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2012年1月30日 (月)

芥川賞・田中慎弥さん「共喰い」が10万部到達

話題の芥川賞作品「共喰い」が10万部到達 「純文学では異例」 集英社は、27日から全国の書店で発売される田中慎弥さん(39)の芥川賞受賞作「共喰い」の発行部数が10万部に達したと26日、発表した。同社は「純文学作品としては異例の部数」としている。同社によると、初版は3万5000部だったが、予約が順調だったため、19日に1万5000部の増刷を決定した。
 東京都内の一部大型書店での先行販売も好調で、26日、さらに3刷5万部を追加した。
 田中さんは同賞受賞会見で「(賞を)もらってやる」などと発言し、選考委員の石原慎太郎東京都知事(79)を“挑発”するなどして話題になった。(サンケイスポーツ2012.1.27 )

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2012年1月29日 (日)

「新一筆啓上賞」大震災関連・岩手の60代女性に大賞

 福井県坂井市の丸岡町文化振興事業団が主催する日本一短い手紙のコンクール「第9回新一筆啓上賞」の入賞作品が27日、発表された。テーマは「明日」で、国内外からの応募3万5127通のうち3分の1強が、最高賞の大賞5作品のうち2作品が、それぞれ東日本大震災関連だった。
 大賞となった岩手県山田町の60代女性、箱石紅子(こうこ)さんの作品は震災に遭った「行方不明の娘へ」として、「あの日の恐怖、絶望、何もなく散歩の途中と思っています。明日は帰って、愛犬と共に」と記した。同じく大賞受賞の千葉県柏市、公務員、渡会克男さん(62)の手紙は、震災当日に被災地に出張していた息子を助けてくれた「被災地のバイク屋さん」に宛てた。「震災の夜、息子の車にガソリン二リットル、ありがとう。二リットル分の涙、明日への糧にします」と書いた渡会さんは、「息子は人の優しさに救われて生還した。絶対恩返ししたい」としている。
 この他、福井市、小学2年生、野坂泰誠君(8)▽長崎市、小田俊助さん(71)▽宮崎県高原町、主婦、谷川弓子さん(36)--が大賞を受賞した。(毎日新聞)

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2012年1月28日 (土)

ヒマでないと見ていられない自由すぎる報道座談会

自由すぎる報道座談会の動画記録一部
 検索してもわからないという人がいるというので、一部をリンクした。長いから暇を見つけては見るしかない。
 昔は、総会屋雑誌というのがあって、裏情報はそこに出ていた。しかし法的に取り締まりが厳しくなって、姿を消した。検察が事件にする前に、あるlことないことが出ていた。その読みわけ術がいる。たとえば、田中角栄氏のロッキード事件は、そういう雑誌に、米国の告発の前に書かれていた。情報を把握しておいて、保存しておき、都合によって表ざたにする時期を待つのが、権力側の手法だ。「自由すぎる報道…」のメンバーは、上杉、日隅、ウガヤ、畠山各氏どの面々が面白い。日本中で3・4千人しか見ていないので、極少情報である。

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都合の良し悪しで変わる新聞報道

 資料雑誌を処分していたら、つぎのようなものが見つかった。 
 自民党の小泉首相が北朝鮮の金正日総書記と拉致問題の交渉に行く前の2002年のこと。小泉首相の地元責任者を務める弟の正也氏が、数回にわたって東京地検特捜部に呼び出されているという情報があった。
 その内容は、鈴木宗男氏からの1600万円の借入金の処理と、ヤマト運輸からの2000万円の首相就任祝い金、さらに1億円を超える献金の処理である。これらは政治資金収支報告書に記載されておらず、政治資金規正法違反の疑義にかかわるというか、違反である。(記録:雑誌「株式にっぽん」2002年10月号、政局レポート)
 小泉総理の場合も検察が動いたが、事件化しなかった。小沢一郎元代表の場合も、検察は起訴をしなかった。検察の態度はリークの仕方に恣意的なものがあるが、基本的には変わらない。変わっているのはメディアの報道振りである。太平洋戦争時代もメディアは都合によって大本営発表をし、国民を騙した。原発も同じ。
 新聞は都合で報道しているだけで、大きく紙面を割いても、重要なのは新聞社にとってであって、国民にとって重要だとは限らない。チラシ広告と同じで、商売に都合がいいのだな、と思って読むことが求められる。
 メディアが報道を湾曲する事情はネットで「自由すぎる報道座談会・原発」という名称で検索すると、USTRの動画再生がみつかるかもしれない。
 原発事故の議事録は意図的に残さなかったのに決まっている。新聞社もそれでよかったのではないだろうか。ただ、こんなことは自民党政権では報道もされなかったろう。
 

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2012年1月27日 (金)

芥川賞選考委員退任の黒井千次さん

結果として多様性…芥川賞 選考委員退任の黒井さん 今回で退任するため、最後となる芥川賞の選評を述べる黒井千次委員 円城塔(えんじょうとう)さんの「道化師の蝶(ちょう)」と田中慎弥さんの「共喰(ぐ)い」という作風の違う2作に、第146回芥川賞の受賞が決まった。選評を述べた黒井千次委員(79)は「芥川賞は門戸の広い議論の場であってほしい。結果として多様性が出たのはよいこと」と語った。
 村上龍委員が欠席し、8人で行った選考で先に過半数を獲得し、受賞を決めたのは田中作品。その後、票が割れた円城作品について投票が繰り返され、4度目の投票で受賞が決まった。
 「共喰い」は「古めかしいが文章の粘度が高い。場面の描写も月並みにならず、そこから喚起されるイメージも硬質」と高い評価。一方、書くことの根源を問う実験的な「道化師の蝶」については、「現代的知的な装いの作品」と評されたが、黒井委員は「2回読んだが2回とも眠ってしまった。どこがよいかを説明すること自体が難しい小説」と難解さも指摘した。
 1987年の第97回から50回にわたって選考委員を務めた黒井委員は、今回で退任となる。「候補作には、常に時代の空気の反映があった。候補者よりは年寄りで古い人間である選考委員が新しいものにどう接するかということも、芥川賞選考の一つの課題だと感じます」。今回の選考にも通じる25年間の思いを述べ、最後の選考を終えた。(2012年1月27日 読売新聞)

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2012年1月24日 (火)

「本屋大賞2012」ノミネート作品発表!

 9回目の「2012年本屋大賞」のノミネート10作品が、1月23日に決定。。4月10日に大賞1作品が決まる。
 今回、第1次選考を通過したノミネート作は以下のとおり。
・『偉大なる、しゅららぼん』万城目学(集英社)
・『くちびるに歌を』中田永一(小学館)
・『ジェノサイド』高野和明(角川書店)
・『誰かが足りない』宮下奈都(双葉社)
・『人質の朗読会』小川洋子(中央公論新社)
・『ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち』三上延(アスキーメディアワークス)
・『ピエタ』大島真寿美(ポプラ社)
・『舟を編む』三浦しをん(光文社)
・『プリズム』百田尚樹(幻冬舎)
・『ユリゴコロ』沼田まほかる(双葉社)
今年は「発掘部門」「翻訳小説大賞」も設けられ、本屋大賞と同時に発表される予定。

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同人誌時評「図書新聞」(2012年01月21日)福田信夫氏

題「感動を呼ぶ労作多数」
『文宴』116号より堀坂伊勢子「赤本二題」・田中重顕「老残日記抄」・前田暁「対抗心」・橋倉久美子「神戸・大阪修学旅行記」、『双鷲』76号より稲垣瑞雄「三つの掌編」の「鯖」「鼬」「烟」・楢信子「臼杵への道程-野上彌生子への手紙」、『あるてみす』8号より小城ゆり子「白い壁」、『残党』33号、『文芸シャトル』72号より清水信の防災講義・東日本大震災のエッセイ特集・西尾典祐著『城山三郎伝』の書評・瀬川純平「オーディオ・ドラマ 二十年目の和解」、『流氷群』54号より井上嘉明「尾崎翠と高橋丈雄の周辺」
記念号:『南風』30号、『たね』40号(椎名麟三生誕100年記念)、『季刊作家』75号(創刊20周年記念号)、『安藝文學』(80号)より中島妙子「『万葉集』異聞」・石田耕治「井伏先生という人」・望月雅子「画家・青木繁(三)」、『詩と眞實』750号記念特集号
追悼文:『風』13号千田一郎「詩人柴田基孝を偲ぶ」、『作文』202集は渡辺利喜子「松原一枝さんを偲ぶ」・西原和海「哈爾濱時代の佐々木和子さん」・秋原勝二「この魔の半とし」、『新現実』110号の〈編集後記〉で石毛春人が山岸勇を悼む、『街道』18号は木下径子「紅野敏郎氏に捧げる」
『騒』87号より黒川洋「古川賢一郎編著『砂に咲く花』がでた」
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2012年1月22日 (日)

伊藤桂一氏が同人誌「グループ桂」の講評を行う

 同人誌「グループ桂」の合評会で講評を作家の伊藤桂一氏が行う。なにしろ95歳の高齢で、健康を心配していたが、いたって元気。外出姿も年季が入っている。この姿はさまになっています。120118_001《記事参照:グループ桂のひろば》前立腺手術をした後は、さすがに衰えたかなと見えたが、やっかいなものを摘出したのですっかり体調を整えられたようで、以前より元気。詩の同人誌にはファンが多い。農民文学会の会員から、いつ先生の「囲む会」やるの?ときかれたが、それはちょっと無理。なんでも文芸家協会の理事で健康保険組合の管理もあり、新田次郎賞の選者など、かなりスケジュールが予定されているそうだ。
 「グループ桂」の今号には、詩人回廊にグループ桂の同人であった友人のK氏の自伝を引用したものを載せた。それを北一郎名義で掲載。《文芸の友と生活》これについて伊藤桂一先生は懐かしがって「いや、Kさんが宝石に書いていたなんて知らなかった。わたしの作品も賞の対象になったが、あとから、それは2番目でした、とかといわれて」と、曖昧にされたそうである。
 生前に言ってくれればK氏といろいろ思い出話ができたのにね、と語る。本号の編集者関係者は、このエッセイ風作品について「伊藤先生からこういう分野のものはふさわしくない、といわれるかと内心びくびくしていたが、よかったです」と安堵。私は同人で友人の追悼をしているので、よくないはずはない、と思っている。

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2012年1月20日 (金)

高橋源一郎さん『恋する原発』 震災後、原発問題など言説への違和感

高橋源一郎さん『恋する原発』 真剣に乱暴に 小説の強み
小説は東日本大震災復興のために、「恋する原発」という題名のチャリティーAV(アダルトビデオ)を製作する男たちの話だ。各国首脳のそっくりさんが登場し、あけすけな性表現と政治的な言説が同列に並べられる。かと思えば終盤、唐突に大まじめな「震災文学論」が挿入される。スラップスティック(どたばた喜劇)の装いで、震災と原発事故に見舞われた日本を描いている。
 「硬直した空気を振動させるためには、真剣に乱暴に(笑)、と」。10年前の米中枢同時テロ時に書き始めて未完だった小説「メイキングオブ同時多発エロ」を全面的に改稿したという。震災後、原発問題などをめぐってインターネット上で広がった言説への違和感が発端だった。

《参考:「震災以降、AV(アダルトヴィデオ)を語ることは野蛮か  山川豊太郎」》

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2012年1月19日 (木)

著者メッセージ: 吉村龍一さん!第6回小説現代長編新人賞受賞作『焔火』、

 吉村龍一です。今年は龍の年、タ-ボをきかせて突っ走ります。(講談社『BOOK倶楽部メール』 2012年1月15日号)
さて、私の年始は挨拶まわりで幕をあけました。「焔火」執筆の際、多くの方々に取材をさせて頂きました。たくさんの声と、力添えがあって生まれた作品です。デビュ-報告かたがた、お礼に伺ったのです。モデルになった最後の瞽女、小林ハルさんのお墓参りもさせて頂きましたが、なんと積雪は二メ-トル以上。長靴で雪をかきわけながら辿りつきました。
 お墓の頭がちょこんと出ているだけだったので、雪に花束をつきさして線香を手向けた次第です。ハルさん、すみません。スコップがあればお墓を掘ったのですが……。
 そしてその日の夕食、タラ汁の美味しかったこと! 新鮮なタラの味噌汁は隣県新潟のソウルフ-ド。凍えた体にじんわり染みました。お世話になった方々の、幾多の声をしっかり噛みしめた吉村でした。
 現在二作目の小説も着々準備中です。どうか皆さま、宜しくお願いいたします。 (吉村龍一)

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2012年1月18日 (水)

第146回直木賞に葉室麟さん「蜩(ひぐらし)ノ記」

「地方で歴史の敗者を描く」葉室麟さん受賞会見(産経)  直木賞を受賞した葉室麟(はむろ・りん)さん(60)は、芥川賞受賞の2人に続き、午後9時10分から東京・丸の内の東京会館で会見に臨んだ。タテジマのシャツ、黒いセーターの上からグレーのジャケットを羽織り、黒系のジーンズという若々しい姿だ。
  --今作での受賞は
「これまでの作品より、『蜩(ひぐらし)ノ記』は読者からの反応、感想を読むと、思いが届いているんだ、伝わっているんだなあという実感があった。これで受賞できたのはうれしい」

 

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2012年1月17日 (火)

146回芥川賞に 円城塔氏『道化師の蝶』と田中慎弥氏『共喰い』

 第146回芥川賞・直木賞審査で、芥川賞に円城塔氏『道化師の蝶』、田中慎弥氏『共喰い』の2作品を選出した。2作品同時の受賞は、第144回(2010年下半期)に朝吹真理子氏『きことわ』と西村賢太『苦役列車』が受賞して以来。
 円城氏は1972年北海道生まれ。2007年に『オブ・ザ・ベースボール』(文藝春秋)、2011年に『これはペンです』(新潮社)で同賞にノミネートされており、今回は“3度目の正直”で見事受賞となった。
 田中氏は1972年山口県生まれ。2006年に『図書準備室』、2007年に『切れた鎖』(ともに新潮社)、2008年に『神様のいない日本シリーズ』(文藝春秋)、2010年に『第三紀層の魚』、そして今回、閉塞した地域社会での性と暴力を描いた同作で5度目のノミネート。過去には『川端康成文学賞』、『三島由紀夫賞』も受賞している。
 芥川賞・直木賞は昭和10年に制定。芥川賞は新聞・雑誌に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌、単行本で発表された短編および長編の大衆文芸作品が対象となる。芥川賞は宮本輝氏、村上龍氏ら10名、直木賞は浅田次郎氏や伊集院静氏ら9名が選考委員を務めた。

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同人誌時評(12月)「図書新聞」(2012年01月14日)志村有弘氏

題「読み応えのある歴史・時代小説」
津木林洋「画道遙かなり」(「せる」第88号)、本興寺更「狙撃」(「文芸中部」第88号)、大塚滋「子虫の犯罪」(「文学雑誌」第87号)、山本直哉「累ケ淵」(「出現」第3号)、佐伯晋「三つの髑髏の物語 historia calvariarum trium」(「あるかいど」第45号)、堀坂伊勢子「赤本二題」(「文宴」第116号)、坂井真弥「針鼠」(「文藝軌道」第15号)
個人誌:川高保秀「呼」第2号より「檻の島」
エッセイ:「野田文学」第51号の特集「宗谷真爾没後20年」より須賀田省一「宗谷真爾文学概要」・「全作品・略年譜」、「カプリチオ」第36号の特集「いまだから再会したい夏目漱石」より鈴木重生「漱石の『不愉快』」・草原克芳「地下生活者としての夏目漱石」、「文芸静岡」第81号より入野早代子「私の中の城ふみ子」・広田庸子「私の岸上大作」短歌:(略)
雑誌「青遠」が第127号で終刊
「文芸静岡」が高部雅堂・佐野久雄の追悼号
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2012年1月16日 (月)

脱原発世界会議に2日間パシフィコ横浜に通う

120114a_006脱原発の活動に関しては、東京新聞を除いて、大手新聞が情報公開の抵抗勢力化していて、報道が少ない。ネットの個人ニュースサイトはこれが読者獲得のチャンスなので、「脱原発世界会議3012YOKOHAMA」の会場に2日間とも取材に行った。さすがに疲れたが、その甲斐があったと思う。アクセスは過去最高かも知れない。《参照:暮らしのノートPJ・ITO
120114a_004
ネット動画を配信したのは約15企業業団体もあったそうである。大変な盛り上がりで、大成功では。その詳細をすこしづつ記録に残しておくつもり。  

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2012年1月15日 (日)

文芸同人誌評「週刊読書人」(2012年01月06日)白川正芳氏

「創」6号より辻井まゆみ「オレンジ色バタフライ」、「カプリチオ」36号の特集「いまだから再会したい夏目漱石」より草原克芳「地下生活者としての夏目漱石」、「吉村昭研究」16号より寺沢浩一「医学史と吉村氏と私」、「青森文学」80号より門倉昇「続『文無し億万長者』」、「婦人文芸」91号より菅原治子「いま、またなぜ太宰治か」・陶山竜子「日本の女性なんて」、「VIKING」731号より永井達夫「宇江敏勝『山人伝』合評会記」
大坪れみ子「まぼろしの屋根裏部屋」(「まくた」274)、和田伸一郎「『虚構のクレーン』論」(「クレーン」33号)、勝呂奏「評伝 小川国夫」(「奏」23)、棚橋鏡代「台風のあとに」(「北斗」12月号)、青木哲夫「曼荼羅の谷」(「アンプレヤブル」第2次創刊号)
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2012年1月14日 (土)

同人誌「文芸中部」88号(東海市)

 東日本大震災によって、文芸の世界ではそれをどう表現するかが、話題にされる。それは当然でもあるが、もっと重要なのは大災害を体験したひとはもとより、それを見聞した読者の読み方がどう変わるかであろう。読む側の意識変化が書き手の表現への感受性や評価を変えることは充分考えられる。
【「青空」西澤しのぶ】
 長いイスラエル勤務の夫をもつ主人公(私)は、息子をパレスチナに近いイスラエルで産んでいる。そこで新しい生命である子供に対する地元の深い愛情と思い入れを知る。そのなかで、人々が宗教、人種、領土などでの、緊張関係を感じさせる説明がある。
 日本に行って戻ってきる途中に、私はパリに泊まる。すると、アラブ人のヘジャブ姿の女性に出会う。お腹が大きいように見える。
 この描き方で、大変な緊張感をもたす。テロリストのある典型的な様相でもあるからだ。
 私は、思い切って彼女に声をかける。私がイスラエルとパレスチナの地域に詳しく、共通の知り合いの医師がいるとわかると、アラブの女はそこで身の上話をする。
 彼女にはイスラエル人の恋人とも親友とも言える友達ができ、彼はパレスチナ人との話し合いによる問題解決を考える思想家であった。紛争が起きると、彼女にイスラエル側からの攻撃があることを知らせ、避難するように連絡をしてくる。
 そこで、戦火のなかで日々明日を知れ命がけの毎日を送ることが語られる。恐怖と隣あわせの日々が臨場感をもって、よく表現されている。
 この砲撃を受ける様子の描写は、まるでハリウッド戦争映画かハードボイルド小説のようなスリルを与えるように思わせる。しかし、自然災害の暴力的な被害を知ると、それより自然な感じで、身に迫って読ませる。
 小説としては、もっと工夫があっても良いとは思わせながら、書くべきことを書いたという作者の達成感もよく伝わってくる。この明日をも知れぬ日々の感覚は、自然災害の大地震の余震と次の原発事故の発生の予感におびえて暮らす生活と比較させられる。かつて平和と思い込んで暮していた読者側の読み方を変えるものがあるのではないか。
発行所=〒477-0032愛知県東海市加木屋町泡池11-318、三田村方。文芸中部の会。

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2012年1月13日 (金)

赤井都さん 池袋東武百貨店の実演販売、「日本の職人展」など

 年末年始の過ごし方はこんなふうでした。(言壺メールマガジンより)。12月は20日くらいから、年内あと何日と数え始めました。風邪をひきそうになって気力で乗り切りました。28日が搬入、29日が池袋東武百貨店での実演販売、「日本の職人展」の会期は続きましたが私は2日に再度実演販売、4日に搬出でした。平たくいって、怒涛でした。
 こういう時期にイベントを入れると、広い範囲の家族からちょいと人でなし扱いな視線を感じたりします。説明できる人には、ウィーンのニューイヤーコンサートを例に取り
ました。「世界中に中継されて、すごいけど、オーケストラの楽団員は、一月一日から働いてる。新年早々から、おとうちゃんは舞台。そのために練習があるから、クリスマスだっ
てゆっくりはしてないかもしれないし、人がお休みの時こそ働いてる人はいるんだよ。人を楽しませようとしたら、人がお休みの時に働くことだってあるよ」相槌として「郵便局員も働いてる」と返ってきたので、この説明は成功かな。
 東武百貨店では社食に行ったり、自販機でいつもウェルチのグレープジュースを飲んだりしたのが思い出になっています。豆本の後ろブースの食品サンプルを買いました。
 言壺の通販プレゼント抽選は、イベント明けに電子サイコロを振って行いました。K様、おめでとうございました。
 5日から9日まで、休日が続いたのを幸いに、大掃除をしました。家中がいつのまにか倉庫みたいになっていてぞっとしていたので、少しずつ手をつけて、あっちこっちから少しずつ捨てるものを見つけ出しました。ごみ袋10杯くらいになりました。なんてこと。たとえば封筒を捨てて、中身の書類をひとまとめにしただけでずいぶん占有スペースがスリム化されました。風通しがよくなって、きちんとしてきて、ようやく倉庫から、仕事空間へ戻ってきました。玄関の活字は、履かない草履を処分して、下駄箱の中へ入れました。
本はいよいよきちんと整理整頓しようと、資料保存器材に保存箱の見積もりをもらいました。そして、改めて新年の抱負です。今年は、人間らしい生活を取り戻します。既に9月までの予定が入っているので、すぐに変えるのは無理ですが、今後の予定は、絞らせていただきます。そして、一つ一つの事、一人一人ときちんと向き合った時間を、悔いなく楽しく過ごしたいと思います。

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2012年1月12日 (木)

新同人雑誌評「三田文學」第108号・冬季号(12年.01.10発行)勝又・伊藤氏

《今号で取り上げられた作品》
水野佳子「曇天アマポーラ」(「河108」27号、札幌市)/行方のな「やっかいな三角荘」(「河108」27号、札幌市)/吉井惠璃子「天にのぼる、まっすぐな道」(「詩と眞實」749号、熊本市)/池戸亮太「聖二月」(「あるかいど」44号、大阪市)/鵜瀬順一「芽生え」(「あるかいど」44号、大阪市)/定道明「風を入れる」(「青磁」28号、福井市)/笹田隆志「三内の家」(「北狄」355号、青森市)/飛田一歩「白髪姫」(「湧水」49号、豊島区)/亜木康子「ニセアカシア」(「湧水」49号、豊島区)/臼田慶子「日和のとき」(「文章工房」11号、愛知県愛知郡)/ひわきゆりこ「プライド」(「胡壷」10号、福岡県粕屋郡)/桑村勝士「ホタルの導き」(「胡壷」10号、福岡県粕屋郡)/天野律子「ぬくい闇」(「黄色い潜水艦」54号、奈良市)/西向聡「わらう犬」(「法螺」65号、大阪府枚方市)/夏当紀子「ゆれる、膨らむ」(「飢餓祭」35号、奈良市)/神盛敬一「タラップを降りた少年」(「飢餓祭」35号、奈良市)/夏川戸詠子「ぐるぐる」(「飢餓祭」35号、奈良市)/野坂喜美「落城」(「米子文学」60号、米子市)/拝藤昇一「バッタの文学教室」(「米子文学」60号、米子市)/有森信二「虚空疾走」(「海」73号、福岡市)/山之内朗子「ハロウィーンの頃」(「まくた」273号、横浜市)/塚越淑行「朝の川原」(「まくた」273号、横浜市)/あびる諒「老人斑」(「詩と眞實」746号、熊本市)/脇三寿枝「嘘女會の碑」(「安藝文學」80号、広島市)/千種萌「夕日は落ちて」(「海塔」23号、旭川市)/石田耕治「井伏先生という人」(「安藝文學」80号、広島市)/松尾亮「愚老の半日青春秘話」(「AMAZON」449号、尼崎市)/原口登志子「虹色ラプソディー」(「群青」79号、東京都武蔵野市)/小堀文一「甲府の春」(「丁卯」30号、静岡県沼津市)/桝井和道「ゴキブリのいる朝」(「流氷群」54号、鳥取市)
●ベスト3
勝又氏:1番・夏川戸詠子「ぐるぐる」(「飢餓祭」)、2番・夏当紀子「ゆれる、膨らむ」(「飢餓祭」)、3番・水野佳子「曇天アマポーラ」(「河」)
伊藤氏:夏川戸詠子「ぐるぐる」(「飢餓祭」)、夏当紀子「ゆれる、膨らむ」(「飢餓祭」)、天野律子「ぬくい闇」(「黄色い潜水艦」)
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2012年1月11日 (水)

詩の紹介 「夢の果て」 鈴木比佐雄

「夢の果て」     鈴木比佐雄
怖い夢を見たよ
遊園地の帰り バス停で/お父さんとお母さんが乗ると/ドアが閉まって 発車してしまうんだ/運転手さーんー 待ってよー!/と叫んだけれど/ぼくと排気ガスを残して行ちゃったんだ
怖い夢を見たよ
スーパーでお母さんと買い物をしていたんだ/ぼく おやつを探してくるよ/そう言うと
ひとりでお菓子棚へ行ったんだ/ドロップとチョコレートを持って/お母さーん はい 
これと手渡すと/顔が違っているんだ/まわりの女の人の顔もお母さんじゃないんだ
怖い夢を見たよ
ぼくはどこにもいないんだ/お父さん お母さん お姉ちゃん/三人で食事をしているん
だ/ぼくがいなくても みんな楽しそうにしている/ぼくは遠くから見ている/ぼくは口
がきけない/胸につかえて何も言えないんだ/そして長い食事が終わってしまったんだ
怖い夢を見たよ
夕暮れ お父さんとマラソンに行ったんだ/沼に太陽が落ちてきて キラキラ光り/走る
たびに色を変えて行ったんだ/ぼくはお父さんを抜いて/先へ行くよ と言って全力で走
ったんだ/ぼくは沼と水鳥に見とれて/顔を横にむけて走っていた/あっ 足音がきこえ
ない ふり向くと/お父さんはどこにもいなかった
鈴木比佐雄詩選集一三三篇により 09年10月26日東京都(コールサック社)

紹介者・江素瑛(詩人回廊
愛に飢えた子供の寂しい心をよく表している。誰かいないと怖い、家族の誰かに常に目を向いてくれないと怖い。赤ん坊なら泣くことで、大人の気を引く、子供はそうはいかない。
 大人に囲まれても、大人の会話の輪に入れない「みんな楽しそうにしている/ぼくは遠くから見ている/ぼくは口がきけない/胸につかえて何も言えないんだ」そして自分のことを忘れられてしまい、あたかも自分が存在しないような大人達の仲間はずれの「長い食事が終ってしまったんだ」
しかし、愛のことばの氾濫する大人の世界はどうか。子供の心の深い叫びを聞く余裕のない、大人そのものが、こども同様である。だから子供は本当の大人の不在を不安に感じる。現代の反省を喚起させられる。

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2012年1月10日 (火)

小沢一郎氏の4億円は、どこから出たのか裁判なの

 小沢一郎民主党元代表(69)の資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡る事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)に問われた小沢被告の第12回公判について読売新聞などが、報じている。これよると虚偽記載の問題ではなく、4億円がどこから出たかを裁判している記事に読める。どういう金ならよくて、どういう金が悪いかを裁判するなら案件が異なるはず。とにかく何でもいいから有罪にしたいという意向の記事に読める。推測するに陸山会の金が政権交代に使われたのがまずかった、という話かな。陸山会の資金が怖い。どうにかしたい。おそらく裁判官もその期待にこたえるのだろうか。
ーー指定弁護士側は、陸山会が2004年10月に小沢被告の現金4億円で土地を購入したのに、同時期に銀行から受けた融資のみを収支報告書に記載し、小沢被告の4億円は記載しなかったと主張する。
 小沢被告は、土地購入の際に4億円を石川被告に手渡した理由について、「秘書寮を建てるには4億円が必要で、全額を政治団体から払うと運営に支障を来すと言われたから。たまたま手元に4億円があった」と述べた。この4億円の出所について、これまで預金などと説明してきたが、「親から相続した不動産の売却益のほか、印税や40年以上の議員報酬などが基になった」と説明した。

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2012年1月 9日 (月)

同人誌「季刊遠近」44号(東京)

 「季刊遠近」は、同人誌評やネットでも論評されることが多い。水準の安定した同人誌である。最近は本誌の常連でもある純文学作家の難波田節子さんの著書「遠来の客」が図書館の蔵書に並んでいるのを目にした。最近の図書館は、なかなか購入しないともきく。水墨画や禅僧などの絵画などで、日本には趣味を職業としない伝統もある。ひとつの作家活動の成果であろう。
【「百日紅」安西昌原】
 本作品は、個人的に我が身のことに想いが浮かぶところのあった作品。父親の一番下の妹が亡くなって、埼玉県の武蔵浦和に通夜と告別式に通う。この時代の様子が語られる。どいて葬儀会館へのその道中の順序がくわしく書いてある。新宿から埼京線で段取り良く行けば、一日目のように順調で、なんということもないのだが、湘南高崎線に乗ったためにあれこれ乗換えに手間がかかり、遅刻しそうになる。自分も3、4年前に赤羽乗換えで、段取りが悪く目的地に到着するのに苦労することがあったので、やはりそうか、と感じた。最近はさらに主要各駅の乗り気改築の変化の激しさに戸惑うことが多いことに思い当った。この交通の乗換え話が丁寧に描かれていることが、寓意に近い意味を感じさせる。同時に、語り口全体で、言うにいえぬ喪失感が流れているようで、しんみりと読める。子供のころ昭という親戚の子と野球をしていて、手元が狂い、頭にボールをぶつけてしまうエピソードがある。省略した書き方に哀歓と郷愁をかきたてるものがある。この何ともいえぬものの表現は、修練による文芸力のような気がする。
【「どんどん橋」欅館弘二】
 麦彦という男が学生時代に、葉子という男関係で奔放な女性との交流から始まる。葉子の身の上話の中に父親との情交を語る話になる。それがいつの間にか葉子が同人雑誌に書き残した小説を転載した話になり、定石はずしの違和感のある作品。首をかしげてしまう視点の変調がある。終りのメモに、参考文献として昭和41年~42年・同人雑誌「えぬ・あーる」2号・3号、(故)松本光代「狂気への道」とある。
 ということは、松本光代という人の作品に刺激されて、この作品ができたということなのだろうか。内容そのものは、近親相姦を軸に、人間の個人愛と情欲、人間の普遍的な人間愛の芯にあるものについて心に触れるものがある。全体はわからないまま、言うにいえぬところを表現していて、文芸の雰囲気に包まれたものがあるので、印象に残った。

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2012年1月 8日 (日)

山田詠美さん『ジェントルマン』(産経)

山田詠美さん『ジェントルマン』(産経2012.1.8)「何でもトラウマに帰結させて、こんな人間が出来上がる…っていうのは本当は違うんじゃないの?と。だから負の欲望の理由も解明はできなくて、パワーはパワーとしてそこに存在している、と分かっただけなんだよね」
 刊行後のサイン会では避難生活を送る東北の被災者に何度も声をかけられた。小説を心の糧とする読者の存在に、逆に勇気づけられたという。
 「わたしは人間を描けばその時代を描けると思ってる。変わるものも全く変わらないものもね。その意識は変えないで、次もこの小説と似ても似つかないものを書きたい」

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2012年1月 7日 (土)

WEB「詩人回廊」のこのごろとベンチャー

 情報交換の場として会が発足したため、内容は個人活動の支援に限られるわけで、共通の発表場所というのはなかったのです。会員が集まるとすれば文学フリマの会場で会うくらいです。同人雑誌に会員が作品を発表した場合はそれを紹介するというものです。
 そのなかで、多少は発表の場をもとうという人がいて、それもそうだが、個人の支援に役立つようにしようと、考えたのがいわゆるWEB雑誌「詩人回廊」の個人の庭です。これはブログ形式だから可能なシステムです。そのきさつと動向を「文芸同志会のひろば」に記しています。
 会費の400円というのは、当時「文芸研究月報」を月400円(郵送費込み)で販売、年会費が4800円という設定だったので、それを踏襲したもの。いまでも有料メールマガジンがそれくらの費用でしょう。当時、B5版4ページを100部の印刷で1万円くらい。そのうちに80円で12頁まで郵送できるとわかって増ページし、会員読者が150人くらいまで増えたので、わたしの労力を入れなければペイしていたのです。月報の編集方針は、今なにが起きているかの現状把握。レーニンは「帝国主義論」で資本主義の現状分析を公式に発表されたデータのみで行っています。それと同じです。
 当時はイラク戦争などがあり、社会と書籍の関係や文芸界の影響などを含めて現状分析などもしていたら、書き手の人材銀行の運営者と知り合い、機関紙、誌から依頼がくるようになりました。すると、要望の多くは最新動向の経済記事。ベンチャー企業の話が多く、それに物語風味をつけるとリーピートが増えた。そこで「響ルーム」という屋号をつけたらベンチャー企業扱いされたものです。
 

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2012年1月 6日 (金)

第146回芥川、直木賞芥川賞、直木賞候補11人が決まる

 第146回芥川、直木賞(日本文学振興会主催)の候補作が6日付で発表された。直木賞には、東日本大震災後の原子力政策をめぐる政治ドラマを描いた真山仁さん(49)がノミネート。選考会は17日夕、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれる。候補作は次の通り(敬称略)。20代以下の候補がいないのは3期ぶりという。
 【芥川賞】石田千「きなりの雲」▽円城塔「道化師の蝶」▽田中慎弥「共喰い」▽広小路尚祈「まちなか」▽吉井磨弥「七月のばか」
 【直木賞】伊東潤「城を☆(噛の米が人4つ)ませた男」▽歌野晶午「春から夏、やがて冬」▽恩田陸「夢違」▽桜木紫乃「ラブレス」▽葉室麟「蜩ノ記」▽真山仁「コラプティオ」


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2012年1月 4日 (水)

文芸月評(読売新聞2011年12月29日)

《対象作品》大江健三郎氏(76)「晩年様式集(イン・レイト・スタイル)」「群像」新年号、「新潮」誌上で朝吹真理子氏(27)/加賀乙彦氏(82)の自伝的大河小説「雲の都」(新潮)が、第4部「幸福の森」完結/青来有一氏(53)「人間のしわざ」(すばる)/堀江敏幸氏(47)「燃焼のための習作」(群像)/多和田葉子氏(51)「雲をつかむ話」(同)。
【文芸月評】根源的行き詰まり直視

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2012年1月 2日 (月)

小説と評論「カプリチオ」2011年冬36号(東京)

特集「いまだからこそ再会したい夏目漱石」
 夏目漱石の課題にした人間性へのテーマは、いまだに解決の糸口が見えないと思っている自分には実にタイムリーな特集に思える。深く読み解く力不足の自分の知らないことが沢山盛りこまれている。
 7人の筆者がそれぞれの視点から論じているので、多彩な解釈が集まった。
「漱石の不愉快」(鈴木重生)は、漱石の書き物もの中から不愉快という語をチョイスし、その元が英国留学での西欧と日本の精神的な構造の違い、孤立した精神環境、日本の文学的な環境、国家主義への不快であること示す。
「オフェリアの気韻」(荻悦子)は、草枕に見る漱石で、文章藝術的な志向による実験的なものと指摘する。文学者なら一度は試みることかも知れない。わたしは中学生時代に先生によむことを宿題にされたのが「草枕」である。当時、ホームズ、ルパン、明智小五郎の探偵小説を読み漁っていたので、その内容に面食らった記憶を残す。
「『草枕』―俳句と小説の間―」(芦野信二)、「輪廻のど真ん中で直立する漱石」(塚田吉昭)など、それぞれ読み応えがある。特に「地下生活者としての夏目漱石」(草原克芳)は、漱石の人間完成への希求精神が、現代のニヒリズムの横行によってすでに過去のものとされているのか、という問題意識を呼び起こすものがある。

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2012年1月 1日 (日)

著者メッセージ: 真山仁さん ハゲタカシリーズ『グリード』

 2012年は、昨年以上に世界が激動する予感があります。日本は、震災と原発事故をどう克服するのか。そして、ヨーロッパは金融危機を脱することができるのか。中国の新体制も気になりますし、アメリカの推進力の低下がどんな作用を及ぼすのかも注視です。
  そんな中、年明け早々からハゲタカシリーズ第4弾『グリード』を週刊ダイヤモンドで連載します。グリードとは、強欲という意味ですが、今回は前作『レッドゾーン』の直後、リーマンショックの時代を描きたいと思っています。すでにショックから3年余り、金融界はリーマンショックの後遺症はないと言いますが、ヨーロッパの出来事も、アフリカや中東で燻っているジャスミン革命も皆、アメリカの金融界が解き放った“怪物”が暴れ回っていると思えてなりません。そういう意味で『グリード』では、過去を振り返るのではなく、今を省みる鏡として作品が浮かび上がればいいと思っています。日本も私も覚悟の年と期して、ご期待に添えるよう精進したいと思います。(真山 仁)
 ハゲタカシリーズ第4弾『グリード』は、週刊ダイヤモンド1月28日号より連載開始。連載終了後、講談社より単行本刊行予定。(講談社『BOOK倶楽部メール』 2012年1月1日号)

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