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2012年3月28日 (水)

著者インタビュー: 橋本紡さん 『今日のごちそう』

――新刊『今日のごちそう』は、どんな作品ですか?
A)これは、原稿用紙10枚の掌編を月に1本、という枠で2年間連載したものです。この枚数で毎回毎回、設定を作り、小説としての読みどころを作っていくのは大変な作業で、とても鍛えられました。小説を書く筋トレを積んだような感じです(笑)。いま読み返すと、書いた当時のことを思い出したり、文体も2年の間に変わったりしていて面白いですね。
――おいしそうな料理がたくさん登場しますが、橋本さんご自身がお料理がお好きなのでしょうか。
A)はい。料理は好きでよく作ります。作品に出てくるメニューは、それを書いた日の我が家の晩ごはんです。ただ手料理というのは、“だいたい”で作って、作るたびに少しずつ手順も味も変わるものだと思っています。あまりきちんとしたレシピに沿って作っているわけではないんです。豆をじっくり煮たりするのも好きなんですが、最近いそがしくて、なかなかできないのが悲しいですね。
――作品には、恋愛中の女性や若い夫婦、小学生からおじいさんまで、さまざまな主人公のドラマが描かれていますが、ご自身としてとくに気に入っているお話はありますか?
A)高校生の男の子と女の子が主人公の「うどん」というお話があるのですが、それに出てくる男の子の明るいキャラクターとか、二人の関係が少しずつ動いていく感じは気に入っていますね。小道具のマニキュアの描き方とか。あとは子どものいない夫婦に姑が電話をかけてきて……という「漬け物」も好きです。小説には季節の移り変わりなどの情景が大切だと思っているのですが、このお話では散った桜を描いています。これからもこういった「大人の小説」を書いていきたいと思っています。(講談社『BOOK倶楽部メール』 2012年3月15日号)
 

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