著者メッセージ: 恒川光太郎さん 『竜が最後に帰る場所』
みなさんこんにちは、恒川光太郎です。
このたび六冊目の単行本を講談社より、上梓することになりました。デビュー以来ぽつぽつと発表してきたものが、ようやく本になって感激もひとしおです。好きなものを書いてくださいとの依頼でしたので、「自分の作品はこうあるべきだ」という意識をせず、本当にそのときそのとき書きたいように書きました。結果として、もっとも自分らしい物語の揃った特別な自信作になったように思います。
「竜が最後に帰る場所」は幻想的な短編集ですが、たいへん毒々しいものから、爽快で希望に満ちたものまで、多様な作品が収められています。闇のなかを幽霊が通り抜け、へんてこな人が暴れ、時に不思議な生物が大海で生を謳歌します。地表を這う風が、空へと吹きあがっていくような、そんな一冊です。手にとっていただければ幸甚です。(恒川光太郎)(講談社『BOOK倶楽部メール』 2010年9月15日号より)
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