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2010年8月 2日 (月)

詩の紹介   「夢」   佐藤裕

 「夢」   佐藤裕

夜 眠れないでいると
暗い道を歩く女の後姿を見つけた
追いかけて 肩に触れようとすると
すっと 前にすり抜けてしまう
何度やっても 女はつかまらない
諦めて ベッドに横になると
女は笑顔をこちらへ向け
「どうしたの?」
と問いかけてきた
その声は 生の汚れを知らぬように
澄んでいて 女は
そっと口づけをし 立ち去って行った 
閉じた心の隙間から
自然に涙が溢れ シーツを濡らした
「なぜだろう?」
心が透明になっていく 心が透明になって・・・
   (参照: 「詩人回廊」 夢  佐藤 裕  )
 
   ☆
 夜明けに見る夢は、リアルでなまなましいものが多い。ここでは、その夢中の場面転換の早さが良く表現されている。
 言葉で表現する光景は、現実にはそこになく、読んだ人の心にそれを映す。言葉で夢を表現することは、現実にないイメージである夢を、現実にない言の葉で表現することで、二重の幻影に誘うのである。小説においては夢の採用は、慎重な配慮が求められる。すべてが夢であったとすれば、何でも書けてしまうからである。
 しかし、詩であると不思議に、安易さを感じさせずに納得させられてしまう。言葉のジャンルのちがいを際立たせている作品である。(紹介者「詩人回廊」編集人・伊藤昭一)

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コメント

すばらしい!何でもありえる夢の世界であるが、夢だからこそ描ける部分あると考えられる。空想的な小説や漫画も幅広く世の中にあるので、夢がダメだというような固定観念はなくしたい!。

投稿: あがさクリスマス | 2021年1月14日 (木) 12時21分

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