同人誌「風の森」第13号(東京)
【「夢遊の時代(青いトランク)」遠矢徹彦】
この作者の作品を3作ほど読んでいるが、どれも文章力が強く、腕力で惹きつけて読ませる作風である。どこがどうといっていると、きりがないが、今回の作品は全共闘時代の革命騒動の精神が、青いトランクのなかからぞろぞろと出てきて、手品を見るように主人公の放浪の精神が遊びまわり、またトランクに収まるという仕掛けに読めた。エネルギーは前作ほどの勢いがないが、その分、形式的にいちばん纏まっているので、諧謔いうか肩の力を抜いてイロニーが利いて完成度が高いように思えた。
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