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2011年4月28日 (木)

同人誌「風の森」15号(東京)

【「横光利一『悲しみの代価』徹底解析」越田秀男】
 横光利一の遺稿に「悲しみの代価」というものがあって、川端康成が入手していたが、私的な作品だか、作者が生前発表しなかったのは未完成で、その気がなかったとかで、発表をためらったというような話は耳にしたことがある。ここではその詳細が丁寧に解説されている。
 自分は横光利一について、そのようなことは全く素人で、知識がないので大変興味深く読んだ。横光利一には、「純粋小説論」という評論があって、文学理論として面白いので「詩人回廊」に「横光利一「純粋小説論」のモダンと現代」を連載中である。これはあくまで創作の手法として、現代人の参考にしようというもので、横光利一への鑑賞としては粗雑なものである。文学的ではなく、政治経済分野の視点でみるとこうなるということである。
 本論を読んで分かったのは、どうも横光利一は、人間の細部の心理から、社会関係までを総合的文学のなかに組み込もうとした全体小説志向であったらしいということだ。
【「国家という不信―内村剛介が思念した場所」皆川勤】
 内村という人を知らないが、トロツキーの「文学と革命」も、レーニンの「帝国主義論」も持っている。地震で本箱から飛び出した。まだ入れ直していないが、あるはずだ。それぞれの本の訳者が誰であるか覚えていない。だいたい、これらの本について、社会人になって他人と話題にしたことがない。
 若い頃、シベリアや満州にいた人の話はきいたことがある。ひどいものだったらしい。アナーキーになるのもうなづける。昭和天皇の時代には、アナーキーに必然性があるが、現在は歴史とどうつながるのか。現代の殺人事件の様子などからすると、種類の違うアナーキーを感じる。
 トロツキーの「永続革命論」には、プロレタリアート独裁でも、政策実行者を毎年選挙で選ばないといけないようなことが書いてある。今でいえは、議会民主主義でも官僚を選挙で選ばないとまずいことになるという意味に取れる。
「文学と革命」では、「労働者の間では親と子の違いは年齢的なものであるが、インテリでは社会的な違いが加わる」というようなものが書いてある。自分は子ども時代は、小学校を卒業しないで働いていた父を手伝って働いたが、その後、大学を出て、父との会話の多くを失ったーー。(紹介者「詩人回廊」伊藤昭一)
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