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2012年3月17日 (土)

文芸総合誌「構想」2011年12月第51号(長野県東御市)

【「神話入門」畠山拓】
 生活のなかで文学がどのようなポジションにあるのか。この作品では、主人公の精神構造に占める様相が自由闊達な筆致で表現されている。55歳の男と35歳の女との付き合いに生じる空気を文学作品引用を活用して、抽象化している。イザナギとイザナミの日本神話から、ドストエフスキー「地下生活者の手記」、バルザック「サラジーヌ」「セラフィタ」、バージニア・ウルフ「オーランド」、大江健三郎、澁澤龍彦「夢の宇宙誌」、プラトーン「饗宴」、カミユ「シーシュポスの神話」「異邦人」「ペスト」などを登場させて、味付けを利かせて楽しませる。
【「大逆事件の発端」崎村裕】
 崎村裕・著「百年後の友へ~小説・大逆事件の新村忠雄」(かもがわ出版)を刊行した作者。官憲が幸徳秋水を抹殺する手段として、その発端となった人物、宮下太吉の無計画性に富んだ行動、気まぐれと同居した実行力を、丹念に調べ、人間性へのミステリアスな語り口で追究する。とにかく興味を誘って眼を離させない。現代では、時代の空気が異なるために、なかなか理解しにくい微妙な部分を提示して、文学的な説得力がある。
 発行=〒389-0504長野県東御市海善寺854-98「構想の会」
(紹介者・伊藤昭一「詩人回廊」)
なお、東御市は当会の所在地域の東京・大田区と提携交流市で秋になると市・町長さんがやってきている。特産品も販売される。

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