« 2012年2月 | トップページ | 2012年4月 »

2012年3月31日 (土)

詩の紹介 「臨界」 山崎夏代 [流]36号より

「臨界」 山崎夏代 
澱んだ なまぬるい 湯に浸っているような
停滞
時間は のびきってたわむ/しあわせな怠惰 に/酔いしれれば/
おくび ひとつ
ゆらりと わたしはかたむいて/歴史の尻から こぼれ落ちる
臨界・・・・・・・・
             (2012年 3月 川崎市宮前詩の会)

紹介者 江素瑛(詩人回廊
 辞書で「臨界」とは、1 さかい。境界。2 物質が臨界温度・臨界圧力に達すること。臨界状態になること。→臨界点 →超臨界水3 核分裂連鎖反応で、中性子の生成と消失とが均衡状態になること。原子炉では、核分裂連鎖反応が一定の割合で継続するようになること。
  目まぐるしい日常から音楽の休止譜のように次の展開へ供える一時の空白的瞬間。夥しい音符の流れが無音に帰そうとする一時、自分が操れるマイ時間に自分と時間だけの、水ではなく気体でもない。暖かい霧である。「時間は のびきってたわむ/しあわせな怠惰 に/酔いしれれば/おくび ひとつ」と時間をみつめる作者。

| | コメント (0)

2012年3月30日 (金)

同人誌「雑木林」第14号(枚方市)

【「あきらめない続・二」井上正雄】
 冒頭は「妻の昌子が病院で意識不明になってからよみがえることなく二年半を過ぎた。その後の状況の手記である。」となっていて、その後の三年にわたる介護の記録である。介護をしながら筆者は、妻の元気だった頃の夢を良くみる。そして「退職後もいろいろボランティアの仕事で忙しかった。今にして思えばそんなことをするよりも、二人で世界を旅行して回った方がずっといい余暇にちがいないと残念に思うのだが今更しょうがない。」とし、介護の二人きりの時間を今までにない濃密な時間を過ごしていると感じるのである。その介護生活が詳しく述べられているのだが、何故か読みがいがある。そこには、人が生きることが何であるかが示されているからであろう。
【「白川正芳さんの世界」安芸宏子】
 09年に発行された「藝術百科」という本に文芸評論家の白川正芳氏の俳句が多く載っているという。白川氏の埴谷雄高の評論は読んでいるが、俳句は知らなかったので興味深かった。もののあわれをロマンチチックに明朗化する作風に人柄を感じさせるものがあり、よい解説に読めた。
【「青いコップ」村上節子】
 今年の夏に沼津の千本松の浜辺で青いコップを拾って机に置いている。すると、ロンドンで亡くなった息子の姿が甦る。失われた愛は、いつも心のなかに渦巻いて消え去ることがない。短いが哀愁に満ちた詩的散文である。
                  (紹介者・伊藤昭一「詩人回廊」編集者)

| | コメント (0)

2012年3月29日 (木)

「ハリー・ポッター」シリーズ英語版が電子書籍に!ソニーから

 「ハリー・ポッター」シリーズの専門サイトPottermoreに電子書籍販売コーナーが新設された。シリーズ全7巻の英語版をダウンロード購入できる。フォーマットはEPUBで、米AppleのiOS端末や米GoogleのAndroid端末、ソニーのReaderなど多数のタブレットや電子書籍リーダーで読むことができる。価格は1~3巻が4.99ドル、それ以降は6.99ドル。 Amazon.comはハリー・ポッターのKindle向け電子版の専用ページを公開。こちらの価格は、3巻目までは7ドル99セント、4巻以降は11ドル19セントとなっている(日本時間の28日午前8時現在)。
  Pottermoreによると、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語版も間もなく公開するという。その他の言語版も公開する予定とあるが、日本語版については不明だ。 ハリー・ポッターの公式サイトであるPottermoreは昨年6月に、ソニーの協力の下、立ち上げられた。
《参照:電子書籍事業に政府が出資

| | コメント (0)

2012年3月28日 (水)

著者インタビュー: 橋本紡さん 『今日のごちそう』

――新刊『今日のごちそう』は、どんな作品ですか?
A)これは、原稿用紙10枚の掌編を月に1本、という枠で2年間連載したものです。この枚数で毎回毎回、設定を作り、小説としての読みどころを作っていくのは大変な作業で、とても鍛えられました。小説を書く筋トレを積んだような感じです(笑)。いま読み返すと、書いた当時のことを思い出したり、文体も2年の間に変わったりしていて面白いですね。
――おいしそうな料理がたくさん登場しますが、橋本さんご自身がお料理がお好きなのでしょうか。
A)はい。料理は好きでよく作ります。作品に出てくるメニューは、それを書いた日の我が家の晩ごはんです。ただ手料理というのは、“だいたい”で作って、作るたびに少しずつ手順も味も変わるものだと思っています。あまりきちんとしたレシピに沿って作っているわけではないんです。豆をじっくり煮たりするのも好きなんですが、最近いそがしくて、なかなかできないのが悲しいですね。
――作品には、恋愛中の女性や若い夫婦、小学生からおじいさんまで、さまざまな主人公のドラマが描かれていますが、ご自身としてとくに気に入っているお話はありますか?
A)高校生の男の子と女の子が主人公の「うどん」というお話があるのですが、それに出てくる男の子の明るいキャラクターとか、二人の関係が少しずつ動いていく感じは気に入っていますね。小道具のマニキュアの描き方とか。あとは子どものいない夫婦に姑が電話をかけてきて……という「漬け物」も好きです。小説には季節の移り変わりなどの情景が大切だと思っているのですが、このお話では散った桜を描いています。これからもこういった「大人の小説」を書いていきたいと思っています。(講談社『BOOK倶楽部メール』 2012年3月15日号)
 

| | コメント (0)

2012年3月27日 (火)

第1回日本医療小説大賞は帚木蓬生氏の2作品に

日本医師会と新潮社は「第1回日本医療小説大賞」の3月23日の選考会で、帚木蓬生氏『蠅の帝国 軍医たちの黙示録』『蛍の航跡 軍医たちの黙示録』(ともに新潮社刊)の2作品に決めた。
 帚木氏の経歴。東京大学仏文科卒。TBSに勤務。退職後九州大学医学部を経て精神科医に。その傍らで執筆活動。受賞歴ーー
1975年 - 『頭蓋に立つ旗』で第6回九州沖縄芸術祭文学賞
1990年 - 『賞の柩』で第3回日本推理サスペンス大賞佳作
1992年 - 『三たびの海峡』で第14回吉川英治文学新人賞
1995年 - 『閉鎖病棟』で第8回山本周五郎賞
1995年 - 福岡県文化賞
1997年 - 『逃亡』で第10回柴田錬三郎賞
2010年 - 『水神』で第29回新田次郎文学賞
2011年 - 『ソルハ』で第60回小学館児童出版文化賞

| | コメント (0)

2012年3月26日 (月)

文芸時評4月号 早稲田大学教授・石原千秋 書かないことで書く

文芸時評4月号 早稲田大学教授・石原千秋 書かないことで書く(産経.3.25)川上未映子「お花畑自身」(群像)は短編小説。夫の会社が倒産して丹精込めて築きあげた自宅を手放さなければならなくなった50代の主婦の意識や思考の流れを、もちろん一人称で書いている。その家は31歳の作詞家に家具ごと買われるのだが、忘れられなくなった主婦は家に行き、水やりが十分でない庭に入って水やりをしてしまう。そこで、作詞家に「主婦のアイデンティティは家にしかないだろうが、強いて言えばどこか」という意味のことを問われた彼女は「庭」と答えて、それではと、庭に埋められてしまう。それがタイトルの意味だ。主婦の語りに50代の女性の生活感がないのは残念だが、文字の間から文字通り首までドップリ主婦に染まった女性への愛憎が立ち上がってくる奇妙な感覚はまちがいなくある。その感覚が誰のものかを言うことはできないのだが、川上未映子のスタイルが出来上がりつつあるようだ。その意味で、短編ながら読み応えがあった。

| | コメント (0)

2012年3月25日 (日)

同人誌「アピ」2号(茨城県笠間市)

【「末期がん」篠垤(しのづか)潔】
 がんの余命と医師の宣告について、医師が病状観測を患者に告げなかったので、患者が死期を知らずに過ごしたことについての裁判があったことの話から始まる。
 筆者は、1944年に広島で生まれ、広島原爆零歳被爆者で、現在、広島原爆特別養護ホームに入園している。その境遇からのレポートである。
 それによると、筆者は、
「1996年(平成8年)に肺がんの告知を受け、治療法を求め5つの病院で診察を受けた。重度の心臓機能障害があり、初期がんだが、外科治療法をはじめまったく治療法がないとされる。
 さらに肺がんでも治療方法の異なる小細胞がんか、非小細胞かの確定診断に必要な気管肢内視鏡検査や針細胞診断もできないという。仮に可能とする治療法があったとしても何も出来ないのだ。
 幸い私の肺がんは肺内転移だけで、がん細胞の石灰化による壊死が一部認められ告知から15年が経つ。
 医学でいう5年生存率の観点からすれば治癒したと見なされる。しかし、私の肺がんは白血球が1万を超え、肺内転移の範囲は広く末期がんに近い病状になってきた」とし、
さらに「零歳被曝者の私にとってがんの発症は原爆放射線後障害の疑いは拭えない」という感想を記す。
 このような境遇からの表現の場というのは、日本の同人雑誌ならではの役割りを示している。とくに零歳児で放射能被曝をしたという点が、現在の福島第一原発事故以来、関心を呼んでいる放射能被害についての貴重な記録に思える。篠垤(しのづか)さんは、肺がんが原爆放射能の影響と考えているらしいが、その前の重度の心臓機能障害がすでに放射能の影響なのではないか、という推測が可能なような気がする。
発行所=309-1722茨城県笠間市平町1884-190、文学を愛する会。
 《参考》なお、放射能被曝の人体への影響については、少量なら良い影響があるというラッキー博士の研究<   玉川温泉のがん患者と「ホルミシス効果」の関係>や、それが重大な悪影響があるという<バンダジェフスキー博士の警告>研究がある。

| | コメント (0)

2012年3月23日 (金)

【Q1】本を選ぶときオビ情報は必要ですか?

  ・必要…29.3%  ・どちらかといえば必要…38.8%  ・どちらでもいい…20.8%
  ・どちらかといえば不要…7.4%  ・不要…3.7%
【Q2】オビは装丁全体としてみたとき(デザイン的に)どう思いますか?
  ・必要…23.6%  ・どちらかというと必要…29.3%  ・どちらでもいい…25%  ・どちらかというと不要…16.3%  ・不要…5.8%
【Q3】オビがきっかけ(決め手)となって読んだ作品はありますか?
  ・はい…50.1%  ・いいえ…23.9%  ・覚えていない、わからない…26%
(講談社『BOOK倶楽部メール』 2012年3月15日号)

| | コメント (0)

2012年3月22日 (木)

詩の紹介 祈禱書(烏)平野 充   (「幻竜」第15号)

「不在」
はじめての出会いと同じように/ここに戻って来て見えたものは/夥しい点であった。/わたしにふさわしい場所が そこにあったかどうか。/その点のなかに/わたしが いったのか いなかったのか
依然としてわたしは知らないという
この見知らぬもの/遥か地平のはずれに爪を立て/わずかばかりの痕跡を残し。明らかに そのことについて/わたしについて/わたしを見たというものの/数千年経った今もなお/骨の所在を知らず/おのれの影に怯えることもなく/まして/立って歩いたという記憶すらないまま/いまだに/わたしについての答えはない(2012年 3月 川口市 幻竜舎)

紹介者 江素瑛(詩人回廊
「わたしと死」「不在」「寓話」のうちのひとつ。どこからスタートしてどこに戻るのか運動場の歩道一周のような生の循環。無から有になり、有から無に戻る。「遥か地平のはずれに爪を立て/わずかばかりの痕跡を残し」と作者が囁く通り、せっかくこの世に暫く身に寄せ、一生を過ごしてきた。どんな生であるか、しるしを刻んで残したい。しかし意欲があっても、爪をたてた痕跡が僅かに残る場合があるが、痕跡さえ残らないのがほとんどである。
「その点のなかに/わたしが いったのか いなかったのか」時間が過ぎると過去のわたしの存在は不在になる、この世にわたしはただの旅人、誰でも過去のわたしの存在を証明することができない。自己存在の不確定さを示すことで、存在への確証を得ようとするのが人間の業なのか。

| | コメント (0)

2012年3月21日 (水)

文芸同人誌評「週刊読書人」(2012年03月02日)白川正芳氏

 福島市の「胡乱」(ウロン)3号は東日本大震災を特集。巻頭は「昭和五十年 福島原発訴訟 原告四〇四人-手書きの陳述書」・弁護士安田純治氏の寄稿「原発裁判と原発事故に対する感想」・同特集より丹治宏大「胡乱対談-東北とは」
村上節「若松丈太郎詩集『北緯37度25分の風とカナリア』を読む」、村岡功「私の浅田次郎論」(「新現実」新年号)、「雑木林」14号より安芸宏子「淀川左岸という名称」
中村清子「花どろぼう」(「天気図」10号)、宇部ひさえ「こんな犬の話」(「八月の群れ」54号)、葛野須耶子「離愁」(「AMAZON」451号)、足立正男「ひょうたん」(「竜舌蘭」182号)、野口あや子「時評 ガルマン一〇〇回記念歌会印象記」(「未来」721号)、二ノ宮一雄「わが敬愛する文学者たち 森敦」(「架け橋」4号)
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

| | コメント (0)

2012年3月20日 (火)

文芸誌「照葉樹」二期(創刊号)

【「変成自分史~中年バックパッカー独り旅・南米編Ⅰ」西村弘之】
 ペルーのマチュピチュを目的に、ダラス空港経由でサンパウロに向う。その面白さや良さを紹介するには、写し書きすることになるので、しないが、とにかくお勧め。旅行記として、臨場感もあるがそれにプラスする歯切れの良い文章力。旅行記で久しぶりに地味ながらの才気というか、良い表現力で魅力的な読み物に出会った。これまで相当書き溜めたものがあるのではないか。タイトルが同人誌的で自分の気持ち優先だが、読ませてやるというタイトルにすれば、広く読者を獲得できるような感じを受けた。
(紹介者・伊藤昭一「詩人回廊」)

| | コメント (0)

2012年3月19日 (月)

【エンターテイメント小説月評】

【エンターテイメント小説月評】お金の牢獄に落ちる主婦幸せだったはずの主婦がお金の牢獄(ろうごく)に捕らわれる、角田光代『紙の月』(角川春樹事務所)だった。
 窪美澄『晴天の迷いクジラ』(新潮社)も壊れた心に迫っている。
(上田早夕里(さゆり)『ブラック・アゲート』(光文社)は粋なスリルを堪能できる。
 中路(なかじ)啓太『うつけの采配』(中央公論新社)は西国の雄・毛利元就(もとなり)の孫として生まれ乱世を駆け抜けた吉川(きっかわ)広家の物語だ。な戦略家ぶりは、ドジョウと名乗るあの人を思わせもするのだが……。(文化部 佐藤憲一)


| | コメント (0)

2012年3月18日 (日)

同人誌「R&W」11号(愛知県)

 本誌は「朝日カルチャーセンター」の教室仲間で、藤田充伯講師の受講者たちの研修成果を問うもの。昨年10号の発行時点で、地域の公的な補助金が出るようになったとある。東京では考えられないことで、愛知県ならではのことであろう。目を通していたが、紹介する余裕が持てなかった。10号から藤田充伯講師がエッセイを書いている。落ち着いた筆致で、読ませて印象に残るものである。
【「雨音」霧関忍】
 吉本隆明の亡くなる前に書かれたものであるが、全共闘時代の活動家の話である。主人公の友人で、活動家でなかった男が、主人公の男の部屋にいたので、鉄パイプで活動家のセクト争いのゲバ襲撃を受けてしまう。主人公は友人が死んだものと思い、その襲撃に自分が絡んでいること隠すように細工する。ところが友人は、意識不明の重態ではあったが、死んでいなかった。そこで、主人公の正体……とミステリー風になるのだが、これは小説だが、この時代はゲバ襲撃で死んだり、身体障害者になったりした者が多く出た。経済成長時代の光の部分と裏の暗部である学生革命活動を題材に、論理とは無関係な情念に動かされ、時代に押しつぶされた世代を描く。あれは何であったのかと、感慨深いものがある。
 発行所=〒480―1179愛知県長久手上井堀82-1、渡辺方「R&Wの会」
(紹介者・伊藤昭一「詩人回廊」)

| | コメント (0)

2012年3月17日 (土)

文芸総合誌「構想」2011年12月第51号(長野県東御市)

【「神話入門」畠山拓】
 生活のなかで文学がどのようなポジションにあるのか。この作品では、主人公の精神構造に占める様相が自由闊達な筆致で表現されている。55歳の男と35歳の女との付き合いに生じる空気を文学作品引用を活用して、抽象化している。イザナギとイザナミの日本神話から、ドストエフスキー「地下生活者の手記」、バルザック「サラジーヌ」「セラフィタ」、バージニア・ウルフ「オーランド」、大江健三郎、澁澤龍彦「夢の宇宙誌」、プラトーン「饗宴」、カミユ「シーシュポスの神話」「異邦人」「ペスト」などを登場させて、味付けを利かせて楽しませる。
【「大逆事件の発端」崎村裕】
 崎村裕・著「百年後の友へ~小説・大逆事件の新村忠雄」(かもがわ出版)を刊行した作者。官憲が幸徳秋水を抹殺する手段として、その発端となった人物、宮下太吉の無計画性に富んだ行動、気まぐれと同居した実行力を、丹念に調べ、人間性へのミステリアスな語り口で追究する。とにかく興味を誘って眼を離させない。現代では、時代の空気が異なるために、なかなか理解しにくい微妙な部分を提示して、文学的な説得力がある。
 発行=〒389-0504長野県東御市海善寺854-98「構想の会」
(紹介者・伊藤昭一「詩人回廊」)
なお、東御市は当会の所在地域の東京・大田区と提携交流市で秋になると市・町長さんがやってきている。特産品も販売される。

| | コメント (0)

2012年3月12日 (月)

西村賢太さん芥川賞受賞したら年収10倍5200万円にアップ

芥川賞作家の西村賢太さん(44)がテレビ出演し、女性観や、風俗店について語り、予想通りそのダメっぷりで会場を引かせたが、ネットでは、芥川賞受賞前の年収が480万円とわかると雰囲気が一変。「俺達の仲間ではなかった」などと失望が広がることになった。
西村さんのイメージと言えば、中卒で職を転々。風俗店が大好きで借金しながらも通い続けている、などのイメージで語られていた。それでも作家になれて芥川賞を受賞。まさにダメ人間の希望の星のような存在、とされていた。
「そろそろ風俗に行こうと思っていた」の発言で有名な西村さんは、2012年3月5日放送の「笑っていいとも!」に登場。受賞後の収入を聞かれると「年収が10倍になった」と明かした。年収480万円だったのが、過去の作品も売れたためなんと5200万円にもなったのだそうだ。
結婚はしないのか、という質問で、いつもの「西村節」が炸裂。「嫁が老ける一方だから、結婚するのは損」
「家族を養うためにお金を使うのはナンセンス」
J-CASTニュースニュースエンタメ「ダメな人のヒーロー」でなかった芥川賞作家 年収480万円もあったとネットで失望広がる

| | コメント (0)

2012年3月11日 (日)

穂高健一の「フォト・エッセイ入門」を4月開設!朝日カルチャー・新宿

 直木賞作家・詩人の伊藤桂一氏の門下生仲間、穂高健一氏の「フォト・エッセイ入門」が4月から朝日カルチャーで開設されます。ブログや広報誌、冊子などで、読者に共感を呼び起こすためには、文章や写真にひと工夫が必要です。書き方、撮り方だけでなく、伝えるとは何かを学びます。毎回丁寧に添削、講評するらしい。
 新宿の「朝カル」はまだ健在なんですね。なつかしい。わたしは企業のPR冊子や新聞制作を依頼された時に、企業から「朝カル」で教授の話を聴いてからやってと、派遣されて講座を聴いたことがある。販売促進担当のひとから「あなたは、勉強するにも、取材旅行も人の金でやるのだから、いいね。いままで、自分にいくら使われているか気にしていないのだから」と言われたものだ。だけど、キャンペーンが成功すれば、手柄はその担当者のものになるのだから、いいのでないの、と思っていた。穂高さんがここの講師をするなんて感慨がある。

| | コメント (0)

2012年3月10日 (土)

濱嘉之さん『列島融解』

 昨年三月十一日に発生した東日本大震災とこれに伴う津波による被害は、国内のみならず、海外にも大きな影響を与えた。なかでも、福島第一原発の事故は原子力政策を推進していた多くの国家にあらたな課題を突きつけた形となった。
 原子力の有効利用のうち、最もその存在が示されているのが発電である。これに関しては、いつの間にか作り上げられていた「安全神話」なるまやかしを多くの国民が信用させられてきた背景があった。
  本書の冒頭で「エネルギー政策というのは、本来、経済政策として捉えるべきものなんですよ。そしてそれはすなわち、この国の形を描きなおすことなんです」という文言を敢えて入れている。事故以降、多くのマスコミや政府要人は今回の事故を全て電力会社の責任として、その攻撃に終始していた。
 しかし、果たしてそうだろうか? 原子力政策、エネルギー政策というのは、元々、国家の経済政策として始められ、それを請け負わされているのが電力会社だったのではなかったのだろうか?
  私は警察という職務に二十二年半の間奉職してきた。ただ、警察という職業は極めて幅が広く、セクションによっては極めて専門的な知識を要求される。内閣官房内閣情報調査室に勤務した当時は二度の政権交代が行われた。
 与野党の対立軸からイデオロギー闘争という牙が抜かれるようになると、政治的対立の真相を究明しなければならなくなる。一方でイデオロギー闘争に支えられた反原発運動の裏面も垣間見てきた。
 そしてその経験が退職後、衆議院議員の政策担当秘書という形で役立つことになった。政界再編という現実が、物事を両面から、あるいは多面的に見る習慣を身につけさせてくれた。現実に目を向けると多くの難題が山積しているが、その中でもエネルギー問題と、これに影響を受ける産業は待ったなしの状況にある。「これからのこの国の姿を描きなおす」。そして将来、この国を支えて行こうとする人が暮らしやすい社会にするには、国家の形はどうあるべきか……。真剣に考えて記したのが本書である。この国の宝は叡智と技術と勤勉さである。これが失われた時、国際社会では国家として必要とされない時が来る。その前に何をすべきか……その一隅に光を当ててみた。   <濱 嘉之>【講談社ミステリーの館】2012年3月号 

| | コメント (0)

2012年3月 8日 (木)

同人雑誌季評「季刊文科」2012年2月・55号

◆松本道介氏「文学の衰え」
じんひさし「風の道」(「視線」復刊第2号、函館市)、定道明「風を入れる」(「青磁」28号、福井市)、遠藤昭己「鹿沼」(「海」84号、三重県いなべ市)、桂城和子「猿桜」(「グループ桂」65号、鎌倉市)、黒川嘉正「精霊流し」(「詩と眞實」750号記念号、熊本市)、宇江敏勝「馬と津波」(「VIKING」731号、和歌山県高野町)
◆勝又浩氏「洪水の後で」
難波田節子「ノアの孤独」(「季刊遠近」44号、東京都)、花島真樹子「村暮らし」(同)、立石富生「ふわふわと。」(「火山地帯」167号、鹿屋市)、橋倉久美子「神戸・大阪修学旅行」(「文宴」116号、松阪市)、田中重顕「老残日記」(同)、「季刊作家」(70号、豊田市)創刊20周年記念号より濃野初実「からす姫」、若草田ひずる「見返り仏」(「じゅん文学」70号、名古屋市)、乾夏生「おふくろが居る風景」(「槐」28号、佐倉市)、小城ゆり子「白い壁」(「あるてみす」8号、千葉市)、野上卓「不安な運行」(「文藝軌道」15号、神奈川県大磯市)
●「同人誌の現場から」投稿は以下
「文芸同人誌『燔』」岩崎豊一(「燔」編集発行人)、「同人雑誌の読書会から生まれた『あべの文学』」奥野忠昭(「アベノ作品批評会」事務局担当)、「イロニカルなセレクトショップ」木戸博子(「石榴」代表)、「浜田雄治『野田栄二』と『浜田雄治』」(「視点」編集委員)、「同人誌の現場から」藤井総子(文芸誌「海峡」事務局)
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

| | コメント (0)

2012年3月 7日 (水)

高里椎奈さんの新作ファンタジーシリーズ開始

 こんにちは、高里と申します。お邪魔いたします。3月初旬に講談社ノベルスさんから、新作ファンタジー、『アケローンの邪神』を出させて頂く事になりました。
 以前、書かせて頂いたファンタジーは人と国のお話でしたが、今作は少し、剣と魔法よりです。呪文と共に指先から格好よく炎を飛ばしたり、剣に稲妻が迸ったりはしませんが、この世界の『魔法』とはどんなものか、シリーズを通じて、一緒に探して、考えて、見付けて頂けたらいいなと思っています。第一巻は新たな世界の序章となります。海の端に位置する島国と、統治する王、構成する民族、そして、これから人生を大きく変えていく人達の始まりの物語を皆様の許に迎えて頂ければ幸いです。
 追伸。懐かしい顔と再会する事がありましたら、心の中でそっと手を振って頂けたら嬉しく思います。【講談社ミステリーの館】2012年3月号。

| | コメント (0)

2012年3月 6日 (火)

文芸月評(2012年3月2日 読売新聞)余白に響く震災後の声

文芸月評(2012年3月2日 読売新聞)余白に響く震災後の声 筒井康隆氏、西加奈子氏、本谷有希子氏 批評家の陣野俊史氏(50)が、連載評論「文学へのロングパス」(文学界)を始めた。
 今月の文芸誌も、得体の知れない短編が目立つ。筆頭は、本谷有希子氏(32)「13の“アウトサイド”短篇集」(群像)だ。カーテンの膨らみが気になる女、恋人に決闘を申し込まれる男、雨傘を持つ怪しい中年など、変な人間たちを寸描する作品を集めた。
『通天閣』などの人気作がある西加奈子氏(34)「ちょうどいい木切れ」(すばる)は、「すごく大きな男」が「すごく小さな人」に出くわす。電車で隣り合わせになったり、言葉を交わしたりする。津村記久子氏(34)「給水塔と亀」(文学界)は、海辺の故郷に帰った男が、アパートの前の住人が飼っていた亀を引き継ぐ。
 筒井康隆氏(77)「不在」(新潮)は、より直接的に3月11日以降の世界を扱った五つの話からなる短編だ。冒頭の話は、公民館の避難所や瓦礫(がれき)撤去の風景から書き出される。作業に従事する色白で睫毛(まつげ)の長い自衛隊員、口紅の濃い会社の社長……。何かおかしな風景には、思わずアッと言わされる仕掛けが施されている。
 長編では、山崎ナオコーラ氏(33)「昼田とハッコウ」(群像、2010年3月号~)が連載を終えた。
 谷崎由依氏(33)「見おぼえのない女」(群像)は、苦手な上司と働くことになり、うつ気味になった1児の父でもある会社員が主人公。派遣社員の女性と精神科病院で偶然出会い、不倫関係に落ちる。(文化部 待田晋哉)

| | コメント (0)

2012年3月 5日 (月)

詩の紹介 「それでよい」北条敦子(田園・詩と批判150より)

それでよい  北条敦子
いつも通っている住宅街/ある日ブルドーザーの激しい音/その家は粉砕され粉砕されて/たちまち瓦礫の山に/やがて明くる日 明くる 日を追うごとに /瓦礫は片付けられ片付けられて/家の形跡は微塵もなく更地に

元はどんな家だった?/更地を目前に一瞬 過去の映像を追うのだが/すーっと浮かんできた例しがない/毎日通っているのに/記憶ってそんなものなのか

きょうは快晴/さんさんと日は降りそそぎ/風は自由気儘に行ったり来たりしている/更地はあたしの思惑など どこ吹く風/あっけらかんとして/未来にゆめを託し/新しい門出を心底待ち侘びているかのようだ

それでよい それでよいのだ
                 2012年3月1日 三島市・岩礁の会
紹介者・江素瑛(詩人回廊)
日々目の前の景色は目の網膜を映り過ぎていくが、脳には残らないものである。そういう変哲のない日常は、ある日気が付けば、そこに何があったか思い出せない。かつて在ったものが脳には止どまらなかったのだ。「それでよい それでよいのだ」景色は我がものと思ったりすることはいけない。景色も世も常に変るものなのだ。

| | コメント (0)

2012年3月 4日 (日)

見えてきた詩人回廊の特性

詩人回廊の近況」を文芸同志会のひろば」に出しています。どうなるかわからないけどやってみようといういう精神ではじめたのですが、だんだんこのサイトの特性が見えてきています。これまでの推移から判断して、やはり文芸同志会は、創作者個人のスキルアップと社会的なアピールに焦点を絞るのがベターという方向にいきます。また、結社団体としてアピールしたいという場合は、暮らしのノートにひろばのカテゴリーをつくれます。会員の作品のアピールは文芸同志会のひろばで行う準備をしています。

| | コメント (0)

2012年3月 2日 (金)

西日本文学展望「西日本新聞」2012年2月28日朝刊 長野秀樹氏

題「複層化した物語」
佐々野喜市さん「ロンは逝った」(「しゃりんばい」34号、宮崎市)、西田宣子さん「ゆうれいトンネル」(「季刊午前」46号、福岡市)、曽原紀子さん「ねーならかしたんよ。」(「しゃりんばい」)
「ひびき」5号(北九州市)北九州文学協会主催文学賞受賞作品集・小説部門大賞は佃秀夫さん「くすんだ壁」・エッセイ・掌篇小説部門大賞は続木道子さん「カバヤ文庫」
古岡孝信さん「瓦礫(がれき)の下で」(「二十一せいき」17号、大分市)
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

| | コメント (0)

« 2012年2月 | トップページ | 2012年4月 »