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2010年9月 8日 (水)

福永武彦氏の日記発見!長男の池澤夏樹さんが公表

 「忘却の河」などの小説で知られる作家、福永武彦(1918~1979年)が終戦後の昭和20年から28年にかけてつづった日記が、東京・神田神保町の古書店などで大量に見つかった。福永の長男で作家の池澤夏樹さんが6日、都内で公表した。7日発売の文芸誌「新潮」10月号に一部が掲載される。「才能あるや否やを疑ふ」など専業作家を目指す苦悩や生活への不安を書いた貴重な資料だ。
 福永が長編「草の花」で小説家としての地位を確立するのは29年。文学で身を立てるために、疎開先の北海道・帯広に当時の妻と誕生間もない池澤さんを残して上京した後の20年9月19日分では、「失業者千三百万(現在で八百万)とか。その一人になりさうだ。家もなく、職業もなく、金もなく、旅の途上で一体どうすればよいのか」と不安を吐露。22年6月23日分には「小説は徒らに計画のみ。(略)しかも文学以外に何等生活の手段なきに」と絶望感すらにじませている。
 池澤さんは「若き文学者の苦悩の日々に、共感と同情を持って読んだ。当時の社会の雰囲気も写し取られており、日記文学としても価値があるのでは」と話している。(2010.9.6 産経ニュース)

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