著者メッセージ: 五十嵐貴久さん『誰でもよかった』
人はなぜ人を殺すのでしょうか。正直なところ、わたしにはわかりません。ましてや無差別殺人に至っては、その理由を(あるいは動機を)想像することは至難の業です。
そのわからないことを考えるために、原稿用紙約五百枚を費やして、この「誰でもよかった」という小説を書きました。枚数が多いのか少ないのか、それもわかりません。
この小説の中で、わたしは交渉という形式で警察と犯人のやり取りを描きました。書きたかったのは「リアル」な交渉についてです。警察と犯人のやり取りというのは、刑事ドラマとは違います。交渉にならない状況というものもあるでしょう。何度も同じことを繰り返す場合もあるでしょう。それが「リアル」というものだと思っています。そろそろこの稿も終えなくてはなりません。あとは読んでいただくだけです。感想などいただければ幸いだと思っております。(五十嵐貴久)
(講談社『BOOK倶楽部メール』 2011年3月15日号)
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