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2011年2月 6日 (日)

ツールとしての情報利用について

西村賢太氏が2003年、同人誌「煉瓦」28号に「墓前生活」を発表。<暮らしのノートPJ・ITO「2003年文学界12月号同人誌評」リスト
金原ひとみ氏が2004年同人誌」「ゆず」(岡山市)に「ヴァンパイア・ラブ」を発表の記録。<暮らしのノートPJ・ITO「2004年文学界3月号同人誌評」リスト
  情報を蓄積すると、どのようなことがわかるかを、「復刻文芸研究月報」サイトからとってみますと、芥川賞作家となった西村賢太氏や金原ひとみ氏が同人誌で鍛えていた事例がわかります。

 この欄は、文芸情報から社会を観察するひとつのツールですので、その情報をどう活用するかは、自由でいいのではないでしょうか。たまたま、石塚さんのコメントがあり「単に内容紹介、どこそこに取り上げられた、などの現象面のみ羅列する行為に終始」という指摘がありますが、まさにそれです。こういう社会だと、自分はどうするかの判断の材料、ツールで、ほかに何の考えも示せません。同人誌は一部の現象であり、それを主体にしてはいません。もともと「文芸研究月報」を発行していた時代からそうでした。たまたま、同人誌に参加されている方が興味を示されているだけのことだと思います。それでも日に約300PVのうち、同人誌欄は10PV程度で、ほかの興味での閲覧がほとんどです。同人誌情報はいちばんメディアから欠落しているので、それを補完するつもりで扱っています。振興には協力しますが、たまに同人誌情報があればいいのでは。同人誌の作品を職業作家の作品と同列に論じる気はありません。その生産過程を考えれば同人誌作品は、個人的な表現、生活日誌や遺書と同じジャンルです。職業作家には純文学作家なら芸術家精神があり、娯楽作品作家には エンタティナーライターの姿勢があります。その姿勢が基本的にちがいます。それは大江健三郎氏が、大学の新聞に「奇妙な仕事」を発表した同人誌作家状況から、職業作家に転向するまでの経過にあらわれています。継続的にテーマを見つけて芸術家になるにはある飛躍が必要なのでしょう。その仕事をぶりを石川淳がみていたらしく、「万延元年の~」のあたりで、彼は道を見つけたという意味の評論をしていた記憶があります。同人誌作品紹介はよく贈呈されるので、読んで意味がありそうな(いいかげんな価値基準です)でやっています。最近は、「文芸同人誌案内」の活躍で、当方の役割は終っていると思います。まもなくやめるつもりでいますが、会員のなかには「(頼んでもいないのに)本が送られてくるのは、何か役に立っていいことをしているのだから、やった方がいいですよ」とか、コメントなども否定的でないので、どうするか考えています。
 

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コメント

そうですね。色々あって良いと思います。情報の紹介も必要ですし、作品感想も読みたいですし、評文も目にしたい。そういうものです。伊藤さんご苦労さまです。まゆみさんのような方も大事にしないと。

投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2011年2月 7日 (月) 10時44分

同人誌に売れる作品を発表する、これが多くの人に読んでもらえる方法ですね。同人誌を趣味の場ではなく、商業ではないのに商業並、あるいはそれ以上の作品が読める冊子にする。全部がそうといかなくても、少なくとも一冊に2〜3作品は話題性のある面白い作品を載せる。それで巷で話題になれば、このサイトでも紹介していただけるのですね。

投稿: まゆみ | 2011年2月 6日 (日) 19時44分

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