詩の紹介 「臨界」 山崎夏代 [流]36号より
「臨界」 山崎夏代
澱んだ なまぬるい 湯に浸っているような
停滞
時間は のびきってたわむ/しあわせな怠惰 に/酔いしれれば/
おくび ひとつ
ゆらりと わたしはかたむいて/歴史の尻から こぼれ落ちる
臨界・・・・・・・・
(2012年 3月 川崎市宮前詩の会)
紹介者 江素瑛(詩人回廊)
辞書で「臨界」とは、1 さかい。境界。2 物質が臨界温度・臨界圧力に達すること。臨界状態になること。→臨界点 →超臨界水3 核分裂連鎖反応で、中性子の生成と消失とが均衡状態になること。原子炉では、核分裂連鎖反応が一定の割合で継続するようになること。
目まぐるしい日常から音楽の休止譜のように次の展開へ供える一時の空白的瞬間。夥しい音符の流れが無音に帰そうとする一時、自分が操れるマイ時間に自分と時間だけの、水ではなく気体でもない。暖かい霧である。「時間は のびきってたわむ/しあわせな怠惰 に/酔いしれれば/おくび ひとつ」と時間をみつめる作者。
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