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2011年12月 4日 (日)

詩の紹介 埃 有森信二

     埃     有森信二
埃を払う/埃を拭き取る/埃が舞い上がる/埃が降ってくる
自分の小さな部屋を/職場のこびりついた窓を/伽藍の天蓋/六十万石の天守を
年の終わりに/男が/係員やパートタイマーが/小僧達が/町内会の世話人達が/雑巾を濡らし/はたきをかけ/青竹を差しのばし/埃を払う
年の終わりの埃は/渦巻きのように/蛇の尻尾のように/竜巻のように巻き起り
男達の頭に/小僧達の衣に/野球帽の頭上に
薄雲のように舞い降り/煙のように湧きあがり/やがて/幔幕の向こうに/嵐が引きゆくように/飛び去ってしまうのだから/不思議だ
実に摩訶不思議だ   
有森信二・詩集「カオス(混沌)」より2011年11月(福岡市・花書院)

紹介者・江素瑛(詩人回廊)
埃はあらゆる場所に飛びまわる。静かに降り積もり、厚くなるものもあれば、目に見えないものほどのものも。見えない時も陽にあたると、きらきらと輝き存在を主張する。宇宙のなかの目に見えない埃と、宇宙のなかのわれわれ。そこで無事に、ささやかに生活する人々。作品には、微小な存在を広大な宇宙につなげる感覚がある。
「実に摩訶不思議だ」実感です。

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コメント

御紹介いただき、感謝申し上げます。これを励みにしたいと存じます。

投稿: arimori | 2011年12月 4日 (日) 09時38分

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