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2010年12月14日 (火)

詩の紹介   「土の山」井上和子

      土の山   井上和子

山の風影/見上げれば/樹木が茂っている/緑の中で/山肌が目立つ/
空間は/赤茶けた土の山

風の流れが変わっていく

雨 風にさらされる/もろくなっていく/土の山
伐採されていく/森の樹木が多い

植林しても/育つのは/次の世代

宅地になると/生息している/野生の植物が消えて/昆虫 動物たちの/棲み処が消えていく

森の生命は自然の営み/壊すのも人間/守るのも人間

森が泣いている/森が消えていく/叫び声が聴こえてくる
詩誌・田園(岩礁改題)145より 2010年冬 岩礁の会三島市

(紹介者「詩人回廊」江素瑛)
人間はよくばりだ。一番住み良い平野だけは満足することができない。海にも山にも、宇宙さえ手を出してしまう。
鬱蒼とした森の痛々しい山肌、樹木や生物が邪険にされて傷だらけ。繰り返されてきた破壊は、回復しようがない。
「森が消えていく」、機械で壊すのは簡単、愛の心で守ることは難しい。人間の心に警鐘を鳴らす、警世の詩である。

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