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2012年2月 3日 (金)

著者メッセージ: 円城塔さん 『道化師の蝶』

  円城塔と申します。第146回芥川龍之介賞を頂きまして、身辺不意に騒がしくなったりしておりますが、現実感が追いつきません。(講談社『BOOK倶楽部メール』 2012年2月1日号より)
  すごいな。というのは当今の印刷技術で、既に受賞作が単行本になっています。当初、2月の21日に刊行という噂をamazonで見かけ、それが2月の1日となり、最終的には、1月26日には店頭に並びはじめるらしいということになり。
  そんなスケジュールを小説に書くと、リアリティがない、と言われそうです。いくらなんでも一週間と少しで数万部の製本は無理ではないか。こうして実際目にしてみても、「魔法か」という気分が抜けません。
  事実を書いてもおかしく見える。リアルに見えない。書き方が悪いのではと考えても、本ができ上がるというだけの話です。他の書き方はむしろない。
 してみると、言葉というのはどこかおかしなものなのではと思うわけです。現実に合わせて言葉自体も変わっていくし、読まれ方も変わっていく。
  こうして戸惑う自分の言葉は、まだまだ現実に追いつかないな、と思うわけです。主にそんな戸惑いを軸に書いてきました。もしも著作をお読みいただき、戸惑い、笑って頂けたなら、それ以上の幸せはありません。(円城 塔)

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