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2011年9月 4日 (日)

第21回ドゥマゴ文学賞に磯崎憲一郎さん

 第21回「Bunkamura ドゥマゴ文学賞」(主催・東急文化村)は2日、磯崎憲一郎さん(46)の「赤の他人の瓜二つ」(講談社)に決まった。 副賞100万円。今年の選考委員は作家の辻原登さん。
「赤の他人の瓜二つ」<血の繋(つな)がっていない、赤の他人が瓜(うり)二つ>
 呪文めいた一文で始まる物語は、マヤ文明以降のチョコレートと人間の歴史をつづる。恋の終止符を打つためチョコに毒を盛られたイタリア・メディチ家の侍医、角材を振り回し結婚式当日に女を略奪した日本の製菓工場の労働者。
 いつの世も人は恋し、老い、死んできた。「他人と瓜二つ」のようでありながら、掛けがえない小さな生への愛(いと)しさがわいてくる。
 「普通、自分の人生が誰かと似ているのは否定的に言われる。でも僕には、生きた時代も場所も異なる人間が似た悩みや楽しみを抱えていることが、個の限界を越えて分かり合える可能性や希望に感じられます」
 ブッダから始まる3代を描く2007年のデビュー作『肝心の子供』以来、作家は時間に関心を持つ。本作でも千年を超す人類の時間が、極端な緩急をつけて流れる。「人間が死んだ後に残すものは財産ではない。それぞれが生きた人生の時間だと思う」
 この日の取材は、午後7時から。日中は商社で働き、新卒採用などを担当する。
 「執筆と会社員との『二足のわらじ』といった感覚は年々薄れています。ビジネスも小説も大切な場面では、その人の信念や矜持(きょうじ)、生き方をさらけ出さなくてはならないから」と話す。

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