玉ゆら』35号より秋山佐和子「原阿佐緒ノート」・三ヶ島葭子新資料(28)解説 餅と輪かざり」・「釈迢空の歌(32)洋なかの島べ」、『女人随筆』125号より井久保伊登子「日向物語(七)米良街道」・「私の歩んで来た道(10)-大阪で」、『架け橋』4号の特集「忘れられない光景」より二ノ宮一雄「わが敬愛する文学者たち(その三)-芥川賞史上最高齢受賞者・森敦」、『野火』40「冬号」(創刊10周年記念号)より八城水明「四季万葉(40)冬」・特集「短歌と私」、『狼』(第二次)59号より石井昭子「俳句エッセイ『いきてる』」、『群獣』13号より長谷川寛「漂流」・塚澤正「陸前浜街道の戦い」、『黄色い潜水艦』55号より宇多滋樹「川の風景 橋本」・島田勢津子「山へ向かう」
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2012年4月 4日 (水)

ブラック・ジャック原案使用  感動の医療体験談募集

手塚治虫マガジン倶楽部【感動の医療体験談募集】 医療の現場に携わる皆様から寄せられた、感動の医療体験談を基にマンガ化します。医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師など医療に携わる皆様が今までに体験した、心温まるエピソードをお寄せください。ご応募、お待ちしております。

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2012年4月 3日 (火)

出版社が文庫の充実に力を入れる

単行本不振、ゆらぐ慣行 小説「文庫」が主戦場(産経)「仕掛けが早く、本気度が伝わってきた」。東京都内の書店員がそう話すのは、28日から3カ月連続で文庫版が刊行される村上春樹さんの長編小説『1Q84』の宣伝手法だ。出版元の新潮社は、1月初旬に自社サイトで早々と文庫化を予告。4月2日からは山手線などJR東日本の電車内でも15秒の宣伝映像を流す。

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2012年4月 2日 (月)

【Q4】今年の本屋大賞はどの作品だと思いますか?(BEST3)

1位)『舟を編む』 2位)『ジェノサイド』 3位)『ビブリア古書堂の事件手帖 ―栞子さんと奇妙な客人たち』
【Q1】本屋大賞を知っていますか?
  ・知っている…93.3%  ・知らない…6.7%
【Q2】本屋大賞への注目度は?
  ・とても注目している…14.5%  ・どちらかと言えば注目している…48.3%  ・どちらかといえば興味がない…22%  ・まったく興味がない…4.5%  ・どちらでもない…6.1%  ・賞そのものを知らない…4.7%
【Q3】過去の本屋大賞受賞作のうち、読んだ作品を教えてください(複数回答)
  2004年『博士の愛した数式』…51.3%  2009年『告白』…37.7%  2011年『謎解きはディナーのあとで』…35.6%   2005年『夜のピクニック』…35%  2008年『ゴールデンスランバー』…31.6%  2006年『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』…28.1%  2007年『一瞬の風になれ』…21%  2010年『天地明察』…18.7%
(講談社『BOOK倶楽部メール』 2012年4月1日号)

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2012年4月 1日 (日)

拾い読みから全体読みにいくのか?「詩人回廊」の動向

 もともと文章表現技術として、詩及び詩的散文の場であった「詩人回廊」は、評論や旅行記としても活用されるようになった。これは当初の発想からは、変容している。ここへきて、新聞連載小説にあるような「連載」を試みようとする動きが出てきた。
 これを一部の拾い読みから作品全体を読んでもらう、というか、読ませるための技術の鍛錬の場にしたらどうか、という方向転換、方向拡大に変容させてきている。最近では「豊田一郎の庭」が生まれた。豊田氏には大分以前から、当会の試みに参加するように働きかけてきたが、「あなたの新しい試みには敬意を表するが…」という調子で、いずれも断られてきた。
 豊田氏は「孤愁」という個人誌を出している。その文章の粒立ちの良さから、連載小説にして不特定多数に読むようにしたら良いのではないかと思っていた。今年になって、ほかの会員からも長編連載を意識したものが出始めたので、豊田氏にまた声をかけ、しぶしぶというようなところを強引に参加してもらった。
 文章の粒立ちが良いというのは、書店で立ち読みするように、一部を読んでなんとなく全体を読みたくさせる要素のことである。
 現在のところ、出だしは好調である。「電動人間」では、生活の世話をしてくれていた奥さんが亡くなって、身の回りの世話を自分でやるようになったところからはじまっている。
 偶然に編集者のわたしは、ここへ来て家の者が車椅子生活になって(介護度3だそうである)、身の回りやゴミ出しを自分でやるようになってしまった。燃えるゴミと燃えないゴミ捨ての日のカレンダーに関心を向けるようになった。それを知っている会員からは「あなたのことじゃないのか」といわれたりする。
 だいたいの企業・団体は3月が期末で、頼まれ仕事の契約もここで切れる。ここらで文学に力を入れようと思って、活動を活発化させるつもりだ。
 4月から「山川豊太郎の庭」も長編連載を開始をはじめた。言葉による表現において、読者と書き手との関係はどういうものなのかを考えるのに「詩人回郎」は実験の場にしたい。
「詩人回廊」のシステム【参照:文芸同志会のひろば

 

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