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2010年7月30日 (金)

第22回堺自由都市文学賞を受賞「俺は死事(しごと)人」の星野泰司さん(41)

 葬儀会社の若手社員の葛藤(かっとう)を描いた受賞作「俺は死事(しごと)人」は、僧侶である自らを重ね合わせた。葬儀で利益を追求する仕事に悩む主人公が、独り暮らしの老婦とのふれあいなどをきっかけに生きがいを見いだしていく物語。「生死は表裏一体。死と向き合うことで、生きる喜びを感じるはず」と願う。
 大阪の町工場に育ち、大学では仏教学を専攻したが、中退して小説家を目指した。30歳で再び、仏教の専門学校へ。そこで「仏教の教えは人が幸せに生きる知恵。素晴らしさを伝えたい」と、浄土真宗の僧籍を取得した。
 最初に勤めた大阪府内の“葬式寺”で、年間約100件の葬儀をこなした。布教とは無縁のビジネスに戸惑った。それでも生死にかかわった人に向き合い、悩める心を穏やかに導く活動に目覚めた。今も府内の別の寺で、檀家(だんか)らの「心の往診」に努める。
 奇抜なタイトルは「僧侶も葬儀会社の仕事も、死に直面する重い仕事だから」という。堺自由都市文学賞は今回で最後。「何が何でも取りたかった賞。間に合って幸運です」。6作目で栄冠をつかんだ。(大阪社会部 阿部健)(2010年7月29日 読売新聞)

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