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2011年5月30日 (月)

詩の紹介 「欅」 作者・てらしせいたろう(「詩と真実」7月号)

この頃記憶力がとんと/落ちてきている僕は/欅という木の名前をよく忘れる/祖母の形見の欅のほそ長い栽縫台/衣類の入った行李が幾つもその台の上に乗っかった儘で/栽縫台の存在さえ分からなくたっている/欅は日本人が一番好む目の美しい木だと聞く

祖父は営林署に勤めていた/食卓や火鉢も欅作りで/祖母はそれが当たり前のようにして嫁としての勤めをこなしていた/祖父は三十五歳で病死/それまで奉公にやってきていたデカンやメロたちも閑をとった

祖父の父は祖母を引き留めた/だが/祖母は二人の娘を連れて実家に戻った/慣れない農作業の傍ら祖母は和裁で生計を立てた/わが家に移ってきてからも祖母は/九十歳まで針を持った/オヤジ オフクロ 姉 僕 妹の寸法を紐で計って/瞬く間に浴衣や羽織、袖なしを仕立ててくれた/その祖母が亡くなって十年

あの木は何の木だったっけ?/五十六歳の僕は/今日も思い出せない
(月刊文芸誌「詩と真実」7月号より平成22年 6月熊本市出仲町・詩と真実社)

紹介者 江素瑛(詩人回廊
欅という木の名前は思い出せないけど、欅をみるとそこに祖父、祖母の影が棲み付いている。若いときにも夫を亡くし、娘二人を連れて、転々とした住まい、けっして穏やかではない暮らし、しかし一生和裁をつづけ、「九十歳まで針を持った」。家族に対する愛情も紐一本、針一本で通していた。家族の愛をみつける視力に、心を打たれます。明治時代と思われる女性の強い生き方。作者は欅から和裁まで祖母の一生、愛する祖母に対する思い出が実に生き生きと色濃く描かれています。

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2011年5月29日 (日)

第十二回文学フリマ参加サークル一覧発表

第十二回文学フリマ(6月12日大田区産業プラザ)の参加サークル一覧が公開されました。

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同人誌時評「図書新聞」(5月28日)(5月)福田信夫氏

題「教えられることの多い秀作多数」
『青稲』86号より「編集後記」・秋元有子「ひろき野へ(四の章)知力と理念の森へ」・赤井箱太郎「たそがれのビギン(下)の四」・田中純司「国に殺された青年 鶴彬 夕陽録新聞(六)」
『丁卯』29号より興津喜四郎「辻晉堂・小熊秀雄・岸澤惟安老師」・小堀文一「細部描写の真実性、我孫子時代の志賀直哉」
『みちくさ』4号より西脇久美子「刻み続けた家族の時間『回想の太宰治』」・田辺ゆかり「どしゃぶりの女『ヴィヨンの妻』」
『文芸復興』123号より上原アイ「吾木香の人 三ヶ島葭子」・西澤建義「松尾蝸社舎氏を偲んで」・堀江朋子「亀山恒子さんを悼む」
『焰』86号より蒲生直英追悼の亀川省吾「山塊とハタハタ」・阿部忠俊「偲ぶ」・西川和子「遠くなった風景」・山平健二(長井文学同人)「行動の詩人・蒲生直英さん」・金子秀夫「蒲生直英さんのこと」
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2011年5月28日 (土)

大荒れの日本ペンクラブ・総会を穂高氏がレポート

穂高健一氏が、《大荒れの日本ペンクラブ・総会》をホームページでレポートしています。
 なお、日本ペンクラブは新会長に浅田次郎氏が就任した。昨年開催された国際ペン東京大会での不適切会計処理について調査を行うことを決定した。国際大会は当初、1億7760万円の予算だったが、実際には2億3042万円と大幅な支出超過となっていた。また、同大会で一部業務を委託されていた会議運営会社が事務処理を行うため「簿外口座」を作り、同口座内で不明瞭な支出が発生していたという。

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<お知らせ> 情報の多様化に参加のため「暮らしのノートPJ・ITO」ニュースサイトを起動させました。運営する団体・企業の存在感を高めるため、ホームページへのアクセスアップのためにこのサイトの「カテゴリー」スペースを掲示しませんか。文芸同志会年会費4800円、同人誌表紙写真、編集後記掲載料800円(同人雑誌のみ、個人で作品発表をしたい方は詩人回廊に発表の庭を作れます。)。企業は別途取材費が必要です。検索の事例
連携サイト穂高健一ワールド

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文芸月評(5月27日 読売新聞)

 戻れぬ震災前の世界/.静かな怒りと新たな価値観(文化部 待田晋哉)
《対象作品》川上弘美氏(53)「神様2011」(群像)/高橋源一郎氏(60)「お伽(とぎ)草子」(新潮)/文学界新人賞・山内令南(れいなん)氏『癌だましい』(19日に52歳で死去)/群像新人賞・中納(なかの)直子氏(29)「美しい私の顔」/谷崎由依(ゆい)氏(32)「水際の声」(文学界)/戌井(いぬい)昭人(39)「ぴんぞろ」(群像)/宮本輝氏(64)「流転の海」第6部の「慈雨の音」(新潮、2009年7月号~)/同『三十光年の星たち』(毎日新聞社)。
(文化部 待田晋哉)(5月27日 読売新聞)


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2011年5月27日 (金)

文芸同人誌評「週刊読書人」(5月6日)白川正芳氏

「遊民」創刊号より斎藤孝「『お髭の斉藤さん』と呼ばれて」
杉岡千幸「布をつなぐ」(「igneaイグネア」3号)
「草野心平研究」13より財部鳥子「天山文庫・・心平さんへ」・安井三吉「草野心平と中国」・「草野心平詳細年譜」
「多島海」9号より石山修司「埴谷雄高との邂逅」・富貴高司「退職したら驚いた」
富貴高司『埴谷雄高への感謝状』(多島海社、2000年9月)
中村靖則『古本屋慕情』(平安工房)、小林美雪「感謝のしるしを言おう」(「農民文学」292号)、稲沢潤子「墳墓」(「民主文学」5月号)、松原慶子「みじんこ日記」(「かわばた文芸」15号)、北沢佑紀「纏足」(「四国作家」43号)
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2011年5月25日 (水)

よしもとばななさんイタリアの文学賞「カプリ賞」を受賞

 作家のよしもとばななさん(46)が著名なイタリアの文学賞「カプリ賞」を受賞したことが、24日までに同賞のウェブサイトで分かった。同賞は1987年創設。過去にはノーベル文学賞の詩人、デレク・ウォルコットさんや、作家のアルベルト・モラヴィアさんなどが受賞している。(2011年5月25日 読売新聞)

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2011年5月24日 (火)

同人雑誌季評「季刊文科」第52号2011年5月発行

◆松本道介氏「一寸先は闇」
石峰意作雄「俳句賞翫(第二回)」(「火山地帯」163号、鹿屋市)・同誌より立石富生「メール日和」・朝岡明美「踏切の音」(「文芸中部」86号、東海市)・西田宣子「宝物さがし」(「季刊午前」44号、福岡市)・井藤藍「あにいもうと」(「法螺」64号、交野市)・森静泉「残灯」(「狼」57号、高崎市)・同誌より萩原有記「きらめきの中へ」・佐々木欽三「萩原朔太郎の妹」他二篇(「街道」17号)
◆勝又浩氏「未知未経験の日々」
小野誠二「傘寿」(「北狄」352号、青森市)・同誌より宰木陽二「不条理」・中村桂子「足の記憶」(「朝」30号、茂原市)・木下健一「残像」(「播火」77号、姫路市)・栗原陽子「奇遇」(「丁卯」28号、沼津市)・北村順子「隠しごと」(「婦人文芸」89号、東京都)・北川朱美「会議室の窓」(「文芸中部」85号、東海市)・同誌より堀井精一「輝く夕陽」・森田高志「臭う檸檬」(「九州文学」12号、中間市)・同誌より波佐間義之「めばえ」・本千加子「情けは人のためならず」(「カンテラ」23号、西宮市)・樋蛎波二雄「広重と中野重治の肉体関係」(「裸人」28号、高岡市)
●「同人誌の現場から」投稿は以下
「百号を目標に」永井孝史(「碑」主宰)・「言葉に寄り添って」武田久子(「松山市 スクランブル社代表」)・「『日本海作家』の場合」張籠二三枝(「日本海作家」編集委員)・「書かずにいられない人たち」佐々木国広(『たまゆら』主宰)・「『文藝軌道』の位置」黒羽英二・「電話が繋いだ恩愛の絆-庄司肇さんへの追悼-」森啓夫(「文学街」主宰)・「中野重治再読」金山嘉城(「裸人」)・「基礎力の欠如」中村信雄(「旅と湯と風」代表)
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2011年5月23日 (月)

第6回『幽』怪談文学賞 募集

第6回『幽』怪談文学賞 募集要項 体験談、伝聞、創作を問わず「怪異」をテーマとする文芸作品を、「短編部門」と「長編部門」の2部門で募集。

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2011年5月22日 (日)

詩の紹介「東北・関東巨大大地震」作者・寺崎孝子(「詩と真実」5月号)

東北・関東巨大大地震  寺崎孝子

ニ〇一一年三月一一日 午後二時四十六分
ごろのマグニチュード(M)8.8 ⇒ 9.0
国内観測史上最大の地震と津波
テレビのアナウンサーの報道特別番組に新聞
宮城県福島県茨城県岩手県千葉県東京都
青森県神奈川県埼玉県・・・
人びとの震える心
日本中が悪い夢をみている放心
海 山 地 家 車 船
生きよう歩こう
声にならない声
過ぎ去った昔
やがて やさしい筋道ができるだろう
破壊の死の痛みに
ひたすら
祈る

月刊文芸誌 「詩と真実」No.743 5月号より (熊本市)

紹介者 江素瑛(詩人回廊)
テレビの報道から受ける心境の記録です。
なぜか同じ11日(9月)のニュヨークの自爆テロの記憶の映像が重なっている。
作者は過ぎ去った昔の災難も思い出したようだ。
天災によるやら人災によるやら、地球に人間の与える破壊は変わらない。関東・東北大地震と称されていたものが、東日本大震災に落ち着くまで、災害の実態がはっきりしなかった。さらに世界の経済、社会、人類健康に多大な影響をもたらすか、それはいかなる長い時間になるか、予測もできないだろう。
人間は自らの手で人間を滅ばすのか、幸いわれわれは祈ることができる。神さまの憐れみに。 

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2011年5月21日 (土)

大江健三郎氏と星野智幸氏の「俺俺」選評公開対談を聴く

 大江氏は星野氏「俺俺」の社会性を評価していた。会場からの質問で、最後は作品中の人間的な矛盾を提起した答えとして、あのような結末にしたのか?というものがあった。
 たしかに、それまで現在進行形で読んでいたものが、急に回顧調にかわる。物語というのは構造的にそれらしき形を要求するので、結末に変調的になるのは仕方がないと、自分には思えた。ドストエフスキーの「罪と罰」も大地に接吻するなんてはぐらかしに思える。
 小説の構成では、「罪と罰」にそっくり同じ構造をしている島崎藤村の「破戒」の秘密の告白の方が物語的に良いように思える。どのジャンルにも表現手段の限界というものがあって、油絵に3D立体画面は要求できないので、作品は考えるヒント問題提起がうまくやれればよいように思う。
《参照:老人の愚行・・・》

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2011年5月20日 (金)

時評-小説「讀賣新聞」西日本地域版年5月10日(火)夕刊・松本常彦氏

題「震災後 問われる地力」
中瀬誠人「サウナ ニュー・ナカノシマ」(「文学界」2011年4月号)第41回九州芸術祭文学賞最優秀作、同賞佳作の悦本達也「ケージ」
以上を含む各地区優秀作は『九州芸術祭文学賞作品集41』(九州文化協会)に収録
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2011年5月17日 (火)

文芸季評(読売新聞5月14日)安藤礼二氏

「私」と現実の不協和
《対象作品》中原昌也「死んでも何も残さない」(新潮社)/多和田葉子「雪の練習生」(新潮)/磯崎憲一郎「赤の他人の瓜ふたつ」(講談社)/笙野頼子「人の道三神といろはにブロガーズ」(河出書房新社)/海猫沢めろん「愛についての感じ」(講談社)/今村夏子「こちらあみ子」(筑摩書房)。


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同人誌「孤帆」17号(川崎市)(2)

【「NAKED」奥端秀彰】
 主人公・諒一の父親が、投資家であるらしい。それが結果的に詐欺師のようなことになるらしく、税務署が捜査に入っている。諒一は、父親の事務所を手伝ったことがあるため、彼の職歴と収入源を明らかにするように言われる。仕掛けに工夫がみられる。そこで彼が、これまで職を転々とした話をし、職業遍歴の過程が語られる。このちょっと変わった設定が面白い。
 転職を頻繁にするのも、遼一の気まぐれや怠け者精神でなく、その仕事の内容や人間関係に、尤もな事情があったことを描く。そこに稀な面白さがある。遼一が、失業してものんびりすることなく、すぐ稼ぎに出てしまう性格がよく表現されている。また、職場にはその状況に特殊性があるが、特殊性を描いて普遍性をもたせている。その一方で、書く方の視点からすると、これだけの素材を出しながら料理の仕方がもう一工夫足りないと思わせ、もったいないという感じである。徒競走で、抜ける脚をもちながら、抜かないもどかしさを感じさせる。
 話の構造はいいので、父親、別居中の奥さん、ハッタという父親の友人、町田老人など、人間模様として厚みをもたせば、読み応えが増すような気がする。

【「ワカレの宴」淘山竜子】
 今の時代の職場環境と生活感覚が中心で忙しい現代に女性の仕事の生活が描かれている。教材の添削のアルバイトや、仕事探しの状況が細かく書いてある。作中に「通風」とあるのは、「痛風」のワープロ変換違いのような気がする。何だろう?でもそれでべつに問題はないのだが、登場人物の影が薄いというより、薄くして描く。ひとつひとつ重要な事件的なエピソードがあって、それが平らに並べてある。
 現代社会では、お互いに大きく傷つかないように附かず離れず影の薄い関係を作っているのであろうが、作者がそれを再現しているのか、作者の欲望が見えない。人間社会では、相手の欲望を知りたいから、相手に興味をもつ。作者の欲望が見えないから登場人物の欲望が見えないのか、時代の鏡になっている。


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2011年5月16日 (月)

著者メッセージ: 町田康さん 『猫とあほんだら』

  伊豆半島で毎日、猫と遊んで暮らしている。というときわめて気楽な人生のように聞こえるが、実際のところは……きわめて気楽な人生である。
 (中略)本来であればもっと努力とかして、刻苦勉励とかもして、こういう人間になる、こういう人生を送ると定め、トリャー、アリャリャリャ、と絶叫して剣道の恰好して浜辺をすり足で進んでいくべきなのだろうけれども、そんなことをしたら疲れてしまうのではないか、という疑念が最後まで拭えず、できなかった。
  ならばせめてサーファーくらいにはなろうかな、と考えたこともあるが、当時、私はクルマを持っておらず、あんな面倒な荷物を持って電車に乗るのは社会の迷惑だし、第一、自分自身が疲労してしまうのではないか、という懸念が払拭できずなれなかった。
  しかし、私の師が、そんなことをする必要はまったくない、と教えてくれているので私はそれを恥じない。私の師とはだれか。
  いうまでもない話、私方に住まう猫たちである。典型的な犬型人間で、前世は犬、人間は一回目、と言われている私は、猫のようになりたい、猫人間になりたい、と日々、念願し、これを尊崇し、また、いくらか畏怖している。
                           (あとがきより)
 (講談社『BOOK倶楽部メール』 2011年5月15日号)

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同人誌「小説と詩と評論」第330号(東京都)

 本誌には第7回森田雄蔵賞の受賞作が、加奈山径氏の詩・「私小説」(同人誌「ふたり」)と、尾関忠雄「タヒチの幻想」(同人誌「北斗」)に決まったとある。受賞の言葉と選考委員である、岩田光子、石川友也、野辺慎一、陽羅義光、各氏の選評がある。
 森田雄蔵氏(1910~1990)は、「小説と詩と評論」の元発行人で、木々高太郎氏(直木賞作家)が創刊した本誌を20年以上にわたり主宰し、継承した方だそうである。
【「死後述懐」陽羅義光】
 ―私はもう死んでいる―からタイトルどおりに死者になったばかりの男の独白。散文詩的なイメージで表現してある。ジェームスジイスの「ユリシーズ」の意識の流れに似たような手法だが、この方が日本的でわかりやすく面白いかも。
【「一笠一杖―四国冬へんろ日誌」雨宮湘介】
 遍路日誌は多いが、読めば面白い。1月15日のなかに「空」の解説があり、その説明ぶりが、日本での「空」の解釈として読むと興味深い。
【「優しい貴方」畠山拓】
 講演をする男につかず離れずの女性の独白体小説。男を「貴方」と称して、彼の講演先での女性関係を観る。恋愛感情をからめて、謎があり、年齢不詳の不気味な味もあって面白い。
【「雑木林の下で」宮部友子】
 この女性も中年か、人間関係のない観察的な女性から見た幻想的社会風景。
【「究極のギャンブラー」美倉健治】
 ギャンブル好きのペンキ職人のギャンブラーへの憧れ、夢を語るが、意外と手堅い話で、これもギャンブラーのひとつの姿か。作者はあまりギャンブルをしないらしく、競馬、競輪、競艇へのイメージぶりがわかって面白い。
【「詩に出会うときⅩⅡ」石川友也】
 ランボーの評論である。訳はいろいろなのがあるが、ここでは粟津則雄訳。70歳の詩人がランボーに宛てた手紙のスタイルが洒落ている。作者のやわらかな心が伝わってくる。まさに、
見つけたぞ 何を?  永遠!!太陽と海が番ったのを

発行所=123-0864足立区鹿浜3-4-22、のべる出版。


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2011年5月15日 (日)

同人誌「孤帆」17号(川崎市)(1)

【「つっけんどんな夜に」北村順子】
 現代そのものを素材にしている。話は、先に会社を辞めて起業した吉川さんに会って会社の愚痴をいったら「もう辞めたら」と言われてしまう。吉川さんはベビイ服のリサイクル販売やレンタルショップで順調。ビジネスに新天地を見出した吉川さんは在職中の散漫な生活から脱け出していた。その後、会社の不満が鬱積した「私」木村より子は、在職18年になる職場の退職願いを出す。(大事件だが、主人公のこだわりがない)そこで次の職を探すが、その前に近くのパン屋のアルバイトあっさりみつかる。こうして、人生の転換の一時期を生活日誌のように書いてある。いまどきこういう作風が流行っているのであろうか。世相描写・風俗の現代を描いてあるが、いちばん小説的なところがストンと抜いてある。小説を読んだあとは、読者はその存在の意味を考えるのだが……。ただ、昔アメリカの小説の翻訳でこのような手法らしきの作品を読んだことがある。


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2011年5月14日 (土)

このごろの活動から=穂高健一ワールドと連携

--直木賞作家・伊藤桂一氏の門下生仲間である穂高健一氏がサイトを新しくしました。これを機にサイトを相互リンクすることにしました。独自のオピニオンを展開しています。
ーー 穂高氏は「文学賞の取り方・狙い方・小説の書き方」講座の講師をしています。第42回地上文学賞受賞、第2回浦和スポーツ文学賞、第4回伊豆文学賞、第7回いさり火文学賞、第13回自由都市文学賞佳作、第10回日本海文学大賞奨励賞、第21回北海道文学賞奨励賞、第11回あだち区民文学賞受賞、第8回あだち区民文学賞佳作など。講座は小説の書き方=読売・日本テレビ文化センター・金町、第4木曜日 19:00~21:00
文学賞の取り方・狙い方・小説の書き方。
 ITO事務所では、連携の活かし方を考え中です。とりあえず、同人誌紹介欄に下記の表示を付記することにしました。私は今回の原発事故で自分自身の無知の罰を感じました(知り合いの研究成果を書き、結果的に原発安全推進の記事を書いてしまっていた)。遅まきながら反省してます。かつてはミニコミ紙を発行するのも大変でした。しかし、現在はブログというツールがあります。ミニコミ精神で情報発信していくつもりです。
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2011年5月12日 (木)

「こだまでしょうか」…みすゞ記念館、100万人突破

「こだまでしょうか」…みすゞ記念館、100万人突破 山口県長門市出身の童謡詩人・金子みすゞの遺稿集や写真などを展示している同市仙崎の金子みすゞ記念館の入館者が10日、100万人を突破した。
                   ☆
パロディも生んでいます《「詩人回廊」セイフとコクミン》
遊ぼうって言うと 遊んでる場合じゃないと言う
ばかって言うと 政府がばかって言う
安全って言っても 爆発がおきた
ごめんねって言っても ぜったいゆるさないと言う
こだま いいえ本音

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2011年5月11日 (水)

第27回太宰治賞は由井鮎彦さん「会えなかった人」

 第27回太宰治賞(筑摩書房・三鷹市共同主催)は、由井鮎彦さん「会えなかった人」に決まった。選考委員は、加藤典洋、荒川洋治、小川洋子、三浦しをん各氏。
第27回太宰治賞受賞作「会えなかった人」由井 鮎彦
【あらすじ】花火大会の日。旗笙子は、マンションの12Fで花火を見る約束をした恋人の真崎兼作を待っている。しかし真崎から、今日は行けないと電話が入る。
真崎の元には、昔の街並みの記憶を共有し、爛れた火傷の跡をもつ園井さゆりや、真崎の店で求めた商品が火を噴いたとクレームする鏑木隼人などが近付いてくる。鏑木の電話の後は、真崎の周りでボヤが起きるのだった。そして、ふたたび花火大会の日、真崎は祭りの人波に鏑木の後を追っている。旗は、自分と真崎の関係において園井の存在が濃くなっていると、不安に駆られる。そして待つのではなく真崎の元に向かうことを決断する。しかし、到着した真崎の店で火事に巻き込まれ、半身に火傷を負うのであった。

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2011年5月10日 (火)

文芸同人誌「海」(第二期)第5号(福岡市)

【「種の起源」牧草泉】
 今でも役に立つ原理が記されていて面白い。大学でマルクス主義的な生物学を学ぶ時、教授に「生物学生徒の『種の起源』読まず、マルクス主義生徒の『資本論』読まず、という定評がある。君たちは最後まで読もう」といわれたのを覚えている。ここには、著者のダーウインか、毎回表示した方が親切のような気がする。同人誌だから仲間内の私的な書き物でもいいのだが。
【「漂砂」有森信二】
 学費もままならぬ農家にうまれて、苦労を重ねて大学教授の地位を得た主人公が、自立神経失調症の激しい発作に襲われる。病名的には高血圧の血圧変動による神経異常らしい。この病状は体験をしない他人にはわからない。その症状の表現は迫力がある。眩暈はその人の存在であり、人間の孤独な個性の普遍的な側面に触れて深みを感じさせる。神経バランスの偏りのある体質が、幼少時からもって生まれてあったように感じさせる。大学教授という社会的な地位は、まさしくその個性の持ち主であるのだが、その病の体質は、誰にも理解されないし、伝えようもない。物語の構造に従って、社会的な地位を失って、喪失感を出すのだが、読者には、その病が生まれて変わらず、主張する個性のもつ孤独が伝わってくる。
(「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)

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2011年5月 9日 (月)

文藝誌「なんじゃもんじゃ」11号(千葉)

 後記によると、編集者の小川和彦氏は、和洋女子大学主催の「エッセイを書く」という公開講座を行い、小川氏が退職した後に受講生が「エッセイを書こう!」という勉強会を作って始まったそうである。
【「四人寄れば」坂本順子】
 連作・S町コーヒー店の10回目で、いつも日常生活に沿った掌編でうまくまとめている。というより、出だしから書くべきことに的を心得ていて、けれんみがなく、作家的な手腕がよく発揮されている。
 年配の兄弟がお互いに連れ合いを伴ってお茶をしながら、年老いた両親の住まいと生活の見守りを話題にしているのを、作者が耳にする。嫁と舅の話に女性の耳が反応する。
 話題は、いかにして両親に無事な老後をすごしてもらうかという生活の算段だが、それが実に、今は失われがちな、人情がまだ残っている様子を描く。心温まる話に現代的な作者の心が映される。昭和の時代には、年寄りにいかにより良く過ごしてもらうかに、重要な価値感があって、それをなし遂げると、世俗的な成功に勝る自己満足を得て、心の平和としていた。
 義理と人情のしがらみの産物であるが、個人主義が流行り、年寄りと気が合わないで主体性が保てないと、まず自分が不幸。逆にそのしがらみを断ち切らないと、心の平和が得られないということになり、合理的なごたごた解決策の核家族化。別居全盛である。不合理を排除した寂しさの感慨を与える話にしている。
【「決壊」杵淵賢次】
 別荘団地自治会実記⑤である。今回は、団地に高台と崖下のエリアがあって、さらに山の上からは「暴れ川」があるという。高台から土石流が起きて道路が決壊するというので、大変である。自治会役員が市役所と交渉し対応にあたる奮闘ぶりがすごい。温泉パイプなどもあるので、高級な団地らしいが、そんなこともあるのか、読んで驚いた。面白い話という前に、大変そうで、そんなことを言っていられない切実さがある。
 発行所=〒富里市日吉台5-34-2、「なんじゃもんじゃ」会。
(「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)
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2011年5月 8日 (日)

詩の紹介 「錯覚」 作者・桜井尚(新・原詩人No.35)

「錯覚」    桜井尚
日々の暮らしは尊いけれど/日々の暮らしは慣れてはいけない
毎日の勤めや食事の支度に/追われて/見える現実だけが/世界のように思える時/そのような錯覚が/僕らの「生」を誤らせる。
この見えている現実は/もっととてつもない/広大無辺宇宙の/ほんの片隅に過ぎない/僕らがそれに気づかなければ/あなたの家族の/猫や犬たちも/悲しい思いをするだろう/なぜなら/かれらはそれに気づかないのだから
人間だけが気づくことのできる現実がある/人間だけが知ることのできる世界がある
でも、おおかた/「僕らは夢の中で生きている」。/「僕らは夢の中で死んでいる」。
僕らは目覚めなければならない/夢の中でも目覚めなければならない/「錯覚」を克服して/日々の暮らしの中に/宇宙をとりこまなくてはいけない/風がそのように囁いているのが/聴こえなくてはいけない
 新・原詩人(隔月刊)No.35より  2011年4月 多摩市諏訪・新・原詩人

紹介者・江素瑛(詩人回廊)数えきれない小さな世界の集まりが、浩々たる世界になる。確か人間だけは世界観をもっている。動物は思想がないように人間には思える。
個体の日常が宇宙の微々たる一部であり、世界と錯覚してはならないと、作者が「おおかた/「僕らは夢の中で生きている」。/「僕らは夢の中で死んでいる」と酔生夢死のよう一生、ある場合、人生わずか50年、夢幻のごとくあっても「夢の中でも目覚めなければならない」と、目覚めた人になることををすすめる厳しいひとこと。

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原発がないと停電するらしい?ってほんと

 原発の大規模な停止は2003年と2007年にも経験しており、2003年には定期検査の虚偽記載が明るみに出て東京電力の原子炉17基が全て停止させられています。2007年は、中越地震のため柏崎刈羽原発が停止しました。ブログ「油を売る日々」より。
 もともと民主党はがちがちの原発推進派が多い。仙石さんも電力会社とお友達で、菅総理は、ひとりぼっちで、お友達がいないから、浜岡原発停止要請ができた。
それとも「気がかりをそのままにして事故を待つ」のか。
 電力買取制度の制限をやめれば、競争して発電する人がでるので、余って安くなるのでは?
《参照:太陽エネルギーとスマートグリット

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2011年5月 7日 (土)

メディアは菅総理の浜松原発停止要請の批判をするでしょうね

 メディアと評論家の菅批判を信じますか?東電が「想定外」を強調したのは、自民党が想定外の場合国が補償するとしていたのが頭にあったのではないか?。官僚も自民党も想定外があることを知っていたのか?。
 河野太郎衆議院議員の見解
福島原発はまだ進行中です。しかもまだ50以上の地域に原発がある。事故の要因は地震ばかりじゃない。各県の農作物、牧場、お茶の産物はどうするの?
 ライブドアには強制捜査をしたが、安全といって詐欺的にカネをとった東電を捜査しない。不公平。ただ急に事態が変わるとは思えない。古い力に新しい力が入れ替わることはなく、これまでにないべつの形が現われる、というのが弁証法的な解釈。
          ☆
ダイヤモンド・オンライン メールマガジン 2011/05/02号より上杉隆氏の解説
〈(2)原判決も、「粉飾金額を確認して比較する限りは、本件の金額は少ないと言ってよかろう」(原判決48頁)と認めているところである。しかし、刑事事件として起訴された過去の粉飾決算事例は「(本件より)多少多い」などといったレベルではない。
たとえば
①山一證券事件は、平成7年~9年にわたり合計 約7428億円の粉飾決算事件であったが、東京高裁は、平成13年10月25日に元社長に対して、原審を破棄して懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡した。
②日本債券信用銀行事件は平成10年の約1592億円の粉飾決算事件であったが、東京地方裁判所は、平成16年5月28日に、元会長に、「懲役1年4月、執行猶予3年」の判決を言い渡し、東京高等裁判所は、平成19年3月14日にこの結論を維持する判決を下した。
③カネボウ事件は平成14年の粉飾決算事件であり、粉飾額は連結純利益で約58億円、連結純資産で約753億円に上ったが、東京地方裁判所は、平成18年3月27日に、元社長に対して、「懲役2年、執行猶予3年」の判決を言い渡した。
④フットワークエクスプレス事件は、証券取引法違反(虚偽の有価証券報告書の提出)に問われた事件であるが、その粉飾金額は、経常利益で274億円、当期未 処分利益で約1340億円にも上った。これについて、大阪地方裁判所は、平成14年10月8日に、元社長に対して、懲役2年、執行猶予3年の判決を言い渡 した。
⑤アイペック事件は、約80億円の粉飾決算事件であったが、東京高等裁判所は、平成15年11月18日に元社長に対して、懲役1年8月執行猶予4年の判決を言い渡した。
 仮に、本件が粉飾決算であったとしても、その総額は約53億円である。しかるに、7千数百億という、金額において、被告人の百数十倍に達する場合も含め て、すべて先例では執行猶予の判決が下されているのに、わずか53億円の、また1期限りの粉飾決算で、直ちに実刑に処するというのは、誰が見ても公平では ない。あまりにも、不公平であり、正義に反する、と言うべきである〉

 結果的にこういうことになると思います。
竹原信一氏「市民や国民に、悪いことすることによって昇進する公務員」と語る

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2011年5月 6日 (金)

西日本文学展望「西日本新聞」4月29日(金)朝刊/長野秀樹氏

題「笑顔」
はなぶさりこさん「笑顔の君笑(くんしょう)」(「九州作家」125号、福岡県北九州市)
篠原眞さん「けろりん屋が来たぁ-売薬の旅(「杻の木」34号、佐賀県鳥栖市)、「杻の木」は今号が終刊号。同誌より藤田義則さん「確かな樹-ある畜産農家の戦後史⑥」、宮脇永子さん「モルダウに送られて」
「九州文学」第七期13号(福岡県中間市)より八重瀬けいさん「奇跡の鳥」、木匠葉さん「茶髪女と、それから」
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2011年5月 5日 (木)

詩の紹介 「喪失」 作者・丸本明子(「小説芸術」53号)

「喪失」  丸本明子
過去の袋のなかに/送り込んで/詰めて行く/いつの間にか/喪失している

喪失した/一つ一つの/物象が/駆け足で/戻ってくる/優しさと/痛みと/悔いと/悲しみを/包み込んで/回っている/懐かしい/顔と顔が/迫ってくる

吹雪が/景色を消す/顔と顔を消す/過去 現在 未来の/袋を抱えて/四辻に/佇んでいる/足元が/雪に/包まれていく
「小説芸術」53号より 2011年 5月  新座市新堀・小説芸術社

紹介者 江素瑛・(詩人回廊)
いつの間にか消えていたものが、いつの間にかまた戻ってくる。実際は消えることなく、脳裡のどこかに透明化させる袋がある。あるいは予測される未来。いつの間にか身体の時計が効かなくなり、時の見分けがなくなり、「吹雪が/景色を消す」脳は真っ白になり、「袋を抱えて/四辻に/佇んでいる」。誰でも何時になる悩みの重荷、捨てると身軽になるが、捨てがたいものがある。作者は「袋」で表現することは上手です。
プラスのことより、マイナスのことに記憶の再現力があるのか。改めて考えました。
…………………… ☆ ……………………
テレビが新聞を読み上げる時代になりました。情報ルートが単純化して選択の自由が失われつつあります。情報の多様化のため「暮らしのノートPJ・ITO」起動させました。運営する団体・企業の存在感を高めるため、ホームページへのアクセスアップのためにこのサイトの「カテゴリー」スペースを掲示しませんか。文芸同志会年会費4800円、同人誌表紙写真、編集後記掲載料800円(同人雑誌のみ、個人で作品発表をしたい方は詩人回廊に発表の庭を作れます。)。企業は別途取材費が必要です。検索の事例

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2011年5月 4日 (水)

同人誌「婦人文芸」89号(東京)

【「太宰治とその死」菅原治子】
 太宰治といえば、小説の巧さは天才、私生活は無分別で定評のあるところ。それに対し、著者は生活者として分別のあるところを冒頭からぴしりと表現して、それが何を語るのかと、まず興味を掻きたてる。そのセンスの良さにひきつけられて読み進む。太宰の死への向かい方が、分別をもった視点で再編成するとこうなるかと感心させられていく。
 太宰がその場の空気ごとに、誠実に対応するが故に、その場面と別の場面との世俗的関係性に一貫性を欠き、矛盾を招く状況が見事に浮き彫りされてゆく。現在ならばKYが読める人間としてスターであり続けた作家なのかもしれないと思わせる。真正面から太宰治の性格に照明をあてた説得力のある評論であった。
【「十字路」淘山竜子】
 働きながら大学院に通う若い女性の生活とその環境を描く。現代風俗小説に読めた。小説として書くべきところを、意識的に欠落させているらしいところがあり、それがどういう創作感から来ているのか、短いのでわからないが、手法として謎めいた印象を残すので、ちょっと変わった趣向の作品として印象に残った。
【「またも、ヘアダイ騒動」秋本喜久子】
 語りの面白さに天性の才気を感じさせる。同時に、こうでなきゃあね、と書く姿勢に共感を感じさせる。
【「追悼 井上やすし先生」野間悠子】
 井上やすしの日頃の活動の有り様を知って興味深かった。インターネット情報について、「インターネットからは何ひとつ情報を得てはいけない。ロクな情報はない」と、説いたそうで、同感である。自分でも、書いていながら、扱いに困惑することがある。もともと、これもメディアであるから、それら全般について、利用すべきもので、信ずるものではないということが言えるかもしれない。
(紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)
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テレビが新聞を読み上げる時代になりました。情報ルートが単純化して選択の自由が失われつつあります。情報の多様化のため「暮らしのノートPJ・ITO」起動させました。運営する団体・企業の存在感を高めるため、ホームページへのアクセスアップのためにこのサイトの「カテゴリー」スペースを掲示しませんか。文芸同志会年会費4800円、同人誌表紙写真、編集後記掲載料800円(同人雑誌のみ、個人で作品発表をしたい方は詩人回廊に発表の庭を作れます。)。企業は別途取材費が必要です。検索の事例

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2011年5月 3日 (火)

やらない理由を報じるメディアから

 菅総理がお盆までに仮設住宅をつくりといったら、メディアがやらない理由を大報道しているらしい。お盆まで時間があるからやればいい。やらない理由をいってやらない奴はクビにすべき。
 大体、組織では、プロジェクトをやるとやらない理由をとうとうとと述べるのが2割でる。3割はそれ同調したいひと。1割はやってみようという人。3割はやってもいいかな、と迷う人。そこで、2割のやらない理由をのべるひとのは家に帰ってもらう。やる人だけにやってもらう。それが原則。新聞社はやらない理由をいう奴のことをでよく理解していて、そんなんで倒産しないものだ。まもなくそうなるかも。
 ただ、こういうときは、やらない人の言い分の報道をして欲しかった。
以下、大石又七「ビキニ事件の真実」(みすず書房)からの抜粋引用ー。
  1955年に1月4日ビキニ事件が決着すると、その1週間後の10日、アメリカから日本政府に濃縮ウランを導入を打診する書類が届けられた。これを外務省は秘密にした。
 1955年(昭和30年)、読売新聞は元日の朝刊にアメリカ原子力平和使節団の招聘を告げる社告を掲載した。
 以後、5ヶ月にわたり、原子力平和利用のキャンペーン記事が読売新聞紙上にたびたび登場する。読売も日本テレビも、原子力平和利用を特別調査団を作り、使節団受け入れの世論作りに邁進した。
 当時の読売新聞の紙面には「明日では遅すぎる」「火に代わる新しき熱源」「原子力発電で解決」「疑問も不安もない」「野獣も飼いならせば家畜」などといった見出しが躍っている。
 柴田氏が残した当時の資料には、警視庁と公安調査庁が学術会議の主要メンバーの思想傾向を調べ、共産党寄りとみなされた学者に赤丸印をつけたものもあった。
 アメリカから東海村に原子炉が送られてきてからは、読売新聞と日本テレビは、プロレスなど盛んだった娯楽番組の時間をさいて、「原子力の平和利用、原子力時代到来」という大キャンペーンを始める。正力氏は「原子力から出る『死の灰』は食物の殺菌や、動力機関の燃料に活用できる」という宣伝文を、当時の財界誌に載せていた(前掲書87P~88P)。 .
《水産業界には、天下りがずらり!今は昔「第五福竜丸展示館」=東京(3)》より。

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第54回農民文学賞の受賞の谷本州子さんと臼井澄江さん

 第54回農民文学賞(日本農民学会主催)は、小説作品では該当作がなしで、詩の部門で谷本州子さん(76)の詩集「ソシオグラム」(土曜美術出版販売)と、臼井澄江さん(73)の詩集「茶山の婦」(茶茶処)と、の2人の女性詩人が選ばれた。その贈呈式が東京・飯田橋レインボービルで開催された。直木賞作家・詩人の伊藤桂一氏と日本農民文学会の木村芳夫氏が、選者としての選評を述べた。
《詳細参照:第54回農民文学賞の贈呈式に詩人の谷本州子さんと臼井澄江さん

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2011年5月 2日 (月)

文芸時評(毎日新聞4月28日)田中和生氏

<戦後日本の敗戦>「感動的なリアリズムの的書き方」「今後の希望語るのに必要」
《対象作品》安全な原発推進派・武田邦彦「原発とは戦艦大和のようなもの」(インターネット上)/津村節子「紅梅」(文学界)/山崎ナオコーラ「ニキの屈辱」(文芸)/丸山健二「眠れ悪しき子よ」(文芸春秋)。

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2011年5月 1日 (日)

文芸時評(東京新聞4月27日)沼野充義氏

伊坂幸太郎「P K」=「臆病」と「勇気」を問う/小山田浩子「いこぼれのむし」働く女性の心緻密に
《対象作品》クリスタ・ヴォルフ(1929年生まれ)「チェルノブイリ原発事故」(保坂一夫訳、恒文社)/「P K」伊坂幸太郎(群像)/中村文則「王国」(「文藝」夏季号)/綿矢りさ「トイレの懺悔室」(「文藝」夏季号)/萩世いをら「粉」(すばる)/小山田浩子「いこぼれのむし」(新潮)

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要するに日本人、愛情がなくなったっていうことです(月報アーカイブ)

 「文芸研究月報」2006年1月号にこう記されいる。この出所は、毎日新聞2005年12月9日付け夕刊で、鈴木琢磨記者がインタビューしている。
 051209ME【日本文化の再生を願う/アレックス・カーさん(53)】《鈴木琢磨》
「要するに日本人、愛情がなくなったっていうことです。自分の国土、山、水、木、葉っぱ、町並み、すべてに対して……」。東洋文化研究者・アレックス・カーさんは1952年、米メリーランド生まれ。英オックスフォードで中国学も修める。ウイークリー町家やコンサルティング事業の会社「庵」の会長。初来日は、64年、12歳の時、弁護士の父に連れられ横浜の米海軍基地に住んだ。後にエール大学で日本学を専攻した。京都、徳島、タイ・バンコックに家を持つ。いま、財政危機に瀕する地方都市がしきりにラブコールを送る。美しき日本の残像」(朝日文庫)で新潮学術賞。2冊目の著書「犬と鬼」(講談社)で、モンスターのごとき官僚大国、自ら考えようとしないロボット人間を量産する教育システムを辛らつに批判。「自民党がどうのこうのじゃない。国土交通省、文部科学省、財務省の官僚が牛耳ってきたんだよ。自民党なんてただのお飾り。どの党だって同じ結果じゃなかったかな。だって、京都は共産党だったんだよ。民社党の名古屋、ぜーんぶ同じよ」と日本国民が自ら国を棄て去ったと嘆く。
                           ☆
 ここの頭にある記号が日付で、MEというのは毎日新聞のM、Eというのが夕刊で、末尾がMMであれば朝刊。
これが朝日新聞だったらAE、その朝刊であればAMとなっている。産経夕刊ならSE、読売ならYEという記号がつく。 これはあとでその情報の全てを読みたいと思ったときに、探せるように記号をつけた。いまでも縮刷版でたしかめられるはず。この情報収集記号システムにいち早く反応したのが企業で、システムを社内の人間ができるように教えるコンサルティングをした。

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