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2011年2月17日 (木)

第39回「詩と眞實」賞は、木下恵美子氏「死の島」に決まる

  文芸月刊誌「詩と眞實」2月号(熊本市)に、第39回詩と眞實賞の発表と選考経過がある。散文の部(小説)で木下恵美子氏の「死の島」が選ばれ、韻文の部(詩)は該当作なしであった。(以下、同誌の選評より転記)
『投票総数は52票で、韻文の部では、日岡太郎さんが5票で最も多かったが、10票に達せず今年は該当作なしになった。
  木下恵美子さんの小説「死の島」(新年号)が、15票を獲得し受賞決定。次点は広坂隆治さんであった。
木下さんの「死の島」では、優子が博志と結婚、性生活の破綻か不妊ゆえか、夫が外に女を作り子供を生ませた。このため、優子は離婚し故郷の死んだような島へ逃げ帰る。そこには、骨董中野・桜饅頭・だるま食堂といった古いカビの生えたような商店街があり、傷つき戻ってきた優子に安らぎを与える。坂の上の刑務所側の二見荘、昼なお暗い糸杉に覆われた2階建の古いアパート1階で失意の日々を過ごしていると、真上の2階で20歳くらいの男が女を呼び込み夜々エロスの饗宴、優子は博志との結婚生活を思い出し、女としての性に目覚めてゆく。女性の性の深淵を情感豊かにリアルに描いている。
  骨董中野の底知れない暗さの中に、自分より暗いものを感じて慰められ、暗い海に灯台の明かりを見出した思いになる。不動産屋の青木は男の嫌らしい一面を見せつける。明治時代の五大刑務所の一つとされる刑務所の内部描写には迫力がある。死の島(死んだように澱んだ島)に再開発の波が押し寄せて来た時、優子は自分本来の明るく有能な自分を取り戻し、都会に出て再出発する。離婚による失意から立ち直るまでの心理小説として読み応えがある。』
発行所=〒862-0963熊本市出仲間4-14-1、詩と眞實社。編集発行人=今村有成。
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