西尾維新さん 『100パーセント趣味で書かれた小説です。』から
『100パーセント趣味で書かれた小説です。』。 『化物語』をそんなフレーズと共に世に送り出してから幾年が過ぎ、 今、シリーズ化したその世界観に何度目かのピリオドを打つ一冊『恋物語』をお届けできることをとても嬉しく思います。
冊数にして12冊目。ここまでくればそろそろ『趣味』から『労働』になっているのではと思いきや、さにあらず。
むろん、素晴らしいアニメを作っていただいたり、別シリーズを始めてみたり、今回のような大々的なフェアを開催していただいたり、 『発表する気もなく自分用に書いた』とはさすがに言えなくなっておりますが、それでも意欲そのものはあの頃と同じです。って言うか、たぶん『労働』だったらこんなには働かない。
一冊一冊、一話一話を常に最終話のつもりで書いている物語シリーズとは言え、セカンドシーズンと銘打って始めた一連のお話をこうして『書き尽くせた』のは、やっぱり『趣味』でやってるからなのだろうなあと思います。
漫画化と文庫化に同時に恵まれた『零崎双識の人間試験』から始まる人間シリーズも、あるいは今まで書いてきたどの小説も、根本にあるのはきっとそんな趣味性なのでしょう。
これからも僕は小説に、そして物語に『尽くして』いきたいです。(西尾維新)
(講談社『BOOK倶楽部メール』 2011年12月15日号より)
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