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2012年4月12日 (木)

「法政文芸」7号<絲山秋子研究>(法政大学)

表題は『絲山秋子「作家特殊研究冊子」1』(法大大学院人文科学研究科日本文学専攻による「2011年度文芸創作研究プログラム」となっており、そのなかに「法政文芸」7号特集「ジェンダーを超える文学」に「絲山秋子インタビュー」がある。大学院で授業として行った一人の作家の研究書であるらしい。
 インタビューでは、創作の過程や手法についてそのスタイルの表面的なところを聞き出す。小説のどこまでが本当か、どこが嘘かなどで、地名などは現実にあるものを出して、話に使う建物は嘘――というものであると8割は本当で、2割の嘘で読ませるような話がある。三島由紀夫なども地名を出して現実味を与えておいて、あとは自由にフィクションで書いている。
 あとは、作品の登場人物、キャラクター、人称研究など、作家と作品、手法をばらばらに分解して研究している。時計を分解してそのままにしたようなものだ。
 結果的に、小説というのは作家個人による総合芸術であるというような感想をもった。奇妙な本、奇書の雰囲気がある。「おまえ」という2人称についての研究を読むと、純文学と娯楽小説との基本的なちがいが、そのこだわりのとこで明確に意識されるものがあり、参考になる。

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