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2011年8月11日 (木)

文芸時評7月(東京新聞7/28)沼野充義氏

庄野潤三「逸見小学校」戦時、一瞬のオアシス/小野正嗣「残された者たち」「浦」の笑いと生命力。
 的確な比喩が持つ力――(引用抜粋)7月の9日にNHKテレビの討論番組で、奈良林直氏(北大教授・原子力安全委員会専門委員)による「日本は原発のおかげで空を飛んでいるジェット機のようなもの。原発というエンジンが止まったら失速する」という主旨の発言を聞いて考え込んだことだった。福島県南相馬市に住む93歳の女性が原発事故の収束を悲観したすえ、6月下旬に「お墓にひなん(避難)します」という遺書を残して自殺してしまったというのだ。(後略)
 ここで、奈良林教授の比喩は、不正確であり言い換えが可能であるが、南相馬市の女性の比喩は素朴だが、言い換えは不可能である、とする。
《対象作品》評論・陣野俊史「『3・11』と『その後』の小説」(すばる)「庄野潤三「逸見小学校」(新潮)/小野正嗣「残された者たち」(すばる)/村田沙耶香「タダイマトビラ」/間宮緑「塔の中の女」(群像)。

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