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2011年1月16日 (日)

著者メッセージ: 『「ワタクシハ」』 羽田圭介さん 

 かつて、一発逆転を経験した。2003年当時、初めて投稿した小説で新人文学賞を受賞。単なる一高校生だった僕は、「一発逆転」で小説家へとポ ジションチェンジした。(講談社『BOOK倶楽部メール』2011年1月15日号)
 しかし出版業界は冷え込むばかり。大学生になっていた僕は、専業作家として稼いでゆくことは難しいのではないかと思い始めていた。そんな折、周囲の友人たちが「シューカツ」なるものを始めた。
  シューカツ――就職活動。なんでも、どんなに堕落した学生生活を送っていた者であっても、それさえうまくやりきれば、一発逆転で「何者か」に変われるという。
  一発逆転。新人賞受賞当時の興奮を忘れられないでいた僕は、その大きなイベントを小説のテーマにしようと決めた。そして取材のため…否、それは建前であり、また別の何者かに変わるため、僕は本気で就職活動を始めた。
  しかしそこで遭遇したのは、それまでの学校教育で叩き込まれた「平等」「努力」といった観念の通用しない、過酷な現実であった。「ワタクシハ」という言い慣れぬ単語から始まる自己紹介。どう攻め方を変えても、身内空間の外側では冷淡に自己を否定され続ける。やがて陥る、「自分は一体何者であるのか?」という果て無き問い。
  あれから数年。
  2011年現在、ワタクシは短い会社員生活を経て、専業作家を営んでおります――。初の書き下ろし小説『「ワタクシハ」』を、ぜひご一読ください!(羽田圭介)

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