「法政文芸」6号(東京)だんだん良くなる
前号の5号では、「途上の幸福感」という印象を記した記憶があるが、6号は特集「平成のライフスタイル」などがある。その中に面白い面白さと、つまらない面白さのある寄稿があり、そのほかのものも「だんだんよくなる法華の太鼓でなく、法政文芸だな」と、感じた。
ものすごく時代を映しているというか、怪我を恐れず空気を読んでいるから面白く感じるような気がする。
平成のライフスタルの佐伯一麦『「私」が一番の謎』で学生が3人インタビューをしているが、普通の文芸雑誌にない質問で、作家がそれに丁寧に応えているのが大変面白い。
高木美希「祈(ね)ぎごと」は、出版が法政大学国文学会という、伝統を背負っていることを如実にあらわす古文を現代語に練り直した作風。自分がマルクス経済の出だから思うのかもしれないが、日本語は美しいと感じさせ新鮮。陶工のような捏ねる腕力と努力を感じさせる。根気だけでもこれは才能ではないか。
各教授のゼミの優秀作もそれぞれ才気のあるものが選ばれている。それぞれの学生たちは、これからどの方向いくのだろう、と興味が湧く。
文学のインディーズでは、全国でミニコミを扱う書店の一覧名簿と「ガケ書房」(京都)・トンカ書店(神戸)や東京の代表的な扱い書店のリストがある。さらに東京・蒲田で開催の「文学フリマ」の紹介など。
ところで、インディーズとメジャーという分類だが、文学ってメジャーがあるのかなという思いも浮かぶ。村上春樹のようなもの文学であるかどうかの問題ではあるけれど。
| 固定リンク
コメント