文学フリマと文化的活動の経済学
文学フリマ事務局によると、文芸同人誌の「第11回文学フリマ」の参加者が550件を超えたという。前回は約420件くらいであったろうか。100件以上の増加である。文学フリマは、年1回開催であった。それを年2回にした。参加するのには、年2回新刊を出すので、参加者が減るという感じを受ける。ところが、かえって増えてしまった。
ひとつには広い会場を設定できたので、参加者申込したものすべてが参加できるようになったことがあるようだ。
申し込むと確実に参加できるなら、事前に発行計画が立てやすい。抽選があると、抽選で決まってから発行の準備をしなければならず、制約があった。当会も「詩人回廊2011春」を制作し、準備ができた。
すでに会員の仕事場が人の出入りがあるというので、販売をしてもらっている。無料頒布はしないので、いつも50冊程度だが、それでもかまわない。これまで観察してきた結果をふまえて、独自のシステム開発の過程である。そのなかでの、情勢判断は下記のようなもので、この流れと異なる道を考えないといけない。
同人雑誌については雑誌「文学界」が同人雑誌評を廃止したのに結びつけて、衰退したのだという意識があるようだ。
しかし、その一方で同人雑誌は隆盛しており、専門印刷会社が安く制作するシステムを開発している。かなり印刷業界に貢献しているのである。運送業者も仕事が増える。
もともと同人雑誌の発行と、商業的な文芸雑誌の編集・販売方針とは乖離がある。そのもととなっているのが、本の流通システムである。本を流通させるのには経費がかかるので、ある程度販売量のあるものでないと、流通コスト負担に耐えられない現状がある。
国内の年間における商業的な出版点数は7万点に及ぶという。これを販売する書店は、2000社あるらしい。これはチェーン店を形成するから店の数は何倍かになるであろう。出版社は2600社ある以上という。
これらの本を書店に流通させるのが、日販、トーハン、大阪屋などの専門業者である。手数料をとって、委託販売流通ルートに情報を流し、売れ筋を把握し、売れた本のお金を回収し出版社に渡す。それで出版社は経営を維持している。
ところが近年は、本を書店に置いても売れずにそのまま返品されるものが多くなった。発行部数が多くても売れないのである。
返本が増加すると、送品時に手間と送料がかかり、返本にも同様の経費がかっかるので、従来の手数料では商売にならないのである。
そこで、取次ぎの大手では、日販のように書店約2000店に導入している売上げデーター(POS)から、委託送品しても売れない本を把握し、5%程度の仕入れを抑えることで、ムダな経費の削減に乗り出した。
とくに過去2年間で、返本率が40%を超えるようなジャンルを対象にしているという。
しかし、これが出版社側からする発行部数を減らすと広告がとれなくなる、という問題につながる。出版社は、広告をとるのに公称発行部数というのを示したりし、これに影響するらしい。
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