道尾秀介さんに聞く『光媒の花』世界広げた連作短編集
「今まで群像劇をやったことがなかった。第1章の脇役が第2章の主人公となって、また次の章では…とつながり、6話全部を書いたときに大きな世界、別の景色が見えてくる」という構成。そんな離れ業を、設計図なし、着地点も作らずに書ききった。
「第3章を書いたとき、世界全体を救ってあげたい、(登場人物を)もっと明るい方へ向かわせてあげたいという気持ちがわいてきた。第4章を書いたら、遠くに光が見えてきて、あとはそっちに向かわせる形で5、6章を」
連作ゆえの構成。「短編集にも長編にもできないことができた」。その成果として本作は山本周五郎賞に輝いた。
小説は一人では書けない、といつも思っている。「実人生、生身の人間が大好き」。一緒に酒を飲み、話に花を咲かせる。「小説が書きたくなるのはそんなとき」だ。「楽しいから書いている」ともいう。
茨城県つくばみらい市在住。パソコンに向かって1日10枚が「限界」だが、「平日の昼間に働いていないことに対する罪悪感」もあり、執筆はいたってコンスタント。終えれば近所をぐるりと8キロ、40分かけて走る。最近はロックならぬ吉田兄弟の津軽三味線をiPodで。「大和魂、バンカラ魂」を感じながら走る毎日だそうだ。(山根聡)(産経ニュース2010.8.31)
道尾秀介さんに聞く 世界広げた連作短編集
| 固定リンク
コメント