【文芸月評】2010・12月(読売新聞)文学の毒
広がる死の闇におののく
《対象作品》平野啓一郎氏(35)「フィクションの倫理」(「新潮」)<純文学は確かに、社会に盛られた0・01%の毒である>単行本を1万部出版したとして、日本の人口1億2000万人に対する割合が、数字の根拠という。文芸誌の新年号に並ぶ熟達の短編や、生きのいい中編は、微量であってもそれが、人間の心の奥底にあるものを浮かび上がらせ、根底から生を揺さぶる猛毒であることを示していた。/河野多恵子氏(84)逆事(さかごと)」(文学界)/円城塔氏(38)「これはペンです」(新潮)/磯崎憲一郎氏(45)「赤の他人の瓜(うり)二つ」(群像)/佐川光晴氏(45)「あたしのいい人」(すばる)/宮内勝典(かつすけ)氏(66)の長編『魔王の愛』(新潮社)。(文化部 待田晋哉)(2010年12月28日 読売新聞)
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