赤川次郎さん、作家生活35周年記念作品「三人姉妹殺人事件」
「三人姉妹殺人事件」に寄せて(「講談社ミステリーの館」2011年4月号)
今ほど、ユーモアが必要とされている時はあるまい。ユーモアとは、ふざけることでなく、現実をちょっと離れて眺めることで、その辛さや苦しさを柔らげることだからである。
この書下ろしには、「三姉妹探偵団」シリーズでの佐々本家の三姉妹、綾子、夕里子、珠美と、「四文字熟語殺人事件」シリーズの大貫警部、井上刑事、向井直子がみんな登場する。書下ろしというめったにない機会だけに、普段顔を合せることのないメンバーたちに「一期一会」の出会いを用意した。しかしそれはあくまで「つけ合せ」で、メインの料理はある運命のいたずらで犯罪者になってしまう女たちの物語だ。
「運の良し悪し」はあっても、人にはそれを克服する力がある。そう感じられる爽やかな結末に微笑んでいただけますように……。<赤川次郎>
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