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2010年12月23日 (木)

詩の紹介 「ぬぐえぬ思い」 山本祐子

ぬぐえぬ思い     山本祐子

明くる日の朝の眩しい光の中で/わたしは息子の話にしっかり耳を傾けていたが/心が暗くなった

原子力の技術はうちの会社が/世界一のお墨付で/アラブ諸国で落札が間違いないと云われていた/その寸前で隣国の巻きかえしにあい/ビジネスの花を咲かせることができなかった

接待も交際費も削り/家族と憩い時間も捨て/相手を思い丁寧に進めてきた交渉/一瞬 なんかあったのか/異様な空気の淀みを感じさせられた世界の裏

よその国では大統領自ら/営業マンとして受注競争に参加/口と心の距離の長い日本の政治に/未来を思う気持が静まらず/わたしは秋の丘を急いで歩いた
「時間と空間」第64号より2010/12/20東京都小金井市 時間と空間の会

(紹介者・江素瑛)
原始力の技術を売る日本のビジネスは、昔なら歴史ある商社らは誇って勝算率が高い。このごろは力強い競争国が現れる。おいしい条件と政治を絡ませた他国の裏作戦に日本は、時々負けてしまう。が、信頼のある技術も捨てがたい、縁の下で活動しているのだろう。
「口と心の距離の長い日本の政治に」日本の官僚政治は、確かにまどろこしい、「ぬぐえぬ思い」である。しかし、塞翁失馬、焉知非福―人間万事、塞翁が馬、そのとき悪いと思えることが、あとで幸いすることもある。じっくり情勢を観察することは、塞翁の得ということもあるのでは。  

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