詩の紹介「十六歳の少女―ランダ・ハムウィの遺書」
作者 マハムード・ダルウイッシュ 東庄平・訳
「十六歳の少女―ランダ・ハムウィの遺書」 マハムード・ダルウイッシュ
パレスチナよ/あなたの身の上を/あれこれ心配して涙ぐんでいた私/でも私に何が出きて/悲しみで胸は潰れそう/まだ 子供だから/銃を取ることは許さないと言われて// パレスチナよ/あなたの勇ましい兵士が野の露を染めて/一人、一人倒れて行くのに・・・・// でも敵に殺されたあなたの兵士の屍が私に/何をしたら良いか 教えてくれました// 私は今、あなたに命を捧げ 死の床に横たわっています/私は戦ったのです// パレスチナよ あなたに命を捧げるのに/若過ぎると言うことがあるでしょうか//
(紹介者・「詩人回廊」江素瑛)
「パレスチナよ あなたに命を捧げるのに 若過ぎると言うことがあるでしょうか」
国のために一度だけの命を捧げることを、十六歳のパレスチナ少女は、どこから発想するのか、平和の国とされる十六歳の日本少女とくらべてどうでしょう。夜の新宿か原宿か渋谷、たむろする少女達に、およそ国というものは存在しない。戦争にならないと愛国心も薄れでいく。だけれども、愛国心を失ってもいい、平和は失いたくない。これから命が輝いていくはずだった十六歳のパレスチナ少女のためにも。
「遊撃」390 号より 2010年 10月 新・原詩人 No.32 転載
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