« コストさえ安ければ事故が起きてもいいというらしい。日本エネルギー研究所 | トップページ | 文芸時評9月号(産経新聞)早稲田大学教授・石原千秋氏 »

2011年9月 2日 (金)

詩の紹介 「碁打ち」大井康暢(2011年 9月・詩集「象さんのお耳に」より)

「碁打ち」大井康暢

碁は幾重にも重なる心理戦である/愛憎の絡み合う怨讐のわなだ/引っ張り合う緊張の果て/敵の術中にはまって死を急ぐ/たわけた喜劇でもある/碁打ちは妬み深く/生死をかけ/これが実人生だったらたまらない/命はいくつあっても足りない/高段者に平身低頭しても/敗者をたたえたりはしない/そっと腰をかがめて逃げる/敗者のまわりからはひとり二人さって/ついに誰もいなくなる/強い男は黙って去る/碁は格調高く高貴な精神の勝負だ

余所者を警戒し/中々仲間をしてくれない/黙ってみていて/勝ったものの方をほめる/周りをとりまき/後ろからそっと見ている/相手をじらして/自滅に追い込む/勝ってばよい/それが碁打ち根性だ

碁よ/それでも人を碁会場に誘い出し/人間の業と欲を満喫させてくれる
                 東京都板橋区 株式会社「コールサック社」

紹介者・江素瑛(詩人回廊)
 人間は平和を好むと同時に憎しみの戦争をしたがる深い内面もある。作者はそういう内面を碁うちに喩え、人間の欲望とストレスを発散するものとして捉える。碁というものを写実的にかたり、もうひとつの意味を含ませる。確かに「紙上談兵」はいくら戦っても「人畜無害」である。人の都合で起す戦火の犠牲は、人だけでなく動植物の生きとし生けるものを焼き尽くす。碁が本物の戦争を無くす手段になると良いのだが。

|

« コストさえ安ければ事故が起きてもいいというらしい。日本エネルギー研究所 | トップページ | 文芸時評9月号(産経新聞)早稲田大学教授・石原千秋氏 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« コストさえ安ければ事故が起きてもいいというらしい。日本エネルギー研究所 | トップページ | 文芸時評9月号(産経新聞)早稲田大学教授・石原千秋氏 »