本の渡り鳥システムと同人誌の持つ夢
浅場ケイ子さんは、平成16年に「疎開児童が調べた『東南海地震被災の記録』-昭和19年12月7日―」を自費出版するまでをこう記している。
「本の渡り鳥」(新風書房の福山社長の企画事業。福山氏は自費出版の指導を行いながら、そのなかの良書を選んで、会員に順繰りに本を回覧し感想文をそこにつけていくシステム)の集まりで、自分史を出す心得や皆さんの意欲を聞いて、これからの布石にしたいと心に誓いました。
「東南海地震被災の記録」も、私にはとても自費出版の出費は不可能だとあきらめておりましたが、福山先生からコピーを製本する方法を教えて頂きました。
しかし、地元の印刷所で製本をしましたが、大きな記入ミスを発見、このときすでに40冊ばかり発送しまっていて、真っ青になりました。
福山先生に相談したところ、補遺も悪くはないが、内容が良いので、今度は新風書房で面倒をみましょうと言って下さいました。原稿を作り直し、大幅に手直しをして送りました。
しかし、先方は編集のプロですから、それからが大変で、フロッピーを送り、ファックスと電話で先生が付きっ切りで2日かけて効果的な表現になるよう指導して下さいました。
会社の内ばかりでなく社会人としての顔の広さもおありですから頭が下がりました。(以下略)
その後、地元新聞社や地震研究新聞などから取材があり、貴重な資料であると認められたとある。
☆
自分の書いたものを誰かに読んで欲しいというだけであるなら、この「本の渡り鳥」システムで良いのである。読者の人数でいえば同人誌の方が読者は少ないであろう。ましてや感想が付くなどということは少ない。しかし、同人誌に書く人は、何故か読者の実数がどうあろうとも夢をもっていられる。それが同人誌の夢の受け皿の大きさの魅力なのだ。
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