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2011年10月 8日 (土)

詩の紹介 「毛虫」 豊福みどり 

「毛虫」    豊福みどり
検定鋏で/枝をパチパチと切り落として行く/葉の裏に/とげとげのある/黄色い毛虫を発見/心臓がトキドキする/一瞬手が止まる/以前この虫に刺されたことがある/その鋭い痛さを皮膚が憶いだす
私は怯える/毛虫は私を察知する/私は身構える/毛虫は尖る/そこで私は一呼吸
私は鋏を持つ巨大な生き物/毛虫は所詮 毛虫/私は鋏を誇示する/毛虫の運命は/この私が握っている
青い空の下/私の尊大な気持ちが/次第に広がっていく
詩誌「コールサック」70号より 2011年8月 東京都板橋 コールサック社

紹介者・江素瑛(詩人回廊)弱小な毛虫の自衛のとげ。刺された痛みの記憶がよみがえる。
今のこの毛虫は昔のあの毛虫でなくても「以前この虫に刺されたことがある」以前のトラウマの警鐘で、尊大な気持ちが湧き、排除と殺意の源になる。
理由のある殺意と理由なき殺意。正当化かされた戦争の殺人、テロなどは、時代を遡ってでも理由をつくる。個人の幸不幸と無縁な殺意もある。一匹の毛虫でもないがしろにすることへの危険を示す。

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