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2011年6月 1日 (水)

寸編小説紹介「そして誰もいなくなった」作者・廣野毅志

「そして誰もいなくなった」作者・廣野毅志(詩人回廊サイトより)
 アガサクリスティのミステリー小説と同名の小さな物語は、郊外に開業した医院の軒下に住みついたツバメの話。地上の田畑や花を眺め人のやってくるのを待っている日常に、ふと気がつくと空からの来訪者があった。
 頭上の巣と空を見上げることを描いているが、描いていない生活ぶりも想像させる。メスヘン調のカットも、同じで描かないことで想像力をそそる。住まいの定点から、広がりのある世界を表現している。どれを描いて、描かない部分も浮き彫りさせるか。無意識の作用を感性という。そこには含蓄が必要とされる。その意味で感性の優先した散文詩でもある。(紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)

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