« 詩の紹介 「それでよい」北条敦子(田園・詩と批判150より) | トップページ | 高里椎奈さんの新作ファンタジーシリーズ開始 »

2012年3月 6日 (火)

文芸月評(2012年3月2日 読売新聞)余白に響く震災後の声

文芸月評(2012年3月2日 読売新聞)余白に響く震災後の声 筒井康隆氏、西加奈子氏、本谷有希子氏 批評家の陣野俊史氏(50)が、連載評論「文学へのロングパス」(文学界)を始めた。
 今月の文芸誌も、得体の知れない短編が目立つ。筆頭は、本谷有希子氏(32)「13の“アウトサイド”短篇集」(群像)だ。カーテンの膨らみが気になる女、恋人に決闘を申し込まれる男、雨傘を持つ怪しい中年など、変な人間たちを寸描する作品を集めた。
『通天閣』などの人気作がある西加奈子氏(34)「ちょうどいい木切れ」(すばる)は、「すごく大きな男」が「すごく小さな人」に出くわす。電車で隣り合わせになったり、言葉を交わしたりする。津村記久子氏(34)「給水塔と亀」(文学界)は、海辺の故郷に帰った男が、アパートの前の住人が飼っていた亀を引き継ぐ。
 筒井康隆氏(77)「不在」(新潮)は、より直接的に3月11日以降の世界を扱った五つの話からなる短編だ。冒頭の話は、公民館の避難所や瓦礫(がれき)撤去の風景から書き出される。作業に従事する色白で睫毛(まつげ)の長い自衛隊員、口紅の濃い会社の社長……。何かおかしな風景には、思わずアッと言わされる仕掛けが施されている。
 長編では、山崎ナオコーラ氏(33)「昼田とハッコウ」(群像、2010年3月号~)が連載を終えた。
 谷崎由依氏(33)「見おぼえのない女」(群像)は、苦手な上司と働くことになり、うつ気味になった1児の父でもある会社員が主人公。派遣社員の女性と精神科病院で偶然出会い、不倫関係に落ちる。(文化部 待田晋哉)

|

« 詩の紹介 「それでよい」北条敦子(田園・詩と批判150より) | トップページ | 高里椎奈さんの新作ファンタジーシリーズ開始 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 詩の紹介 「それでよい」北条敦子(田園・詩と批判150より) | トップページ | 高里椎奈さんの新作ファンタジーシリーズ開始 »