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2010年11月24日 (水)

石原慎太郎「日本堕落論」(雑誌「文芸春秋」)に同感

 12月号の石原慎太郎「日本堕落論」では、日本の国家的な自立性が失われてきたことに対する警告と対応について述べている。
 冒頭に、太平洋戦争の敗戦後に坂口安吾が書いた「堕落論」からはじまるのは、文学者らしいところだが、その後の展開は政治国家論になる。
中見出しだけを記すとつぎのようになる。
 「平和の毒」「日本は自前の戦闘機をもつべき」「『核の傘』のまぼろし」「尖閣を守れるのか」「中国を凌駕する日本の戦力」「核保有による抑止力を」「司馬遼太郎の慨嘆」「教育を再生し国家の誇りの回復を」「人間相互の連帯回復こそ国家再生の鍵」「三島由紀夫氏の予言」
 こうした見出しだけで、どういうことを論じているか推察できるであろう。
 これは、「暮らしのノートPJ・ITO」(ITOのポストモダン的情報)で述べたことと重なりあう。全共闘安保闘争の学生時代に、ソ連のスターリン主義、米帝主義のなかで独立国たるには、日本の核武装が必要で安保条約は害になるという理論をITOはもっていた。そのため経済流通業界での活動に専念することになった。当時では、生産力を上げればよい社会になるというマルクス主義経済思想と自己矛盾していなかった。
 いま世界経済をみると、アメリカはモノづくりの力を失い、経済の20%を占める程度である。そのため日本のモノづくり企業を奴隷のようにして使いこなさないと基本的な国家力にならない。アメリカは金融トリック的虚業で世界から金を巻き上げている。しかし、札束をやりとりしても何も産まない。その富のもとはモノをつくり、それを売る実業のものである。日本の財政赤字が巨額でも、だから円高になる。
 日米同盟を強調するメディアのコメンテイターにはアメリカの意向があると考えられる。自民党が小沢つぶしに力をいれるのも米国の意向と何らかの理由があるであろう。そのうち「武器輸出三原則」をいじくる話が出てきたら要注意だ。
 いすれ米国資本は、日本の重工業企業を買収しにかかるであろう。なにしろその産業力がないと飛行機が満足につくれなくなるからだ。買収にきたら、日本は持っているアメリカの国債を全部売却し、ドルを大幅安にする。円高になったところで、逆に米国の軍需産業を買収する法でも考えるしかない。
 日本の生命保険業界をみよ。大蔵官僚の国民への裏切りで、完全にアメリカ企業に侵略され、本来は若者が入るべき生命保険を老人に勧めている。べつにアメリカがきらいではなくても、経済理論からして、この商法はおかしい。
「石原都知事が事業仕分け批判」

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コメント

 石原慎太郎さんは同じ文学の道を歩むものとして尊敬できる人物ですが、ハードな政治的発言は、三島由紀夫的で少々辟易しますが、それでもアメリカの横暴についての発言は納得できるものもあります。原爆を投下したアメリカの政治判断は許せないものです。追い詰めた日本に駄目押しの原爆とはこれに勝る残酷はありません。
 それをやった当時のトルーマン政権は糾弾されるべきと思います。こういうことを戦後六十五年経っても言わなければならないなんて、悲しいものですね。広島、長崎の悲惨をおもえば、今更のように憤りを感じます。アメリカにはアメリカの良心があることを疑いませんが、原爆投下の決断は大きなアメリカの錯誤であったでしょう。 
 
 

投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2010年11月27日 (土) 21時51分

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