遅咲き新人の風 人生経験、読書量、感性も若く
小説界 遅咲き新人の風 人生経験、読書量、感性も若く (産経)
昭和22~24年に生まれ、現在60代前半から半ばに差しかかった「団塊世代」は700万~800万人に上る。書籍の年間販売金額がピークの平成8年に比べて約25%も落ち込んでいる出版不況下で、「この大票田を眠らせているのはもったいない」(校條さん)との声は少なくない。
講談社が昨年始めた「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」は応募資格を満60歳以上に限定している。余暇生活に入った団塊世代から埋もれた才能を探そうと、同世代の推理作家、島田荘司(そうじ)さん(63)が発案した。217編の応募から選ばれた受賞作「ショートスカート・ガール」は盗撮事件を題材にしたミステリー。著者の和装品店経営、加藤真男さん(61)はもとは漫画家志望だった。「目指す表現が漫画より小説に合っていると分かったのは50歳を過ぎてから。自分を見つめ直すのに遅すぎるということはない」と語る。村上春樹さんら時代を牽引(けんいん)する作家を送り出してきた群像新人文学賞(講談社主催)でも74歳のフリー編集者、藤崎和男さんの作品が優秀作に選ばれるなど、ジャンルを問わず遅咲きの新人の健闘が目立つ。
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