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2012年3月30日 (金)

同人誌「雑木林」第14号(枚方市)

【「あきらめない続・二」井上正雄】
 冒頭は「妻の昌子が病院で意識不明になってからよみがえることなく二年半を過ぎた。その後の状況の手記である。」となっていて、その後の三年にわたる介護の記録である。介護をしながら筆者は、妻の元気だった頃の夢を良くみる。そして「退職後もいろいろボランティアの仕事で忙しかった。今にして思えばそんなことをするよりも、二人で世界を旅行して回った方がずっといい余暇にちがいないと残念に思うのだが今更しょうがない。」とし、介護の二人きりの時間を今までにない濃密な時間を過ごしていると感じるのである。その介護生活が詳しく述べられているのだが、何故か読みがいがある。そこには、人が生きることが何であるかが示されているからであろう。
【「白川正芳さんの世界」安芸宏子】
 09年に発行された「藝術百科」という本に文芸評論家の白川正芳氏の俳句が多く載っているという。白川氏の埴谷雄高の評論は読んでいるが、俳句は知らなかったので興味深かった。もののあわれをロマンチチックに明朗化する作風に人柄を感じさせるものがあり、よい解説に読めた。
【「青いコップ」村上節子】
 今年の夏に沼津の千本松の浜辺で青いコップを拾って机に置いている。すると、ロンドンで亡くなった息子の姿が甦る。失われた愛は、いつも心のなかに渦巻いて消え去ることがない。短いが哀愁に満ちた詩的散文である。
                  (紹介者・伊藤昭一「詩人回廊」編集者)

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