同人誌「相模文芸」外狩雅巳さんのこのごろ
「相模文芸」会員の外狩雅巳作「不況の暮れは」が「文学街」の短編小説部門に入選し、10月8日に都内出版クラブで授賞式並びにレセプションが開催された。会場には本会員が多数駆け付け、同氏の受賞を祝ったという。
外狩雅巳さんは、わたしと同年代で70歳代に手が届くか届かないかであろう。作風にはプロレタリア文学を承継した典型的なものがある。現代の閉塞感の表現法を見いだせない人ひとたちの目には、文章が荒削りだとか、荒っぽさが目立つとかいいそうだが、人間の働くことと、生きることを表現する意味で、よくエネールギー出ている。
プロレタリア文学が本来あるべきとしたの骨格に準じており、それはそれで素晴らしい個性である。
彼の文章には、都会に住む労働者たちの疎外感から脱出しようとする体臭が表現されている。働く人間のなかにも退廃はある。彼はそれを描く。しかし、それは文芸的衰退を意味しない。とくに大田区の町工場の周辺を舞台にした作品は素晴らしい。小関智弘や「下町ロケット」の池井戸潤、高村薫が「レディ・ジョーカー」で、この工場街を描いているが、それとは一味ちがう町の息遣いを外狩氏は表現している。多摩川下流域は、河原の砂が町に舞い込んで人々が悩まされている話などは、住んでいないとわからないもので、それを素材にした見事な作品もある。
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コメント
伊藤昭一様
ありがとうございます。
やはり私の知る外狩さんでした。約30年前に一度おうちへお邪魔したことがありました。
とても気さくな方で、今でも鮮明に覚えています。
まだ何も分からない10代の頃で、外狩さんから多くのことを教えていただきました。当時のお礼も申し上げられず、卒業してしまいました。
とても懐かしく思います。またお会いしたいです。
よろしくお伝えください。
(板橋区長秘書 明妻正道)
投稿: 明妻正道 | 2013年4月11日 (木) 17時54分
明妻さま
外狩雅巳さんから連絡があり、確かに「東京文化アカデミー」という学校に在籍していたそうです。「中央労働学院の後身のところです。以降三鷹に移転し。東京外語アカデミーとして存続しています。」とのこと。
明妻さまをご存じのようです。現在身内に葬祭ごとがあり、多忙のようです。パソコン事情もあり、小生がその旨連絡代行させていただいています。
(文芸同志会主宰・伊藤昭一)
投稿: 伊藤昭一 | 2012年9月 8日 (土) 23時37分
つかぬことをお伺いします。
外狩雅巳さんはその昔、「東京文化アカデミー」という
夜学の学校へ籍を置いてはいませんでしたか。
投稿: 明妻正道 | 2012年9月 8日 (土) 10時16分