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2011年5月16日 (月)

著者メッセージ: 町田康さん 『猫とあほんだら』

  伊豆半島で毎日、猫と遊んで暮らしている。というときわめて気楽な人生のように聞こえるが、実際のところは……きわめて気楽な人生である。
 (中略)本来であればもっと努力とかして、刻苦勉励とかもして、こういう人間になる、こういう人生を送ると定め、トリャー、アリャリャリャ、と絶叫して剣道の恰好して浜辺をすり足で進んでいくべきなのだろうけれども、そんなことをしたら疲れてしまうのではないか、という疑念が最後まで拭えず、できなかった。
  ならばせめてサーファーくらいにはなろうかな、と考えたこともあるが、当時、私はクルマを持っておらず、あんな面倒な荷物を持って電車に乗るのは社会の迷惑だし、第一、自分自身が疲労してしまうのではないか、という懸念が払拭できずなれなかった。
  しかし、私の師が、そんなことをする必要はまったくない、と教えてくれているので私はそれを恥じない。私の師とはだれか。
  いうまでもない話、私方に住まう猫たちである。典型的な犬型人間で、前世は犬、人間は一回目、と言われている私は、猫のようになりたい、猫人間になりたい、と日々、念願し、これを尊崇し、また、いくらか畏怖している。
                           (あとがきより)
 (講談社『BOOK倶楽部メール』 2011年5月15日号)

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