« 詩の紹介「愛について」 作者・大坪れみ子 | トップページ | 文芸時評6月(毎日新聞6月26日)田中和生氏 »

2011年7月 1日 (金)

【文芸月評】(読売新聞6月28日)「人間の芯」探る長い旅

.極限下に見る実存と嗚咽。V・E・フランクル『それでも人生にイエスと言う』(春秋社)は、3か月で1万6000部増刷。
《対象作品》絲山(いとやま)秋子氏(44)「不愉快な本の続編」(新潮)/福島県郡山市出身の古川日出男氏(44)は、「馬たちよ、それでも光は無垢で」(新潮)/大道珠貴(だいどうたまき)氏(45)「命からがら」(文学界)/デビット・ゾペティ氏(49)「到着ロビー」(すばる)/丹下健太氏(32)「ぱんぱんぱん」(群像)/角田光代氏(44)「空に梯子(はしご)」(新潮)/(文化部 待田晋哉)
「戦争小説」論じた労作
 湾岸戦争が起きた1991年以降の日本の「戦争小説」を論じた陣野俊史氏(49)『戦争へ、文学へ』(集英社)は労作だ。
 阿部和重(42)、奥泉光(55)の両氏をはじめとする作品を論じる。90年代は戦争小説が少なく、女性の作品が目立ったなどの話も興味深い。今作の読解が震災で変質するとも語る著者の今後の批評が気になる。

 日本文芸家協会の短編アンソロジー『文学2011』(講談社)も刊行された。朝吹真理子氏(26)「家路」から津村節子氏(83)「異郷」まで20人の作品を掲載する。

 東京大教授の沼野充義(みつよし)氏(57)は解説で、作品傾向を「リアリズム」「幻想」「メタフィクション」の三つに分類。震災後の文学の可能性をこう述べた。<自分の無力さを半ば認めるという自己アイロニーもまたじつは小説という変幻自在でしぶとい表現形態にそなわった力なのではないか>

(2011年6月28日 読売新聞)

|

« 詩の紹介「愛について」 作者・大坪れみ子 | トップページ | 文芸時評6月(毎日新聞6月26日)田中和生氏 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 詩の紹介「愛について」 作者・大坪れみ子 | トップページ | 文芸時評6月(毎日新聞6月26日)田中和生氏 »