詩の紹介 「喪失」 作者・丸本明子(「小説芸術」53号)
「喪失」 丸本明子
過去の袋のなかに/送り込んで/詰めて行く/いつの間にか/喪失している
喪失した/一つ一つの/物象が/駆け足で/戻ってくる/優しさと/痛みと/悔いと/悲しみを/包み込んで/回っている/懐かしい/顔と顔が/迫ってくる
吹雪が/景色を消す/顔と顔を消す/過去 現在 未来の/袋を抱えて/四辻に/佇んでいる/足元が/雪に/包まれていく
「小説芸術」53号より 2011年 5月 新座市新堀・小説芸術社
紹介者 江素瑛・(詩人回廊)
いつの間にか消えていたものが、いつの間にかまた戻ってくる。実際は消えることなく、脳裡のどこかに透明化させる袋がある。あるいは予測される未来。いつの間にか身体の時計が効かなくなり、時の見分けがなくなり、「吹雪が/景色を消す」脳は真っ白になり、「袋を抱えて/四辻に/佇んでいる」。誰でも何時になる悩みの重荷、捨てると身軽になるが、捨てがたいものがある。作者は「袋」で表現することは上手です。
プラスのことより、マイナスのことに記憶の再現力があるのか。改めて考えました。
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