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2010年9月30日 (木)

綿矢りさ「勝手にふるえてろ」のジャーナル

綿矢りさ3年ぶり新刊「勝手にふるえてろ」 一人称で描くOLの“恋愛”産経ニュース

『勝手にふるえてろ』 綿矢りささん 揺れる女心 軽やかに読売新聞ー著者来店

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2010年9月29日 (水)

文芸月評9月(読売新聞9月28日)文化部 待田晋哉記者

《対象作品》新直木賞作家・中島京子(46)監修の特集「来るべき世界の作家たち」(文学界)、ラシュディ「プチ・マリク」/村田沙耶香(さやか)氏(31)「ハコブネ」(すばる)/木村紅美(くみ)(34)「野いちごを煮る」(群像)/佐藤洋二郎(61)短編集『腹の蟲(むし)』(講談社)/長嶋有(37)「十時間」(すばる)/高樹のぶ子(64)が「アジアに浸る」(Soaked in Asia)「新潮」。(文化部 待田晋哉)(2010年9月28日 読売新聞)

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多様化する文芸活動、細分化する表出の手段

 活動や運動には、そのものを行なうことと同時にジャーナリズムを創らないと広まらない。その原理ににしたがって活発な活動をしているのが、文芸同人誌「サロン・ド・マロリーナ」のひろばである。
 ジャーナルを創るには、そのアピールする対象を広くわかりやすく公開しておくと効果的である。こうしたセオリーを文芸同人誌「サロン・ド・マロリーナ」は実践しており、成り行きが注目される。
 最近のPJオピニオンから
【文芸同人誌】多様化する文芸活動、細分化する表出の手段

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2010年9月28日 (火)

季刊言論誌「kotoba(コトバ)」を創刊(集英社)

 集英社は今月、年4回発行の季刊言論誌「kotoba(コトバ)」(B5判約260ページ)を創刊。価格は1400円、発行部数は1万2000部。人文・社会科学や自然科学など、細かなジャンルにとらわれない幅広いテーマを追求していくという。

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2010年9月27日 (月)

「第十一回文学フリマ」出店参加550件以上で開催時間延長

12月5日開催の「第十一回文学フリマ」について、事務局は、出店参加550件以上のおし込みがあり、規模の拡大に合わせての開催時間を変更し、当初予定の11:00~16:00を一時間延長し、11:00~17:00とすると、発表した。

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2010年9月26日 (日)

【Q1】経済小説・企業小説は読みますか?

・よく読む…5%  ・少しは読む…20% ・あまり読まない…34%  ・まったく読まない…41%
【Q2】経済小説・企業小説といえば誰を思い浮かべますか?(BEST5・敬称略)
  ・城山三郎 ←ダントツ1位!!  ・高杉良  ・山崎豊子  ・池井戸潤  ・真山仁
【Q3】自分(家族)が勤める会社や業界が舞台の小説があったら読みますか?
  ・必ず読む…12%  ・多分読む…52%  ・多分読まない…22%  ・読まない…12%  ・その他…2%
【Q4】おすすめの経済小説・企業小説は?
★「雷撃・SSガール」(至道流星)おもしろかったです。友達に進められて読んだのですが、ラノベで経済小説は新鮮味があってよかったです。(北海道 O様 10代)★『燃ゆるとき』(高杉良)
 東洋水産をモデルにした話で、就職活動中に読んだが、社長の姿勢に惚れこみ、是非この企業で働きたいと思うようになった。(北海道 T様 20代)★「金融腐蝕列島」(高杉良)大手銀行の破綻、それに至る経緯、人間関係、どれをとっても寒気がするくらいリアルです。古いなんて事はありません。(北海道 K様 20代)★「沈まぬ太陽」(山崎豊子)暑い夏が来ると御巣鷹の事故をどうしても思い出してしまいますし、JALの10年以上先を見通したような作者の筆力には脱帽します。(愛知県 A様 30代)★『空飛ぶタイヤ』(池井戸潤)大企業の、大銀行のいやらしさ、保身に走る小物ぶりの描写が痛快な程で、最後は溜飲を下げました。 (東京都 N様 30代)★『レディ・ジョーカー』(高村薫)誘拐され、脅迫されたトップと、取り巻く人々の丁々発止のやりとり。組織とは、個人とは、私人とは、ひいては人間とは、をこれでもかと抉り、あぶり出す。 (大阪府 N様 30代)★「青年社長」(高杉良)起業する過程が詳しく書かれていて興味深く読めました。(愛知県 U様 30代)★『油断!』(堺屋太一)経済の流れが何によって変わるか、現在と照らし合わせても実感できるはず。(神奈川県 O様 40代)★『大逆転! 小説 三菱・第一銀行合併事件』(高杉良)おもしろかった。当時の合併反対派も結局、他行との合併をしているところが皮肉である。現在の銀行の歴史を見るのには良かった。(埼玉県 M様 40代)★『グーグル秘録 完全なる破壊』(ケン・オーレッタ)グーグル検索というのは一つの思想・哲学だということがわかりました。(石川県 F様 50代)★「金融腐蝕列島」(高杉良)バブル崩壊後の金融業界の破綻を目の当たりにした現実の凄さを、身にしみて感じた「経済小説」のリアルさに、興味津々だった当時を思い出す作品。(神奈川県 S様 50代)★『華麗なる一族』(山崎豊子)当時の社会背景と自分の育った時代が重なり、子どもの頃の社会や企業活動の様子が垣間見えて面白かった作品です。(東京都 T様 50代)★『不毛地帯』(山崎豊子)主人公壹岐が戦後間もなくの商社を舞台に活躍する話。作家の緻密な取材から来るリアリティ、元軍参謀の経済戦略が、世界をまたに駆けて成功するか、スリルが会って面白い。(福井県 I様 60代)(講談社『BOOK倶楽部メール』 2010年9月15日号より) 

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2010年9月24日 (金)

著者メッセージ: 上田秀人さん 『天主信長 我こそ天下なり』

  暑い日が続きます。皆様、おかわりはございませんか。
  おかげさまをもちまして、今年で書き下ろしデビューから丸十年になりました。長いようで短い十年でしたが、いろいろと変化もありました。なにより驚いたのが、子供たちの成長です。いつのまにか長男は成人式を、次男も大学受験を迎えておりました。
  子供たちの成長は、親にとってうれしいものであります。と同時に、己の年齢をあらためて報されることでもありまして……少し愕然としました。
  じゃ、わたしはどうだったのか。子供とともに成長できたのかと自問自答してみました。
  答は出ていません。さぼってはいないと胸は張れますが、大きくなったと言えるほどの、自信はありません。ただ、この十年、無我夢中で書いてきました。その集大成が「天主信長 我こそ天下なり」です。お読みいただければ幸いです。(上田秀人)(講談社『BOOK倶楽部メール』 2010年9月15日号より) 

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2010年9月23日 (木)

文藝誌「なんじゃもんじゃ」秋思号(通巻第10号)

 編集後記によると、編集者の小川和彦氏が、2006年に本誌を創刊し(100%手づくり)、「文藝年鑑」からアト・ランダムに60ほどの文芸同人会を選び出し、送ったという。現在は「カオス同人会」と交流会をもつ。
【「連作・S町コーヒー店9―連れ」坂本順子】
 もう連作の9作になるらしいが、いつもコーヒーショップを舞台に市民の生活ぶりを巧に掌編にしており、作品内容もイラストも上品で渋みがある。今回は配偶者がいない年配男女の交際のひと時を、短く精緻な感情表現で鋭く描く。創作的な腕力が抜群で、感心させられながら読まされる。記念エッセイで次兄と電話で無事を確認しあう話も心温まる。自分にも兄弟姉妹がいるが、なかなか羨ましい。
【ノンフィクション「別荘団地自治会長実記―『あの時』の男」杵淵賢二】
 リゾート団地内に珍品のキノコが生える場所がある。そこに無断でキノコを採取する夫婦がいて、作者はそれを発見し咎める。夫婦は当初は無視していたが、作者が警察沙汰にする姿勢をみせると、妻のほうが土下座して謝る。すでに車に積み込んだものもあったらしいが、それは不問にして解放する。
 のちに町の野菜販売店にいくと、その夫妻が経営していた。それが、店主が「あの男」なのである。お互いにその存在に気づいたが、知らぬふりをして過ごす。
 現代は商売をするにも厳しい状況であることや、土下座して危機を潜り抜けようとするおかみさんの逞しさなど、大変重みのある味わいのものになっている。
【「友への鎮魂曲」小川禾人】
 友人を失うことは、なんともいえぬ喪失感がある。この作品では、大学が四谷よりにある大学で、靖国神社や市ヶ谷の土手の付近がでてくるので懐かしい。自分は反対の飯田橋から市ヶ谷へ向う大学で、当時の品格はそれほどよくない雰囲気であった。母校について語るのに戸惑うのは、現在も存在していて、その在校生の現状と当時の事情がどういう関係になるのか、わからないことである。また、不思議な縁で作者の友人が大森のカトリイク教会であったという。自分は娘が小学生の頃、教会というのを体験させようと見学にいったら、しばらく迷える羊たちの仲間にいれられた経験がある。あそこかな? などと思いながらで興味深く読んだ。
発行所=〒286-0201千葉県富里市日吉台5-34-2、小川方。
(紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)

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第34回すばる文学賞に米田夕歌里(ゆかり)さんの「トロンプルイユの星」

 第34回すばる文学賞(集英社主催)は、千葉県市原市の塾講師、米田夕歌里(ゆかり)さん(30)の「トロンプルイユの星」に決まった。賞金100万円。
 第23回小説すばる新人賞は、東京都世田谷区の出版社勤務、畑野智美さん(31)の「国道沿いのファミレス」と、京都府木津川市の司法書士、鰓(あぎと)ノーチェさん(44)の「百狐狸斉放(たぶらかし)」の2作に決まった。賞金各200万円。受賞作は11月発売の「小説すばる」12月号に抄録される予定。


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2010年9月22日 (水)

(時評-小説)「讀賣新聞」西日本地域版2010年9月14日、夕刊・松本常彦氏

題「苦さと薬効 味わい深く」
垂水薫「十薬美身水」(「照葉樹」9号)
内田征司「天空の船」(「詩と真実」734号)
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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続・穂高健一氏が「文学賞の取り方・狙い方・小説の書き方」講座/10月より

--直木賞作家・伊藤桂一氏の門下生、穂高健一氏が「文学賞の取り方・狙い方・小説の書き方」講座を担当する。
ー穂高氏はとにかく文学賞の狙いにあてて書くコツを知っている。実績は、第42回地上文学賞受賞、第2回浦和スポーツ文学賞、第4回伊豆文学賞、第7回いさり火文学賞、第13回自由都市文学賞佳作、第10回日本海文学大賞奨励賞、第21回北海道文学賞奨励賞、第11回あだち区民文学賞受賞、第8回あだち区民文学賞佳作などである。事前に調査して、その世界で今なにが問題になってるかを織り込んで書く。取材力があるのが強み。

-昼の部で、小説家をめざす主婦層などにお勧めなのが-
①銀座おとな塾(産経学園)
 第4木曜日 10時30分~12時30分
文学賞の取り方・狙い方・小説の書き方
②夜の部で、勤人にお勧めなのがー
②読売・日本テレビ文化センター・金町
  第4木曜日 19:00~21:00
文学賞の取り方・狙い方・小説の書き方
■関連情報
穂高氏は、HPのなかで、師である作家・伊藤桂一氏との交流について記事と写真を掲載している。その末尾に川口健二氏の訃報についても記している。川口氏は文芸同志会の拠点を提供してくれていた穂高氏、伊藤の共通の友人でした。そのいきさつを「文芸同志会のひろば」に掲示しました。

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2010年9月20日 (月)

著者メッセージ: 恒川光太郎さん 『竜が最後に帰る場所』

  みなさんこんにちは、恒川光太郎です。
 このたび六冊目の単行本を講談社より、上梓することになりました。デビュー以来ぽつぽつと発表してきたものが、ようやく本になって感激もひとしおです。好きなものを書いてくださいとの依頼でしたので、「自分の作品はこうあるべきだ」という意識をせず、本当にそのときそのとき書きたいように書きました。結果として、もっとも自分らしい物語の揃った特別な自信作になったように思います。
 「竜が最後に帰る場所」は幻想的な短編集ですが、たいへん毒々しいものから、爽快で希望に満ちたものまで、多様な作品が収められています。闇のなかを幽霊が通り抜け、へんてこな人が暴れ、時に不思議な生物が大海で生を謳歌します。地表を這う風が、空へと吹きあがっていくような、そんな一冊です。手にとっていただければ幸甚です。(恒川光太郎)(講談社『BOOK倶楽部メール』 2010年9月15日号より) 

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2010年9月18日 (土)

詩の紹介 「扉」  弓田弓子

    「扉」  弓田弓子
ドアは、きゅうきゅう、ばだばだばたん、/奥から女のどなり声、うるさい、ドアは、きゅうきゅう、ぱたり、きききき、ばたり、/ドアに挟まる女の声、/ぎゃぁとか、うざいとか、さむいとか、でででけとか、/でていけ、とか、だいきらい、とか、/ででででででけ、とか、ででで、られないわよ、とか、/ドアに、足、はえ、/ドアは、いててて、いたいよ、骨、いたいよ、/片方、ひきずる、ひきずり、/ずるずるずる、ずりりり、ずきずき、だ、/はえた足に古靴ひっかけ、/ドアはおでかけ、あたしの靴、ひかけないでよ、/女がどなる、/かまわず、ドアは、おでかけ、ばだばだ、ぎいぎい、ぱたんぱたん、帳番はずして、/ドアは、たまには、おでかけ、/門口、あんぐり開いて、/おおあくび、/女もおでかけ、/裸足で、ばたばた、おでかけ、/おるすばんは、/風、

(紹介者「詩人回廊」江素瑛)
風と、ドアと、女とで構図された詩である。言葉の韻がおもしろい、句読点がいい、女は酒酔いかしら、夫婦喧嘩なのか、異様な情景、ぼろ古屋敷、不気味さのなかのユーモアと賑やかさ。どこの家にもある扉が、閉じて開いて人間ドラマを見せる、見事に読者のこころをとらえる。
「幻竜」第12号より 2010.9  幻竜社 川口市

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2010年9月17日 (金)

電子雑誌の著作権譲渡期間で指針

 日本文芸家協会と日本雑誌協会は15日、それぞれ理事会を開き、雑誌を電子化してインターネットで販売する際、作家の著作権を一定期間、出版社に譲渡する運用指針を決定した。
 多くの作家がかかわる雑誌の著作権処理がスムーズになり、電子雑誌の普及を後押ししそうだ。指針は日本写真著作権協会を交えた3者で協議してきた。著作権の譲渡期間は週刊誌が1か月、月刊誌が2か月、季刊誌が3か月。この間、電子版の分の原稿料は上乗せされないため、販売が容易になる。(2010年9月16日 読売新聞)

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同人誌「雑木林」第13号(枚方市)

 本誌の目次に、エッセイと小説と雑記というジャンル分けがしてある。ここでは、雑記とされているなかで、純文学的作品をひとつ紹介してみたい。
【「帽子」水野みち】
 冒頭に「昭和の世界恐慌の年の暮、私は次姉とは年子という悪条件で生まれた」とあるから、作者はかなりの年配者である。同時に、合理性をもった滑り出しで、その文章力の確かさを教えてくれる。人生が戦争の世紀であった20世紀の民衆の体験と目撃の記憶を、エピソードを選んで淡々と語る。
 その記憶の扇の要のようになるのが帽子である。話がどのように広がっても、その民衆の記録の方向は帽子によって、エピソードが散逸することがない。2・26事件、日中戦争、太平洋戦争、敗戦後と歴史の記録の背後に、人間はどのようであったかを具体的に肉付けしてみせる。巧みな構成になっている。
 エピソードを順繰りに並べたと読むとたしかに雑記的だが、それらを帽子という鎖で有機的に関連させると、文学的な感銘に誘われる。
 ふつうの物語は起承転結があって、感情的なうねりがあるので、途中から盛り上がり面白く読める。
 これが「物語の構造」であり、世界共通のものといえる。ミステリー小説などはその最たるもの。大衆小説と純文学にもその構造がある。村上春樹の小説が国際的に理解されるのも、この構造があってのことであろう。同時に、その手法は大衆小説にもあるために、村上作品に疑義を感じる読者もいるかもしれない。常に読み流しが可能なため、読解が不充分であるまま読了してしまう危険性をもつ。
 ところがこの「帽子」という作品には、エピソードを読み進んでいってどんどん面白くなって読み流すということは出来ない。そういう構造がないから、読み飛ばすことできない。ひとつひとつをよく読めと、読者に迫ってくる。ひたすら、その時代に体験した「私」の出来事の恐ろしさ、楽しさを味わうことを要求する。エピソードの選択が、作者の精神そのものの表現になっている。ちょっと志賀直哉に通じる文章技巧を感じて、懐かしいものがあった。
発行連絡先=〒573-0013枚方市星丘3-10-8、安芸方、「雑木林文学の会」。
紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一

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2010年9月16日 (木)

文芸同人誌評「週刊読書人」(2010年9月3日)「文芸同人誌評」白川正芳氏

「宮古島文学」5号より市原千佳子の連載「日記エッセイ『千庵』通信」
結城しづ著『ずいひつ山桜』(アイビー・ジェイ制作)
「群系」23号は夏目漱石、村上春樹特集、同誌より高比直美「野上彰」
高畠寛「ポール・オースター『ニューヨーク三部作』とポスト・モダニズム」(「樹林」547号)
須貝光夫「インド逍遥」(「コブタン」33号)、水田洋「パラレルに生きてきて」(「象」67号)、木下径子「砂漠」(「木木」23号)、笹原実穂子「夢」(「山音文学」117号)
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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第10回「女による女のためのR-18文学賞」

第10回「女による女のためのR-18文学賞」

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2010年9月15日 (水)

第42回新潮新人賞に小山田浩子さん「工場」と太田靖久さん「ののの」

 「第42回新潮新人賞」は、広島市の主婦、小山田浩子さん(26)の「工場」と、神奈川県厚木市の派遣社員、太田靖久さん(34)の「ののの」の2作に決まった。賞金各50万円。受賞作は10月7日発売の『新潮』11月号に掲載される。

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2010年9月14日 (火)

同人誌時評(8月)「図書新聞」2010年9月11日)志村有弘氏

題「奇怪小説と漂流譚」<小説のみ抜粋>
「胡壷・KOKO」第9号より井本元義「顔」、鰺沢圭「壮吉の舞い」
佐藤駿司「骸御前」(半獣神第89号)、黒木一於「雪の朝」(コスモス文学第374号)、笹沢信「ヲロシャ国漂流譚」(山形文学第99集)
「九州文學」第530号から連載のおおくぼ系「海紅豆の秋」が532号にて完結
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2010年9月13日 (月)

【Q3】もっとも印象に残っている戦争に関する映画やドラマは? 【BEST5】

(講談社『BOOK倶楽部メール』 2010年9月1日号)
  「火垂るの墓」  「はだしのゲン」  「硫黄島からの手紙」  「さとうきび畑の唄」 「ビルマの竪琴」
【Q4】もっとも印象に残っている戦争に関する本【ノンフィクション】は?
  『アンネの日記』  (アンネ・フランク)  『ガラスのうさぎ』 (高木敏子)  『はだしのゲン』  (中沢啓治)  『かわいそうなぞう』(土家由岐雄)  『夜と霧』(ヴィクトル・エミール・フランクル)

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2010年9月12日 (日)

詩の紹介     「雨音」    大塚欽一

     「雨音」      大塚欽一
書斎の肘掛け椅子に腰掛け 半ば微睡みながら 先ほどから降り始めた雨音を聞いている ぽつりぽつり 屋根を打つ軽妙な音 車庫の屋根を打つ甲高い音 庇を打つ重たそうな音 代わる代わる リズムを取って繰り返される小さな雨の音楽 本降りになってきたのだろうか やがて地面を打つ低く湿った鈍い音が加わる 庇から落ちる雫がキーボードのように規則正しい音を立てる 窓硝子を打つ甲高い音がそれに呼応し 折からの風までが参加して もう忙しい打楽器と弦楽器の小さな協奏曲だ ふと来客でもいるように思って 外を見るか
誰もいない 無人のなか雨だけが降り続けている 庭には小さな水溜まりができて ぴちゃぴちゃぴちゃ ぴちぴちぴちぴち 盛んに雨粒が跳ねている
     <後略>
(紹介者「詩人回廊」江素瑛)
忙しい仕事の合間、雨の音を聞く時間を持って、豊かな一刻を手に入れている。雲から地上に落ちてきて、屋根、庇、窓硝子、地上、雨滴の足跡の音を一音符でも逃がさず、耳を傾いて聞き、「ふと来客でもいるように思って 外を見るか 誰もいない」誰かが来ているのではないかという気がするのは、なにかを期待する心の動きなのであろうか。しかし、人は「誰もいない」無人のコンサートホールを一人占めしたい心をもつ。この詩を読んだときには、ショパンの「雨だれ」を聴くのがよいかも知れない。

詩集「湖底の風景」より 大塚欽一  2009年 9月 10日 水戸市 泊船堂 

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同人誌時評(7月)「図書新聞」(2010年9月4日)福田信夫氏

『駱駝』56号終刊号は「追悼 宇治土公三津子」。同氏は47号から「走馬燈、廻れ廻れ-友谷静栄と林芙美子」を連載。同誌より立岡和子「宇治土公さんの『愛』と『死』を想う」、林順および木村幸雄らの追悼文、石井雄二「中野重治の戦後-共産党再入党問題の周辺」、木村幸雄「松川事件六十周年に-『自白調書を取られるまで』と『赤間自白の問題』」
『黄色い潜水艦』52号は川崎彰彦追悼号。座談会「川崎彰彦 人と作品」「年譜」「著作年譜」
季刊『舟』139号より大坪れみ子「後記 西一知が亡くなって」、西の詩「ある日 丘の上で」
『東京四季』98号より「水谷清同人追悼」として谷田俊一「水谷清さんを偲んで」、山田雅彦「こんな純粋な詩人があった」
『視点』73号より「追悼・柿崎五助」として東海林二一「柿崎五助を偲ぶ」、大類秀志「自然に託した自伝小説」、同誌より白井明子「老いのできごと」と「編集後記」
『原点』100号より泉原猛「私的総括-16年間を振り返って」、図子英男「あとがき」
『文藝』113号より橋爪博「生方たつゑ氏に宛てた伊良子清白の未発表書簡」、中田重顕「去年今年」、「編集後記」
『タクラマカン』45号より『島尾紀補』資料集として寺内邦夫「奄美・瀬留の聖堂について」、マルコ・ルカ島尾伸三「ビクトール神父様のこと」、坂本幸雄「高津満也」
『コブタン』33号より石塚邦夫「大老の陰謀・天誅前夜」、須貝光夫「インド逍遥-精神文化揺籃の大地を歩く」、須田茂「武隈徳三郎とその周辺(一)」
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2010年9月11日 (土)

赤井都さんの『そのまま豆本』の周辺

「そのまま豆本」(河出書房新社)
(文学フリマ初期参加グループ「言壷便り」から)ーーたくさんの通販御予約、ありがとうございました。予約特典の「おまけ」のために、印刷機を動かして、ガチャンコガチャンコとテキンで栞や間紙を刷りました。栞を刷った紙は、『豆本づくりのいろは』の撮影で、豆本材料の撮影台紙として使った紙です。本になったら、台紙の紙は色ぐらいしかわかりませんでしたが、実はそんな紙でした。畳の上で、全紙をカッターで細切れにして活字を印刷して、栞にしました。サインページに挟む紙は、紙工房たかのの、楮入り和紙です。パルプも混じって、はりっとした薄紙です。
ーーそんなふうに準備している真っ最中、編集さんから電話で「本の発売が遅れますぅぅ」と。私は印刷をしていたので、むしろ印刷やさんの気持ちになってしまって「ううん、大変だ」。
ーー発送のためにスケジュールをあけてあったのが、一週間ずれることになり、そのぶん、一週間先にやるはずだったことを今やっていますが、なんだか「待っている」かんじで落ち着かないなあ。
ーー御予約分は出版社からすぐ配本されてきますが、その先は、言壺通販だと入荷が10月になるかもしれないので、予約で買い逃した方は、本屋さんで見つけたらその場でお求めいただくのが早いと思います。
関連情報=《暮らしのノート復刻「文芸研究月報」》
★『そのまま豆本』2冊セット
(一冊はサイン入り、一冊は切り取って作る用でサインなし)
サイン本には奥付に製本道具の印1種入り
(山猫や制作、消しゴムはんこ)&著者手刷りの間紙入り
(本体価格1400円+税)×2+送料→3280円
★『そのまま豆本』1冊
サイン入りかなしかを選べます。(本体価格1400円+税)+送料→1760円予約ご注文はこちらから(送料「冊子小包」を選んで下さい)
http://miyako.cool.ne.jp/cgi-bin/order/tuhan.cgi
「日本の古本屋」メールマガジン9月号で、『そのまま豆本』のことを語りますのでよろしく。本好きに説明しようとするとこうなるみたいな一例。配信は9月下旬予定なので今から会員登録すれば読めます。
http://www.kosho.ne.jp/

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2010年9月10日 (金)

詩の紹介 「無意味をかじる」山崎夏代

<無意味をかじる   山崎夏代>
 生きる意味が少しわかった気がします/詩集の後書きにあった言葉だ/それを 書評に引用したのは わたしの軽はずみ/友人は早速 食いついて はがきをくれた/ 生きる意味がわかるなんて しあわせだね//
わたしにだって 思ってはいる/ひとは 意味によって生まれたのではなく/意味を求めて 生きているわけではなく/意味を知って 今日をやすらぐわけではない/ましてや 意味につつまれて死ぬのでもない//
けれど 生きる意味を問う/その問いの 愚かしさ 無意味さ/にもかかわらず なおも問い/得られるわけのない解を求めて煩悶する生き物は/おそらく 人間だけだろう//
≪ 省略≫
タンポポは 春を笑い/蝉は 夏に歌い/木の実は 秋を華やぎ/雪虫は 冬の到来を躍る/意味とともには かれらはいない//
無意味を/わたしは かりかりと かじって生きる/ひたすら かじる/フランシス・ジャム先生のロバがかじった綱のように//
明日も あさっても/心臓が鼓動し 空気が鼻から出入りすることをたよりに/無意味をかじり続けるだろう//

肩を竦めてわっているのは だれ?

(紹介者「詩人回廊」江素瑛
人間は生きる意味考える。作者は「無意味」をかりかりとかじって生きる。それは自然の法則に順従する姿勢でもある。生きる意味の有無を悩む時、悩まないとき、その時に生きる意味があるのかもしれない。恆久の宇宙の僅かな時間を占めるわれわれ、広大な宇宙空間の微粒子であるわれわれ、あらゆる生き物と同様にこうして死ぬまで生き続けるのではないか。
どこかで、万物を作られた神が頷いているのか 笑っているのか気になるところである。

「流」33号より  2010年 9月  川崎市宮前区 宮前詩の会

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2010年9月 9日 (木)

文芸同人誌評「週刊読書人」(2010年8月6日)白川正芳氏

「文藝10」創刊号(大阪芸術大学文芸学科発行)より市耒史典「なまずについての手記」
斉藤せち「みちるとコロ助」(「樹林」539号、大阪文学学校在校生作品特集号)
「弦」(弦短歌会発行)より俵万智「一年半」、畠山拓郎「俵万智 時代の光を求めて」
「現代文学史研究」14集より大久保典夫「私の敗戦後文壇史六 日沼倫太郎の死、前後」
「全作家」78号より第5回全作家文学賞は米沢朝子「水際まで」が受賞
中山みどり「遠い夏」(「連用形」29)、松原慶子「『みじんこ』雑記」(「かわばた文芸」14号)、秋原勝二「満鉄時代の『作文』終章」(「作文」200集)、西村啓「シングル・シルバー、セイバーズ」(「作家」71)
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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2010年9月 8日 (水)

福永武彦氏の日記発見!長男の池澤夏樹さんが公表

 「忘却の河」などの小説で知られる作家、福永武彦(1918~1979年)が終戦後の昭和20年から28年にかけてつづった日記が、東京・神田神保町の古書店などで大量に見つかった。福永の長男で作家の池澤夏樹さんが6日、都内で公表した。7日発売の文芸誌「新潮」10月号に一部が掲載される。「才能あるや否やを疑ふ」など専業作家を目指す苦悩や生活への不安を書いた貴重な資料だ。
 福永が長編「草の花」で小説家としての地位を確立するのは29年。文学で身を立てるために、疎開先の北海道・帯広に当時の妻と誕生間もない池澤さんを残して上京した後の20年9月19日分では、「失業者千三百万(現在で八百万)とか。その一人になりさうだ。家もなく、職業もなく、金もなく、旅の途上で一体どうすればよいのか」と不安を吐露。22年6月23日分には「小説は徒らに計画のみ。(略)しかも文学以外に何等生活の手段なきに」と絶望感すらにじませている。
 池澤さんは「若き文学者の苦悩の日々に、共感と同情を持って読んだ。当時の社会の雰囲気も写し取られており、日記文学としても価値があるのでは」と話している。(2010.9.6 産経ニュース)

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2010年9月 7日 (火)

詩の紹介 「電話の向こう」 戸台耕二

「電話の向こう」 戸台耕二
昼間/家にいると/煩わしくらい/日に何度となく電話がかかってくる/その多くがセールスである

資産を殖やさないか/という証券会社には/これ以上お金があっても使い道に困る/と答える/もちろん嘘だけど/万一のときのために加入しないか/という保険会社には/受取人がいないから/と事情を説明する/これは本当だ/アンソロジーに詩を載せないか/という出版社には/原稿料はいくらか/と反問する/相手は言葉に詰まった揚げ句/掲載料を頂きたい/と話しはまるで噛み合わない/そのほか/墓地を買わないか/当分は死なないつもりだから必要ない/畳替えをしないか/そもそも畳の部屋がない/などなど/電話のむこうからの問いかけに次々と答え/日は過ぎていく

あるときは/まだ届いてないのだが/と厳しい口調でなじられ/振り込め詐欺がと身構えたが/よくよく聞いてみると/新聞販売店への間違い電話だった

(紹介者・「詩人回廊」江素瑛

電話セールスに対していちいち丁寧に対応するのが面白い趣向になっている。うるさく鳴っているセールス電話は、景気の良し悪し関係ない。一生懸命に生きようとして、うごめく人間の闇のような存在感を意識させる。
潮流詩波の会「潮流詩波223号」により 2010年10月東京都中野区潮流出版

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文芸時評8月(東京新聞8月31日)沼野充義氏

小谷野敦「母子寮前」過去を探って見える現在/多和田葉子「尼僧とキューピッドの弓」文化、言語、視点を行き来。
《対象作品》牧田真有子「今どこ?」(「早稲田文学フリーペーパー」2010年夏号)/松田青子「ノースリーブ」(すばる)/舞城王太郎「Shit, My Brainls Dead」(新潮)/同「ほにゃららサラダ」(群像)/小谷野敦「母子寮前」(文学界)/朝吹真理子「きことわ」(新潮)/多和田葉子「尼僧とキューピッドの弓」(講談社)。

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2010年9月 6日 (月)

西日本文学展望「西日本新聞」9月1日朝刊・長野秀樹氏

題「夫婦」
河合愀三さん「無窮動」(「竜舌蘭」179号、宮崎市)、木山葉子さん「踏切」(「木木」23号、佐賀県唐津市)
「海峡派」119号(北九州市)は編集同人であった大羽宗之さん追悼特集。中元大介さん「紫陽花の訣れ」、いよやよいさんの詩「悪夢」、加村政子さん「故郷崩壊」
前出「木木」より豊後生芽さん「故郷」、城義紀さん「『昭和』のお花はん」、「家系の記」連載の河村剛さん追悼文と2作品
「河床」31号(福岡県広川町)より山本友美さん「私のクレオ」
上記、山本さん「父のなまえ」第36回部落解放文学賞記録文学部門入選
(「文芸同人誌案内」掲示板・ひわきさんまとめ)

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北区内田康夫ミステリー文学賞

「北区内田康夫ミステリー文学賞」

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2010年9月 5日 (日)

詩の紹介 「昼の月」  皆木信昭

    昼の月   皆木信昭
背なかや腰が曲がって/ふり仰ぐのが苦しい/歳をとったら上を見ずに/下を見て暮らせ/明日の天気など気にすな/と言うことか/腰が曲がった女房が畑に行って/採ってくるきゅうりまで曲がっている/久しぶりに旧友に便りを書く/まっすぐに書いたつもりが曲がっていて/折り返して受けとった返事も曲がっている//

足や腰は言わずもがな/小鬢をかついで首が曲がっているのか/顔がゆがんで斜めになって/鼻すじや口元もまともでない年寄りばかりの/介護予防教室
結んで開いて/開いて結んで/伸ばしてちぢめて/ちぢめて伸ばして/いいち 
に いいち に 手足の体操/結んだつもりが結んでなくて/伸ばしたつもり
が伸ばしてなくて/指も腕も曲がったまんま//

空には曲がった昼の月

(紹介者・「詩人回廊」江素瑛
 年をとるほど背筋が曲がる。頭を使って知恵を出す一生で、脳みそが巨大になる。重くなった頭が土に近づき、土に帰ろうとするのか。もともとまっすぐな人生はありえないのかも知れません。曲がったキュウリのように自在で自然の風味があり、曲がりを直視するまっすぐな視線が際立っている。
皆木信昭詩集・「心眼」より 2010年9月 コールサック社 東京都板橋区 

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2010年9月 3日 (金)

第19回山本七平賞に門田隆将氏「この命、義に捧ぐ」(集英社)

 第19回山本七平賞(PHP研究所主催)は、ノンフィクション作家、門(かど)田(た)隆(りゅう)将(しょう)さん(52)の「この命、義に捧ぐ」(集英社)に決まった。同作は、終戦後台湾に密航し、国民党軍に参加して共産党軍と戦った旧日本陸軍の根本博中将の生涯を描いたノンフィクション。賞金300万円。

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2010年9月 2日 (木)

著者メッセージ: 乙武洋匡さん『だいじょうぶ3組』

  公立小学校で、三年間の教員生活を送りました。「車いすに乗った先生」に、子どもたちもはじめは違和感を覚えたことでしょう。でも、その「違和 感」を、何とかプラスの形で子どもたちに還元していけないだろうか――
 そんなことを考えながら、日々、子どもたちと向き合ってきました。
  この物語の主人公・赤尾慎之介にも、手と足がありません。それでも、悩んだり、迷ったりしながら、教師として体当たりでクラスの子どもたちに ぶつかっていきます。赤尾先生は、いわば僕の分身。物語中に出てくるエピ ソードも、そのほとんどが僕の教員生活のなかで体験したことがもとになっています。
  教師として、いちばん心がけてきたこと。それは、ストライクゾーンを広くかまえてあげること。ちょっとやそっとの暴投だって、どんと受け止めてあげるよ――そんな気持ちでいると、子どもたちは自分に自信をもって、いきいきと輝いてくれるのです。それでも不安そうな表情をしている子がいたら、こんな言葉をかけてあげるのです。
 「だいじょうぶ。きっと、だいじょうぶだよ」           (乙武洋匡)
(講談社『BOOK倶楽部メール』 2010年9月1日号より)
 

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2010年9月 1日 (水)

道尾秀介さんに聞く『光媒の花』世界広げた連作短編集

 「今まで群像劇をやったことがなかった。第1章の脇役が第2章の主人公となって、また次の章では…とつながり、6話全部を書いたときに大きな世界、別の景色が見えてくる」という構成。そんな離れ業を、設計図なし、着地点も作らずに書ききった。
 「第3章を書いたとき、世界全体を救ってあげたい、(登場人物を)もっと明るい方へ向かわせてあげたいという気持ちがわいてきた。第4章を書いたら、遠くに光が見えてきて、あとはそっちに向かわせる形で5、6章を」
 連作ゆえの構成。「短編集にも長編にもできないことができた」。その成果として本作は山本周五郎賞に輝いた。
 小説は一人では書けない、といつも思っている。「実人生、生身の人間が大好き」。一緒に酒を飲み、話に花を咲かせる。「小説が書きたくなるのはそんなとき」だ。「楽しいから書いている」ともいう。
 茨城県つくばみらい市在住。パソコンに向かって1日10枚が「限界」だが、「平日の昼間に働いていないことに対する罪悪感」もあり、執筆はいたってコンスタント。終えれば近所をぐるりと8キロ、40分かけて走る。最近はロックならぬ吉田兄弟の津軽三味線をiPodで。「大和魂、バンカラ魂」を感じながら走る毎日だそうだ。(山根聡)(産経ニュース2010.8.31)
道尾秀介さんに聞く 世界広げた連作短編集

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